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2018.10.01

生活習慣病を防ぐ食事のコツ!小さい工夫の積み重ねが予防につながる

kencom編集部

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生活習慣病の予防でまず整えたいのが食事です。食の欧米化や24時間オープンしているコンビニなどの普及で、現代社会はエネルギーや栄養素の過剰摂取の方が増えています。
しかし、食事の改善は普段の生活に直結するだけに、なかなか難しいと感じてしまうかもしれません。そこで、九州大学・久山町研究室で栄養指導を担当している中村学園大学の内田和宏先生と木村安美先生に、毎日の食事中で押さえるべきポイントをお伺いしました。

ひとつひとつは小さなものですが、それらを組み合わせたり積み重ねることで効果が上がってきますよ。

意外に摂りすぎるエネルギー量と栄養素に注意!

最初に行うのは減量と体重維持

まず生活習慣病を予防するために行いたいのが自分に合った適正なエネルギー量を摂取し、食事のバランスを整えることです。健康診断で肥満と判定された人は、適正エネルギー量を摂取することで適正体重を目指しましょう。
1日の摂取エネルギー量の目安は以下のとおりです。

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しかし、これだけだと、具体的にどうエネルギーを減らしてよいかわからないですね。そこで2つの簡単な方法を試してみてはどうでしょうか。

コツ1:お茶碗を小さいものに替える

具体的なエネルギーカット法として簡単なのが、食器をひと回り小さいものに変えることです。
例えば普通の大きさのお茶碗にはご飯が150g(252kcal)入りますが、これをひと回り小さなものに変えると1杯あたり100g(168kcal)に抑えることができます。
たった50gですが、エネルギー量に換算すると84kcalの減少になります。3食で252kcalなので、体重70kgの人では一般的なウォーキングで1時間40分、体重50~60kgの人では2時間の運動量に対応します。
食器を取り替えるだけで、ほかに意識することがないのもポイントです。

コツ2:間食・お菓子は200kcalに抑える

主食を減らしてもお菓子を食べていたのでは効果がありません。お菓子は1袋でごはん1杯分のエネルギーを超えるものもあります。(例:スナック菓子1袋(60g)332kcal)まずは1日200kcal以内に収まるよう心がけてみましょう。

間食というと、お菓子を思い浮かべますが、オススメは果物や牛乳・乳製品です。みかんなら1個32kcal、りんごなら1個108kcal、不足しがちなカルシウムがとれる牛乳は200mlで138kcalです。ヨーグルトは無糖や低脂肪・無脂肪のものを選ぶことも効果的です。

食後の高血糖・高血圧を防ぐのは食べ方にあり

高血糖は1日3食、規則正しい食事で予防

糖尿病を防ぐためには、食後の高血糖を抑えることが大切です。
お腹が空いているとたくさん食べたり、早く食べたりしがちになります。そういった食べ方が血糖値の急な変動をもたらします。1日3食をできるだけ規則正しく食べることが、食後血糖値の上昇を抑えることにつながります。

食べる順に気をつければさらによし

血糖値をコントロールするには食べる順番も大事です。血糖値があがりにくい野菜や海藻、きのこなどのおかずから先に食べることで、これらに含まれる食物繊維の働きで糖の吸収が遅くなり、血糖値の上昇が穏やかになります。
まず野菜などから食べ始める習慣をつけるといいですよ。

よく噛んでゆっくり食べれば血糖値が穏やかに

食べ方でその他に注意していただきたいのは、よく噛んでゆっくり食べることです。ゆっくり食べると、食事が少量でも満腹感を得られます。食べ過ぎ防止にも繋がりますので、1食あたり最低でも15分はかけて食べましょう。
ゆっくり食べるコツは、一口で30回噛むのを目標にすることです。

食事の組み合わせでW(ダブル)炭水化物はNG

外食をする場合に特に気をつけたいのがW(ダブル)炭水化物です。
うどんやおそばにおにぎりがついてきたり、ラーメンとチャーハンのセットなどでは、いわゆる主食となる炭水化物に偏った食事となり、急激に血糖値を高めることにつながります。
注文の前に、主食となる炭水化物が2つないか確認するようにしてみましょう。もちろん家で作る場合にもご注意ください。

主食は玄米や胚芽米などの茶色の食品を選びましょう

主食のパンやご飯の種類を賢く選ぶのもいいでしょう。精製度の高い小麦粉で作られた白いパンや白米は、精製の過程でビタミンや食物繊維などを多く含んでいる部分が取り除かれてしまっています。
例えば、ご飯なら玄米や胚芽米、雑穀入り、パンならば全粒粉パンを選ぶだけで食後の血糖値上昇が穏やかになりますよ。

塩分を減らすなら小皿に取る形式に

高血圧を予防するなら最初に取り組みたいのが減塩です。特に注意したいのが醤油やソース、ドレッシングなどの「かける」調味料になります。これらは直接かけるとかなり塩分が多くなります。
そんな時には直接かけずに小皿にとり、そこに食材を軽くつけて食べていただくとかなりの塩分を減らすことができます。
ちょっとずつ小皿にとればいろいろな味を試せるので、食事が楽しくなりますよ。

減量、栄養の順に取り入れて生活習慣病を予防しよう

いろいろな方法を紹介してきましたが、まずは体重管理、そのために適正エネルギーを守ることです。次に食後高血糖を抑えるように留意した食べ方や高血圧を予防するための減塩を意識していきましょう。
食生活に注意し、毎日継続することで、高血糖や高血圧の予防効果が徐々に上がってきます。

健康診断で異常を指摘される前にできるだけ早い時点から食生活に気をつけて、生活習慣病を予防していきましょう。

中村学園大学 内田和宏先生・木村安美先生

内田和宏(うちだ かずひろ) 短期大学部食物栄養学科 准教授
木村安美(きむら やすみ)  栄養科学部栄養科学科 教授

参考文献

(取材・文/kencom編集部)