2021.09.10
熱々ご飯と和え物、納豆の栄養を効率的に摂るならどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.44】
新米の季節がやってきました。いまや一年中食べられるお米ですが、収穫したての美味しさを味わえるのはこの時期ならではの楽しみですね。
さて、ご飯といえば欠かせないのが”ご飯のお供”です。今回は、ご飯のお供として人気の納豆の栄養を食べ方で比べてみましょう。
熱々ご飯と和え物、納豆の栄養を効率的に摂るならどっち?
正解は、納豆の和え物
納豆の特徴であるネバネバには、「ナットウキナーゼ」という酵素が含まれています。ナットウキナーゼは血液中にできる血栓を溶かし、血行をよくする作用で知られていますが、”熱に弱い”という性質があります。
つまり、熱々のご飯に納豆をかける納豆ご飯だと、ナットウキナーゼの働きが失われやすくなってしまうのです。
その点、和え物であれば熱は加わりません。ほうれん草や小松菜などの青菜、納豆と同じく粘りのあるオクラやめかぶなど、他の食材と合わせることでより栄養も摂りやすくなるのでおすすめです。
納豆ご飯を食べるときのコツは?
納豆ご飯はナットウキナーゼを摂りにくいとはいえ、やはり定番の食べ方ですよね。では、どうすれば納豆ご飯でもナットウキナーゼを摂ることができるでしょうか?
ナットウキナーゼは50℃以上になると働きが鈍くなり、70℃ほどで働きがほぼ失われます。よって、ご飯をほんのり温かい程度にまで冷ましてから納豆をのせればよいということになります。
たとえば、血糖値を急激に上げない食べ方として、野菜のおかずやたんぱく質が豊富なおかずを先に食べ、ご飯などの糖質を最後に食べる「カーボラスト」という食べ方があります。このように、食事の最後に納豆をご飯にかけて食べるようにすれば、少し時間をおいたことでご飯の温度が下がるため、納豆の栄養を損なわずに食べることができます。
酢納豆でさらに栄養アップ!
納豆は、発酵食品であることやナットウキナーゼで注目されがちですが、身近な栄養素として、鉄分やカルシウムも豊富な食材です。
ただ、これらの栄養素は吸収されにくいのが残念なところ。そこで、納豆に「酢」を加えることをおすすめします。酢の作用で鉄分やカルシウムの吸収が高まるため、和え物であればポン酢を使ったり、納豆ご飯であれば、納豆にタレだけではなく酢も加えてみましょう。
納豆ご飯の場合は、1パック(約45g)に対して酢を小さじ1/2~1が目安です。ツンとした酸味は感じず、少しさわやかな風味になる程度なので、残暑の時期にもぴったりですよ。
▼参考文献
・その調理、9割の栄養捨ててます!(監修:東京慈恵会医科大学附属病院栄養部/世界文化社)
・栄養成分バイブル(監修:中村丁次/主婦と生活社)
過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから
著者プロフィール
■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。