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2024.06.22

視界を良好に。目の疲れをやわらげるツボ・太衝[たいしょう]【からだ緩める経穴百科】

kencom公式:鍼灸師・shirayuki

東洋医学では、皮膚表面と内臓を結ぶ情報伝達系のルートを経絡(けいらく)と呼び、その上の特定の場所を経穴(けいけつ)=ツボと呼びます。ツボは、全身に存在していて、身体の表面で変化が現れやすいポイント。WHO(世界保健機関)に認められているツボだけでも361穴。そのツボを刺激する事で症状を改善、または予防にも効果が期待できます。

本連載『からだ緩める経穴百科』では、鍼灸師のshirayukiさんに心と身体の悩みを解消するツボを伝授してもらいます。

太衝[たいしょう]目の疲れをやわらげるツボ

疲れ目をはじめとする眼精疲労のお悩みは、スマートフォンの普及やSNSなどの広がりにしたがって増えてきました。

目の疲れ、目のかすみ、充血、痛みなどはもちろんですが、ときには頭痛や肩こりなど身体のいたるところに影響が及ぶことも。今回は現代病ともいえる、つらい目の疲れに効果的なツボをご紹介します。

©️shirayuki

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位置:足の親指と人差し指の骨が交わる少し手前、指先側のくぼんでいるところ
効果:顔面や目周りの巡りが悪くなっている血液の流れを良くする

押す指はどの指でもかまいませんが、親指で押すのがいちばん力を入れやすいです。息を吐きながら押し、吸う時にゆっくり指を離してください。3秒から5秒を5セット、疲れている目の方を中心に、両足のツボを押します。

太衝には気の巡りを整える効果もあるとされています。ストレスでイライラするときは、太衝を刺激することで感情の乱れを整えましょう。

なお、疲れ目は、単なる目の酷使からくるものだけではありません。疾病が潜んでいることも考えられるため、症状が続く場合は、医療機関に相談してください。

自分でツボ押しする前に知ってほしい3つのこと

Adobe Stock

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痛いところをさすったり押したりすることで、身体が楽になった経験がある方もいるかもしれません。そんな経験の積み重ねから生まれたのが現代のツボ療法です。

今から2000年以上前の中国では、身体の調子が悪い時に患部をさすったり、魚の骨で押したり、太陽の光で温められた石を乗せたりしていました。そのうち、どの部位を押せばどの症状が緩和するのか分かってくるように。昔の人たちは少しずつ、体のどこに何のツボがあるかを発見していったのです。まだメカニズムがわかっていないことも多いのが現状ですが、現在はWHOに361のツボが認められており、世界で研究されています。

1. 基本の押し方は、気持ちいい

1箇所につき3〜5秒を押すのを5回繰り返すのが基本です。息を吐きながら押し、吸う時にゆっくりと指を離してください。

2. 自分がリラックスできる環境で

ツボを押す時には、自分がリラックスできる環境を整えましょう。例えば、お風呂上がりに身体が温まり、好きな音楽を流しながら。身体の力が抜ければ、より深くアプローチできます。

3. 押しすぎ注意!

グリグリと強くツボを押すのはNGです。気持ちいいと感じる程度の強さで押してください。左右にある場合は押し比べて痛みが強い方をメインにしましょう。感覚が分かりづらい時は両方押しても構いません。

※本連載では、身体の悩みに関わるツボをご紹介します。身体の不調には重篤な病気が潜んでいる場合もあります。不調が長引くときには自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。

記事情報

引用・参考文献

『WHO/WPRO標準経穴部位 日本語公式版』WHO西太平洋地域事務局・著 第二次日本経穴委員会・翻訳 ‎ 医道の日本社

形井 秀一, 篠原 昭二, 坂口 俊二, 浦山 久嗣, 河原 保裕, 香取 俊光, 小林 健二 . WHO経穴部位国際標準化の経緯と今後 . 全日本鍼灸学会雑誌 . 2007年 , 57巻 , 5号 , p.576-586.

著者プロフィール

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shirayuki(しらゆき)
鍼灸師
名古屋で美容・抗加齢に特化した鍼灸院を経営。美容と健康は比例関係にある!という考えから鍼の可能性を日々追求し、全国から20代から70代までの幅広い層から支持されている。SNSでは鍼灸・東洋医学の魅力を日々発信中。

制作

文・イラスト:shirayuki

石原藤樹(いしはら・ふじき)先生

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