2023.10.05
豚もも肉で定番ミルフィーユ鍋をヘルシーに。毎日食べたい白菜×豚肉【旬野菜レシピ】
野菜を多く食べる人は脳卒中や心臓病、ある種のがんにかかる確率が低いという結果が多くの研究から導き出されています。しかし、日本人の野菜類平均摂取量は、目標の350gに届かず「健康にいいことはわかっているが、十分な量の野菜を摂取できていない」のが現状です。
『旬野菜図鑑』で紹介した白菜をたっぷり美味しくいただける料理を管理栄養士の前田量子さんに教えていただきました。
豚もも肉をチョイスして定番ミルフィーユ鍋をヘルシーに
今や定番のミルフィーユ鍋。白菜をたっぷりと美味しくいただけるのが魅力ですよね。今回は栄養価を優秀に、仕上がりをきれいに作れる方法をお伝えします。
材料(2人分)
白菜 300g (約1/8個)
豚もも薄切り肉 200g
水 適量
主な栄養素(1人分)
エネルギー 156kcal
たんぱく質 23.7g
食物繊維 2.6g
カリウム 810mg
ビタミンB1 1.02mg
ビタミンC 39mg
作り方
1. 白菜は洗って食べやすい大きさの幅に切る。軽く水気を切ってまな板におく。
2. 芯はつけたまま、間に肉を長いまま挟んでいく
3. 鍋の高さにあわせ切り、最初に切ったものを白菜の上に乗せて、すべてが同じ長さになるように切る。
4. 鍋に立てかけるようにして敷き詰める。端っこやバラバラになってしまったのを間に押し込んで鍋にぴったりと収まるように詰める。鍋の半分くらいを目安に適量の水を入れる。火にかけると柔らかくなり縮むのでぎゅうぎゅうに押し込むのがポイント。火にかけて白菜がしんなりしたら完成。ポン酢などお好みの調味料でいただきましょう(分量外)。
このレシピのポイント
高さを揃えて、鍋ぎゅうぎゅうに詰める
ミルフィーユはパイ生地のお菓子で使われますが、語源は千を意味する「ミル(mille)」と葉を意味する「フェイユ(feuille)」。ミルフィーユは千枚の葉っぱが重なったという意味です。
白菜と豚肉を重ねるところが似ているため、この名前がつきました。層をきれいに見せるポイントは高さを揃えること。また火を通すとかさが減るのでぎゅうぎゅうに詰めるのもポイントです。あまりにもぎゅうぎゅうすぎると水が入らないことがありますので、気を付けてください。
このレシピの栄養ポイント
ポイント1. カリウムが豊富
白菜には100g中220mgのカリウムが含まれています。カリウムは塩分を排出し、高血圧予防に期待ができる栄養素。このレシピでは1人当たりカリウムが405mgも含まれています。
『日本人の食事摂取基準(2020年版)』では、生活習慣病の予防を目的とした成人1人1日当たりのカリウム摂取の目標量を、男性3,000mg以上、女性2,600mg以上としています。このレシピ1人分で、男性の場合13%以上、女性は15%以上摂取できます。
ポイント2. ビタミンCが豊富
白菜100gには、ビタミンCが19mg含まれています。野菜の中で突出しているわけではありませんが、白菜はたくさんの量を1度に食べられる野菜ですので、結果的に摂取できる量は多くなります。
ビタミンCはアスコルビン酸ともいわれ、コラーゲンの生成に必須の栄養素。また、メラニン色素の生成抑制、強い抗酸化作用を持ちます。多くの哺乳動物は体内で合成できますが、人は合成することができないため、食事から摂ることが必要です。
ビタミンCが不足すると、肌荒れ、血管がもろくなる、顔色が悪くなる、鉄分の吸収が悪くなり貧血になりやすくなる等があげられますので、しっかりと意識して摂りたい栄養素です。
ポイント3. 栄養価を気にするなら豚もも肉をチョイス
ミルフィーユ鍋と言えば豚バラ肉を使用する方が多いと思います。しかし健康面を意識するなら、脂身の少ない豚もも肉を選びましょう。できれば脂身が取り除かれている、薄いしゃぶしゃぶ用がベストです。
豚バラ肉を使う時と比較して、カロリーが約70%カットできます。さらに飽和脂肪酸にいたっては90%以上カット。飽和脂肪酸とは中性脂肪やコレステロールなどの血液中の脂質濃度の上昇に影響し、高脂血症や動脈硬化との関連が高い脂肪酸です。脂肪酸についてはこちらの記事をご参照ください。
ポイント4. たんぱく質が豊富
このレシピには良質なたんぱく質が豊富に含まれています。豚もも肉は100gあたり、たんぱく質が22.1gも含まれています。豚ばら肉を使う場合と比較すると約1.5倍の量です。たんぱく質は三大栄養素の中でも現代人が不足しがちです。
今回のレシピでは23g強のたんぱく質が含まれており、女性・男性とも1日に必要な量の約3分の1以上が摂れ、しっかりと効率よく摂るのにむいてます。
ポイント5. 疲労回復に効果が期待できる
食事はしているのに疲れやすいし、なんだか太りやすい。ということはありませんか?栄養素、特にカロリーを発生する3大栄養素の代謝に必要なビタミンB群が不足するとこのようなことがおこることがあります。そんな時には、豚肉を積極的に摂るようにしましょう。
お肉の中でビタミンB1の含有量ランキングを調べると、60位中実に59個が豚肉なのです。特に豚もも肉に豊富に含まれています。ビタミンB1は、水溶性ビタミンで脂質が低い部位に多く含まれる傾向にあるので、部位で悩んだら脂質が少ない赤身を選ぶようにしましょう。
ポイント6. リメイクで栄養を残さず摂取
栄養面で、今回ご紹介したミルフィーユ鍋はとっても優秀なレシピ。しかし注意点としては、ビタミンCやカリウム、ビタミンB群は水溶性で調理で溶け出して汁に残ってしまう点が挙げられます。
そこで提案したいのが最後にリメイクして、余すことなく栄養を摂ることです。できればより栄養強化できるものになれば嬉しいですよね。このレシピに足すとよりよい栄養素はビタミンA、E。緑黄色野菜に豊富に含まれる傾向にあり、人参や小松菜、チンゲンサイが最適です。さらにビタミンB1の吸収を促進する長ネギ、体を温める生姜をプラスすればよりパワーアップ!
残ったスープに鶏ガラスープや上記の野菜を加えて、リメイクしましょう。美容効果、風邪予防効果が期待できる優秀なスープが簡単に出来上がります。
ちょっとした知識とコツがあればいつもの食事を健康的なレシピに格上げできます。ぜひ参考にしてみてください。
記事情報
引用・参考文献
『栄養の基本がわかる図解事典』中村丁次・監修 成美堂出版
著者プロフィール
前田 量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。
制作
文・レシピ:前田量子