メニュー

2024.06.16

デスクワークの人は要注意!猫背×肩こり解消法【肩こり腰痛撃退メソッド】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

記事画像

肩こりや腰痛は、日本人が多く訴える自覚症状ですが、実はその原因は十分に明らかにはなっていません。また、肩こりも腰痛も抱える悩みは様々。それぞれ環境が異なり、姿勢も様々で、全ての人が同じ場所に負担がかかっているわけではありません。肩こりや腰痛は、姿勢によって負担がかかりやすい場所は変わってきますし、改善法はそれぞれ少し異なります。

肩こりや腰痛対策のひとつとして挙げられるのが、ストレッチ等のエクササイズによって、筋肉をほぐすこと。また、正しい姿勢を維持できる身体作りを行うことで、予防にも繋がります。本連載『肩こり腰痛撃退メソッド』では、理学療法士の石田佑也さんに肩こり腰痛を解決するためのエクササイズを3つの姿勢タイプ別に教えてもらいます。

今回は、猫背の人の肩こり解消エクササイズです。

猫背×肩こりで悩む人へ

記事画像

肩こりは姿勢に影響される症状のひとつです。最近、生活の中でスマホやパソコンに向かって作業する方が増えており、その影響で姿勢が悪くなってしまうケースが増えています。

そもそも、正しい姿勢が維持できていれば肩こり腰痛の悩みはこれほど深刻にはならないでしょう。肩こり腰痛に悩む方は、大まかに3種類の姿勢タイプに分けることができます。

猫背(Sway Back)
平背(Flat Back)
反り腰(Lordosis)

この3種類ですね!それぞれどの部位に負担がかかりやすいかが違ってくるため、肩こりの出かたもその姿勢によって違ってきます。ですから、一概に「肩こりだから、このエクササイズだけやればOK!」といってやってみても、あなたの姿勢の特徴に合っていないエクササイズだった場合、そんなに大きな効果を得ることができない可能性があります。(もちろん、運動しないよりは良し!ある程度効くとは思います)

あなたの姿勢の特徴に合わせたストレッチやエクササイズを行うことで、姿勢が改善して身体への負担が軽減できれば、自然と肩こりの症状も軽減されるはずです。

その中でも今回は、猫背に対しての肩こり改善のためのストレッチ・エクササイズについてお話していきます。自分の姿勢タイプがわからないという方は、下記の記事でセルフチェックするところから始めましょう。

猫背をおさらい

illustration : yuya ishida

illustration : yuya ishida

猫背の特徴は

・背中が丸まっている
・骨盤が後ろに傾いている
・お腹がぽっこり出ている

壁に背中をつけて、後頭部と肩が壁についていなければ、猫背の可能性があります。

本来、背骨はS字状の緩やかなカーブを描いていますが、猫背の人は、背中の骨(胸椎)が丸くなり、骨盤が後ろに傾いて腰骨(腰椎)が反ってしまっています。

猫背と反り腰を合わせた姿勢であるため、首や腰への負担が大きくかかってしまうことが特徴です。

猫背の原因は?

最近多いのは、長時間のデスクワークが原因で猫背になってしまう人です。なぜデスクワークが猫背を作ってしまうのかというと、パソコン作業のために、座ったままでほぼ動かない状態だと、弱化していく筋肉があるからです。

猫背の姿勢は、頭部がやや前に倒れ、背中が丸くなり、お腹が前に出ているという感じの姿勢になってしまいます。なぜなら、

・首の前側を支える頸部屈筋群
・背中の丸みを抑える僧帽筋下部
・腹部が前に出ないように抑える腹筋群や腸腰筋

これらの筋肉が全て弱くなっているため、身体を支えるバランスが崩れて、上記のような姿勢が、楽な姿勢になってしまうのです。

特に腹筋が弱くなると、骨盤をやや前方にして軽く反った状態で立つほうが楽になります。駅のホームで、スマホ見ながら立っている人に、下の写真のような姿勢の人をよく見かけませんか。

photo : yuya ishida

photo : yuya ishida

デスクワークが多くなると、当然座り姿勢が増えてしまいます。日常的に運動量が減ってしまうので、座り姿勢が続くだけで腹筋群の力は落ちてきてしまいます。その状態が続くと、次は骨盤を正しい位置で保つのが難しくなり、お腹が前に出て腰が反るような姿勢が楽になってしまうのです。

