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2018.06.28

「強そうなふり」で自分に有利な交渉が可能に!?【本能の処世術#1】

KenCoM公式:心理学者・内藤誼人

昆虫や動物も人間と同じように、群れのなかでのコミュニケーションがうまいものほど、出世をしたり、得をしています。

彼らが本能的に行っているスキルは、ビジネスパーソンにもぜひ身に着けていただきたい目からうろこのテクニックばかり!というわけで、心理学者の内藤誼人が、彼らの行動と学びたい処世術のポイントを心理学的観点で説いていきます。

蛾から学ぶ!強そうなフリで敵をやり過ごす術

イラスト/今井ヨージ

イラスト/今井ヨージ

スカシバガという蛾をご存知でしょうか?この蛾は全くの無害ですが、猛毒を持つスズメバチにとても似ているので、天敵である小鳥に襲われないんですよ。

実は人間もそうで、実力はどうあれ強そうに振る舞っていると、難を逃れたり、交渉で有利になったり、できる人に見えたりするのです。

実力があるかより「どう見えるか」が需要

このテクニックは、上段でも紹介したように、人間に置き換えればビジネスに応用できます。まず大事なのは、その人の実力があるかではなくて、“実力がありそうに見えるかどうか”です。

それを証明する研究結果をご紹介しましょう。

怒ると相手が譲歩!自分に有利な方向に

スタンフォード大学のマーウィン・サイナソーという人が、41組の同姓のペアを作り、疑似的な交渉の実験をさせました。

それぞれのペアは、ヘッドハンダーとヘッドハントされた人に分けて、給料や休暇を交渉していくというものです。

あるグループだけには「眉をひそめるなどをして、交渉中に怒った態度を出してみてください」と、交渉の仕方について事前に指示をしておき、結果がどうなったのか見てみました。

するとヘッドハンティングするほうでも、される側でも、怒って見せたほうが自分にとって都合のいい交渉結果を得ることができたのです。つまり、怒って自分を強く見せると、相手が都合よく譲歩してくれるという結果になったわけです。

戦力的に怒ったり強い態度をとることを、欧米では“パワープレイ”と呼び、ビジネスシーンでも積極的に取り入れられています。

戦略的に強い態度をとるテクニックで勝つ!

昆虫の擬態は、一般的には“隠れる”というイメージが強いかと思いますが、スカシバガ(蛾)のように相手(敵)に対して「強そう!怖そう!勝てなそう!」と、自分を大きく見せることで、戦わずに生き延びることができるものもあります。

闇雲に怒り散らすだけの人はただの痛い人ですが、戦略的にパワープレイを取り入れることでビジネスシーンでも有効に働きますよ!お試しください。

参考文献

Sinaceur, M., & Tiedens, L. Z. 2006 Get mad and get more than even: When and why anger expression is effective in negotiations. Journal of Experimental Social Psychology ,42, 314-322.

▼「本能の処世術」記事一覧はこちら!

<監修者プロフィール>

■内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『ベンジャミン・フランクリンの心理法則』(ぱる出版)、『図解 身近にあふれる『心理学』が3時間でわかる本』(明日香出版社)など多数。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。大の昆虫好きで、休みの日には山に入って昆虫採集をするのが楽しみなのだとか。

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