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2018.07.12

無駄な競争してない!?競争に勝つためには棲み分けが肝【本能の処世術#3】

KenCoM公式:心理学者・内藤誼人

動物や昆虫は人間と同じように、群れのなかでのコミュニケーションがうまいものほど、出世をしたり、得をしています。

彼らが本能的に行っているスキルは、ビジネスパーソンにもぜひ身につけていただきたい目からうろこのテクニックばかり!というわけで、生き物が大好きな心理学者の内藤誼人が、彼らの行動と学びたい処世術のポイントを心理学的観点で説いていきます。

ライオンとヒョウから学ぶ!棲み分けとやる気を出す方法

イラスト/今井ヨージ

イラスト/今井ヨージ

ライオンとヒョウはどちらもサバンナに棲んでいる肉食動物です。では、お互いにエサをとりあったりするのかというと、それはないんですよ。

ライオンはシマウマやヌーなどの大型動物を食べて、ヒョウは小型のレイヨウやサルなどを主に捕食する。そういった棲み分けをしているから、どちらも生き残れているわけです。

これは人間に置き換えれば、マーケティング戦略のひとつとして知られる「ブルーオーシャン戦略」に近い。勝てない勝負にはでず、未開の地や分野を見つけて勝負することでその分野の勝ち組に立てるというものです。

無駄な勝負はストレスが溜まるだけですので、しないほうがいいんです。

群れでいることの優位性

ここでライオンやヒョウたちの同種間での競争についても触れておきます。彼らは常に群れで行動しています。それは個々で対立するのは力が発揮できないということを、本能的に察知しているのではないでしょうか。

人間に置き換えてみましょう。例えば、会社などで個人の営業成績を張り出して、個々を競わせるところがあると思いますが、これは心理学的に言わせていただくと、やる気がそがれてしまう要因なのです。

それについての実験結果がありますので、ご紹介しましょう。

個人戦より団体戦のほうがやる気が出る!

ヒューストン大学のノア・リムという方が、60名のセールスマンを集めて、セールスコンテストを開催しました。

これは、15人ずつ4グループに分けて競争をさせ、団体戦だけでなく個人戦を行い、セールスへのやる気を測定してみたのです。

すると、グループで勝負をしたときのほうがやる気が高まり、個人戦はやる気がでなかったという結果に。

つまり、競争をして成績を伸ばすならば、個人で戦わせるよりもグループで張り合わせたほうがいいというわけです。またご褒美に賞を与えるときは、グループ全員にあげるというほうが満足度が高いんですよ。

仲間と一緒に未開の分野へ乗り込むが勝ち!

みんなが興味のある分野は人気が高いものです。そこに飛び込みたいならば、何かしらの勝算があってこそ実現できること。

例えば、旅ブログで一儲けしようと考えているなら、情報が溢れているハワイは避け、開拓している人が少ないアフリカの奥地を扱ってみてはいかがでしょう。

それだけでそのジャンルの第一人者になれるわけです。

ちょっと視点をズラしてみれば、まだまだ可能性は広がります。

さらに個人戦よりも仲間と一緒にできるとなおよし!

参考文献

Lim, N., Ahearne, M. J., & Ham, S. H. 2009 Designing sales contests: Does the prize structure matter? Journal of Marketing Research ,46, 356-371.

▼「本能の処世術」記事一覧はこちら!

<監修者プロフィール>

■内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『ベンジャミン・フランクリンの心理法則』(ぱる出版)、『図解 身近にあふれる「心理学」が3時間でわかる本』(明日香出版社)など多数。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。大の昆虫好きで、休みの日には山に入って昆虫採集をするのが楽しみなのだとか。

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