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2021.07.19

糖質カットに注目!血糖値が気になる人の、かしこい調味料の選び方

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」という言葉を聞いたことはありますか?

サイレントキラーとは、病気になっても初期には自覚症状が表れないまま進行し、気づかないうちに最終的には致命的な合併症を引き起こしてしまう病気をさします。以前は高血圧症のことを言いましたが、現在では糖尿病や脂質異常症をも含めた生活習慣病全般が含まれます。
「自分は大丈夫」と治療をせずに放っておくと、ある日突然心筋梗塞や脳梗塞で倒れ、生死にかかわったり障害が残る後遺症につながることもあるのです。

糖尿病は50代から急増、食事から気をつけて

サイレントキラーのひとつ、糖尿病の罹患率を見てみましょう。

糖尿病は健康診断や人間ドックで行う、血液検査(血糖値)や尿検査(尿糖)で予兆を早く発見できます。自覚症状がない病気だからこそ、検診で早期発見することが重要です。

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引用:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)
「糖尿病が強く疑われる者」の判定:ヘモグロビン A1c の測定値があり、身体状況調査票の問診において「これまでに医療機関や健診で糖尿病といわれたことの有無」、「現在、糖尿病治療の有無」及び「現在の状況」が有効回答である者のうち、ヘモグロビン A1c(NGSP)値が 6.5%以
上(平成 23 年まではヘモグロビン A1c(JDS)値が 6.1%以上)又は「糖尿病治療の有無」に「有」と回答した者

引用:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省) 「糖尿病が強く疑われる者」の判定:ヘモグロビン A1c の測定値があり、身体状況調査票の問診において「これまでに医療機関や健診で糖尿病といわれたことの有無」、「現在、糖尿病治療の有無」及び「現在の状況」が有効回答である者のうち、ヘモグロビン A1c(NGSP)値が 6.5%以 上(平成 23 年まではヘモグロビン A1c(JDS)値が 6.1%以上)又は「糖尿病治療の有無」に「有」と回答した者

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる人」の割合は男性19.7%、女性10.8%でした。ここ10年間でみると、男女ともに有意な増減は見られませんが、年齢が高い層で罹患割合が高いとされています。

年代別の統計では、50代になると特に男性が著しく高くなります。60代以上になると、男性の4人に1人が「糖尿病が強く疑われる者」に該当。女性も70歳以上では5人に1人という割合となってしまうのです。

糖尿病の食事のポイントは?

糖尿病、もしくは糖尿病予備軍が疑われる場合、主に4つのポイントに注意した食事を心がけましょう。

1.適正エネルギーを守る
2.栄養バランスのとれた食事をする
3.血糖値を上げにくくする野菜をたっぷりとる
4.1日3食を規則正しい時間に食べる

実は和食は糖質がたっぷり!?

栄養バランスがとれた食事、というと和食を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

昔からの伝統的な家庭料理「和食」は、炭水化物(お米)を中心に、おかず、漬物、味噌汁などで構成されています。
「和食は栄養バランスが良い」と世界的にも注目されていますが、実は糖質や塩分が高めであることが課題となっているのです。

実は、和食独特の醤油とみりんを使った甘辛い味付けには糖質がたっぷり。お米を控えても、調理中にどぼどぼと調味料を使うようでは元も子もありません。
みりんは料理に甘さと深みを加えてくれますが、本みりんは100gあたり約43.2g、みりん風調味料は100gあたり約55.7gの糖質が入っています。一食当たりに使ってよい量を糖質から換算すると、本みりんで大さじ1のみなのです。
他にも、料理酒(日本酒)を使うとさらに糖質が足されてしまいます。

糖質オフ調味料で、味はそのまま糖質カット!

調味料を減らすと言っても、急に今までの味付けを変えると満足感が得られず、味付けのリバウンドの原因に。
そこで強い味方になってくれるのが「糖質オフ・ゼロ調味料」です。

「糖質ゼロ」と表示ができるのは、食品表示基準に基づき100ml当たり糖質0.5g未満の場合です。また、「低糖」「糖分ひかえめ」など糖類が低い旨の相対表示は、含有量が100g当たり5g(または100ml当たり2.5g)に満たないものに限られます。
例えば本みりんの場合、糖質は100g当たり約43.2g。糖質ゼロのみりんに変更すると、100gあたり約42.7gの糖質がカットできるというわけです。大さじ1(一食分の基準量)に換算すると、7.7gカットできます。
小さく見えがちですが、もともと大さじ1の本みりんの糖質は7.8gですから99%カットできたというわけです。糖分控えめ、という表示のものであれば、大さじ1あたり6.9gカット(88%カット)できることになります。

糖質と炭水化物って何が違うの?

糖質オフダイエットなどで糖質が注目され認知度が上がりましたが、糖質は食品の栄養成分に表示されていないことも多く、困った経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
よく炭水化物と混合されるので、最後に一度おさらいをしておきましょう。

炭水化物=糖質+食物繊維。糖質は炭水化物の一部

炭水化物とは、糖質と食物繊維の総称のこと。つまり、糖質は炭水化物の一部なのです。
主にエネルギー源として利用されるのが糖質で、人の消化酵素で消化されにくい成分を食物繊維と言います。

糖質には脳やカラダのエネルギー源となるブドウ糖、砂糖の主成分であるショ糖や加熱して料理にとろみをつけるでんぷんなど、さまざまな種類があります。炭水化物は1gあたり4kcalありますが、そのほとんどは糖質のカロリーで血糖値に大きく関与するものです。
食物繊維にはほとんどカロリーはなく、血糖値をあげることはありません。むしろ上げにくくする作用が期待できるものです。

もし食品に炭水化物と食物繊維の値が掲載されていれば、「糖質=炭水化物-食物繊維」で計算することができます。
シニア世代が気にしたほうが良いのは、炭水化物の中でも特に「糖質」なのです。だからこそ、糖質オフ・ゼロ調味料はシニア世代に強い味方と言えるでしょう。

糖質カット調味料で無理なく食生活改善を

みりんを例に出しましたが、他にも清酒(料理酒)やケチャップ、中濃ソース、ポン酢、めんつゆなど、ありとあらゆる調味料で糖質がカットされた商品が出ています。

お米や小麦粉など糖質を多く含む食材は気を付けていても、調味料はうっかりしてしまうことが多いものです。
調味料を最初から全て計量するのは大変ですが、量を意識すると徐々にはかることにも億劫にならなくなります。糖質オフ調味料を取り入れて、まずは意識する。慣れてきたら次のSTEPへ。減塩でもなんでも、健康的な食生活は一日にしてならず。無理なく進め、習慣化することが大切です。

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前田 量子(まえだ・りょうこ)

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管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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