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2023.05.25

効率のいいエネルギー源と抗酸化成分が摂れる兵庫県の黒豆ごはん!【ニッポン地元メシ#45】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

本州の中央部に位置し、北側は日本海、南側は瀬戸内海に面する兵庫県。気候は県の中央をはしる中国山地によって、北側は冬に降水量が多く、南側は乾燥した晴天で雨が少なく温暖と二分されています。

歴史、風土が異なる、五国と呼ばれる5つの地域(摂津、丹波、但馬、播磨、淡路)から構成されており、それぞれに特色をもった多彩な食文化が育まれています。

今回は五国の中でも丹波地域の暮らしに根付いている、黒豆を使った黒豆ごはんについて紹介します。

丹波の黒豆ごはんとは

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/40_7_hyogo.html)

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/40_7_hyogo.html)

丹波地域は、兵庫県の中東部にある丹波篠山市と東部にある丹波市からなる地域。山に囲まれた盆地であることから、1年を通して寒暖差や、昼夜の気温差が大きいのが特徴です。

この地域では丹波篠山の黒大豆や丹波栗、ヤマノイモなどの農産物のほか、イノシシ肉が名産品として知られていますが、中でも黒大豆はその大きさと質の良さで有名です。一粒の大きさと糖度の高さ、さらに皮がはがれにくいという特徴があり、最高級の品質ともいわれています。

様々な黒大豆料理がありますが、中でも黒豆ごはんは、6月に行われる苗の成長を祈願するお供え料理。田んぼに栗の木を立て、そこに朴葉で包んだ炊き立ての黒豆ごはんを藁でつるして田んぼの神様にお供えすることで「虫がつかずに稲が成長しますように」という願いを込めていたのだそう。

作り方は黒大豆を一晩水に浸して戻します。研いだお米に黒大豆のつけ汁と水を入れて30分おき、塩と酒を加えて黒大豆をのせて炊き上げるだけ。黒豆の色素がほんのりとごはんに移り、薄い紫色になります。

黒豆ごはんにはどんな栄養がある?

黒豆とお米のみで作られるシンプルな料理ですが、栄養もしっかりと含まれています。

黒大豆はその名の通り大豆の仲間です。大豆は、畑の肉とも呼ばれるほどにたんぱく質が多く含まれています。ゆでた黒大豆の100gあたりのたんぱく質は13.8g。通常の大豆との一番の違いは色です。黒大豆の色は、ブルーベリーや巨峰などの色素として有名なアントシアニンで抗酸化作用があります。

白米には脳と体にとって効率の良いエネルギー源である糖質が含まれていますが、実は茶碗1杯約150gのご飯には、およそ3gものたんぱく質が含まれているのです。

エネルギー源となる糖質とたんぱく質、そして抗酸化作用のあるアントシアニンも摂れる黒豆ごはんは、農作業をする人々にとってのチカラ飯だったのかもしれません。

兵庫の五国グルメを堪能しよう

丹波の黒豆ごはんの他にも、兵庫県の五国には様々なグルメが存在します。

但馬には神戸ビーフのステーキや松葉ガニ、摂津はピリリと辛い有馬山椒が有名、淡路には鱧と玉ねぎを出汁で煮込んだハモすきを堪能できる他、播磨は春の風物詩としても知られるイカナゴを使ったくぎ煮が有名です。

1度では食べきれないほどにそれぞれ異なった特色の郷土料理が多く残る兵庫県。その歴史や文化とともにぜひグルメも楽しんでみてはいかがでしょうか。

記事情報

引用・参考文献

1.農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/40_7_hyogo.html)
2.農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/area/hyogo.html)
3.農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/attach/pdf/giahs_3_sasayama-5.pdf)
4.兵庫県庁Webサイト(https://web.pref.hyogo.lg.jp)

著者プロフィール

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磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。

制作

文:磯村優貴恵

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