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2021.06.16

日本の夏の大定番!「麦茶」ってどんなお茶か知っていますか?【ちょっと茶話#9】

kencom公式:料理研究家・りんひろこ

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日本の夏のお茶といえば、真っ先に思い浮かぶのが「麦茶」ではないでしょうか。
冷蔵庫にキンキンに冷やして常備している方も多いでしょうし、お子さんがいるご家庭なら年中飲まれることも多い定番ドリンクです。

世界中で愛される「大麦」

麦茶は大麦の外皮を剥いで焙煎して、煮出したお茶です。大麦は世界中で古くから食べられており、ヨーロッパでも最も古い穀物の一つです。

大麦にはビタミンB群や食物繊維が豊富に含まれています。
麦茶になると残念ながらビタミンB群はわずかになってしまいますが、食物繊維は水溶性なのでお茶にも溶けだしています。

また、麦茶の香ばしいにおいの成分である「アルキルピラジン」は、血液をサラサラにする効果があることがわかってきています。カテコールというポリフェノールも含まれていて、抗酸化作用も期待できます。

また、なんといっても「カフェイン」が含まれていないので、大人から子供まで時間を選ばず安心して飲めるのが嬉しいですね。

麦茶の歴史

麦茶の原料である大麦は縄文時代末期に日本に伝わったと言われています。その後、平安時代には大麦を煎って粉にした「はったい」にお湯を加えて溶かして飲んでいたそうです。
その後、江戸時代にもなると、庶民は高価であった煎茶ではなく、安価な麦茶を楽しんでいました。この麦茶は今と同じような大麦を煮だしたお茶だったそうです。神社仏閣の境内にある水茶屋でお菓子とともに出されるのも麦茶だったそう。

今でも中国や台湾では、大麦などの穀物を粉にしてお湯を加えて飲む穀物スムージーのような飲み物がよく飲まれていますが、もしかして、この飲み方も中国大陸から伝わってきたのかもしれませんね。

3種類の麦茶、どれが好み?

麦茶の原料として使われる大麦のほとんどが「六条大麦」「二条大麦」「はと麦」の3種です。

六条大麦:深いコクと香り。苦みもある。スタンダードな麦茶はだいたいがこの六条大麦を使用
二条大麦:でんぷん質が豊富に含まれているのでほのかに甘い。この甘みを利用して主にビールの材料として使われる
はと麦:適度に香ばしく、すっきりした味

一般的に六条大麦が使われていることが多いですが、二条大麦やはと麦が使われることもあります。また2〜3種類の大麦を使ったり、黒大豆や黒ゴマ、どくだみなどの薬草を入れたブレンド麦茶もあります。

麦茶はぐつぐつ煮出すと栄養◎

今は便利なティーパックが売られていて、熱湯を注いで麦茶を作ることも可能ですし、水を注いで少々時間をかけて作る水出し麦茶もティーパックさえあればすぐに作れます。

ただ、麦茶の上記の栄養成分を摂ることを期待するのであれば、沸騰したお湯でぐつぐつと煮だすのがおすすめです。

ノンカフェインだから家族みんなの水分補給に

夏場は熱中症や脱水予防のためにも水分をこまめにとることが大事です。

麦茶はスーパーでも安価で手に入りますし、煮出しても水出ししても良いので便利です。
そして、なによりノンカフェインなので赤ちゃんから大人まで飲めるのが良いところ。夜などあまりカフェインを摂りたくない時は、カフェインの入った緑茶や紅茶、ジュースではなく、麦茶を飲む方が良いでしょう。

りんひろこ

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料理研究家、フードコーディネーター
京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。

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