また、パソコン画面を長時間見ながら作業しているため、常に両腕は前に伸びており、頭部はやや前に出た状態となり、大胸筋が常に縮こまった状態となります。

人間の殆どの動作は前方で行うため、後ろに伸ばすという動作がありません。ですから、意図的に前側の筋肉を伸ばす機会を作る必要があります。放っておくと、常に大胸筋が短縮した状態となり背中が丸まり猫背の姿勢になってしまいます。

猫背×肩こり解消エクササイズ

猫背の人が、硬くなりやすい筋肉は

・大胸筋
・僧帽筋
・大殿筋
・ハムストリングス

です。この部位をストレッチで緩めていきましょう。

#01 大胸筋ストレッチ

photo : yuya ishida

photo : yuya ishida

【やり方】
1. 床に膝と手のひらをついて、四つ這いの姿勢になる。
2. 右手を頭の後ろに当てる。
3. 右肘を天井に近づけるようにして、大きく身体を広げ8秒間キープ。胸部周囲にストレッチ感があればOK。逆側も同様に行う。

左右10回ずつ行いましょう。

肘を中心に動かし、胸が伸びていることを感じます。腰からひねって、無理な体勢にならないように注意しましょう。

#02 僧帽筋ストレッチ

photo : yuya ishida

photo : yuya ishida

【やり方】
1. 正面向いた状態で、右手のひらを頭頂部より少し後ろに置く。
2. 首を右斜め前に倒し、右手で引っ張り8秒間キープ。この時、首の左側面が伸びている感覚があればOK。逆側も同様に行う。

左右5回ずつ行いましょう。

やりすぎると痛みが出るので、気持ちよく伸びている感覚がある程度にしましょう。

#03 大殿筋ストレッチ

photo : yuya ishida

photo : yuya ishida

【やり方】
1. 膝を立てて座り、右足を後ろ側に、左足を前側にして、膝が90度に曲がるように倒す。右足はできるだけ後ろに引いておく。
2. 左足の近くの床に両手をつけ、状態を倒していく。おなかと足を近づけるようにして、倒した状態で3秒キープ。お尻が伸びている感覚があればOK。逆側も同様に行う。

左右10回ずつ行いましょう。

体を倒すときは、背中だけではなく、おなかと足をつけるイメージで倒すと効果が出やすいです。

#04 ハムストリングスストレッチ

photo : yuya ishida

photo : yuya ishida

【やり方】
1. 四つん這いの姿勢から、左足を前に出し、体をやや前に倒す。右足はつま先立ちの姿勢。
2. お尻を後ろに引いて5秒キープ。左太ももの裏側が伸びている感覚があればOK。逆側も同様に行う。

左右10回ずつ行いましょう。

体を後ろに引くとき、前に置いた足の膝が曲がらないようにするのがポイント。もし膝が曲がるようでしたら、無理してお尻を引かずに気持ちよく伸びているところで止めましょう。

#05 腹筋群トレーニング

最後に、より良い姿勢を手に入れるためのトレーニングをご紹介します。

硬くなった部位のストレッチは上記でケアが可能ですが、改善のためにはもうひとつやらなければならないことがあります。

それは、弱化した腹筋群のトレーニングです。腹筋群が弱いままでは、また骨盤が前に出てしまいます。猫背の原因を解消するためのトレーニングを実践して、肩こり知らずの生活を手に入れてください。

photo : yuya ishida

photo : yuya ishida

【やり方】
1. 床で体育座りの体勢になり、 両手を軽く頭部に当てる。
2. 腰を丸めて骨盤を後ろに倒し、深呼吸しながら10秒間キープ。おなかが収縮しているのを感じられればOK。

5回行いましょう。

背中を丸めると猫背が強くなってしまいます。腰・おなかを丸めるように意識してください。軽く顎を引くと背中が丸まりにくくなります。

コツコツ毎日続けることが大切

記事画像

肩こりを解消して、正しい姿勢を手に入れるのは、一夕一朝ではかないません。もしあなたが猫背姿勢で肩こりに悩んでいるなら、まずはこの5つのエクササイズを1日1回1セット、1ヵ月間、続けてみてください。一度にやる必要はありませんので、朝と夜に分けて行っても良いですし、エクササイズの順番も変更してOK。その日、調子が悪くて重いなと感じるところから実施するのがおすすめです。

続けていけば、1ヵ月後、身体の感覚が変わっているのを感じられるはずです。そして、2ヵ月後には姿勢の変化がみられるはずです。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

記事画像

石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

あわせて読みたい

この記事に関連するキーワード