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2021.02.27

「カロリーオフ」と「糖質オフ」って何が違うの?~オトナの食育~

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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「暴飲暴食をしているわけではないのに太ってきた」「なんだか最近痩せにくい」など年齢とともに体型が気になってきた、という方は多いのではないでしょうか。

今日はダイエットの中でも「カロリーオフ」ダイエットと、近年注目を集めている「糖質オフ」ダイエットについてお伝えします。

カロリーと糖質の違いとは?「カロリーオフ」ダイエットについて解説!

どちらもなんとなくは知っているけど、そもそも何だっけ?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。まずはそれぞれの特徴をお伝えします。

カロリーオフダイエットとは、その名の通りカロリーをカットする減量方法のこと。

カロリーは本来エネルギーの単位を指し、一般的には「熱量」または「エネルギー量」を表します。ビタミンやミネラルなど様々な栄養素の中で、カロリーを有するのは実はたったの3つ。たんぱく質(4kcal/g)、脂質(9kcal/g)、炭水化物(4kcal/g)で、これらは「三大栄養素」と呼ばれています。

太る・痩せるのメカニズムは、簡単に言うと摂取エネルギー量と消費エネルギー量の差のことなのです。

食べた摂取エネルギー量よりも動いて消費したエネルギー量の方が多ければ痩せていき、食べるばかりで活動量が少なければ太りやすくなる、というわけです。ではどれくらい摂取する量を減らせば痩せられるのでしょうか。

体重1kgを燃やすのに必要な消費カロリーは?

皆さんがダイエットをするときには何kg痩せたい、と目標を立てますよね。例えば2か月で2kg痩せたい!と思ったとします。

体重1kgを落とすのに必要な消費カロリーは約7200kcalといわれているため、必要な消費カロリーは7200×2=14,400kcalとなります。

これを2か月(60日)で割ると240kcal/日となり、1日約240kcal制限すればよい、となります。240kcalは500mlの缶ビール1本、コンビニの鮭おにぎり1.3個分。運動なら早歩きで約60分、ジョギングや縄跳びなら約25分ほどとなります。

自分の1日に必要なエネルギーは?

減らすための目安はわかったものの、どの程度まで減らすべきなのか。そこで覚えておきたいのが、年齢性別に定義された「日本人の食事摂取基準(2020年版)」です。

厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)より推定エネルギー必要量(kcal/日)

厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)より推定エネルギー必要量(kcal/日)

この表から自分が1日に必要なカロリーを把握したら、1日の食事量を振り返ってみましょう。

コンビニや外食であれば、なるべくカロリー表示をチェックするようにし、1日の摂取量がオーバーしてそうだと思えば1食あたりの全体量を減らす、間食をしない、足りないようであれば野菜の量を増やすなど、できることから実践してみましょう。

例えばラーメン屋さんで、ラーメン&チャーハンのような食事をしているならば、野菜たっぷりの五目そば&冷奴とし、野菜やたんぱく質をしっかり摂れるメニューに変更するなど、小さな積み重ねで栄養バランスを整えていくことが大切です。

表の数値をオーバーはしていないが平均体重よりオーバーしているとなれば、栄養バランスをとることを意識しながら、運動量を増やしていきましょう。

・適正体重の計算方法
身長(メートル)×身長(メートル)×18.5以上、身長(メートル)×身長(メートル)×24.9以下

カロリーオフダイエットはバランスも大切

推定エネルギーを守ればいいという話ではありません。例えば1日の食事を全てスイーツにした場合、体の構成成分であるたんぱく質やビタミンミネラルが絶対的に不足に陥ります。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、摂取したカロリー中、たんぱく質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%が構成比率として理想的であると示しています。

特にたんぱく質は、ダイエット中に不足しがちな傾向にあるため、1日50gは必ず摂るように心がけてください。野菜もしっかりと摂り、とにかくバランスが大切です。

痩せることへの願望が強すぎてカロリーオフダイエットがエスカレートし、基礎代謝に必要なカロリーを下回ってしまう危険性もあります。適切なダイエットの目安は1か月に体重の3~5%くらいと言われ、例えば60kgの人なら1.8kg~3kgまでとされています。

短期間の急激なダイエットはおすすめできません。ある程度の期間を設け、ゆっくりと減らすようにしましょう。

「糖質オフ」ダイエットについて解説!

「糖質オフ」ダイエットとは、その名の通り糖質をカットするダイエットのこと。糖質というのは、炭水化物の一部を形成しているものです。

炭水化物は大きく「糖質」と「食物繊維」に分けることができ、ご飯・パン・麺などの主食とイモ類などのでんぷんの多いもの、ケーキやおまんじゅうなどの甘いものに多く含まれています。

カロリーオフダイエットは、自分が必要とするカロリーを把握し、減らしたい体重から算出されたカロリー分をカットするものでしたが、糖質オフダイエットは必要な糖質からカットするという考えではなく、”糖質自体を制限しましょう”という考え方で、もともとの考え方が全く異なります。

糖質はどのくらい抑えればいいの?

1日にどのくらい糖質を摂るのが理想的かご存じですか?実はよくわかっていないのが現状です。

しかし様々な論文や臨床データから、糖質オフの場合、130g/日が上限だと言われています。本格的な糖質オフとなるとその半分以下の60gと言われています。

しかし日本人の1日あたりの炭水化物の摂取量は、成人で200g~400g(日本人の食事摂取基準、18~70歳のエネルギー必要量から算出)と言われているので、糖質量を70gに抑えるのはかなり難しく継続するのも大変です。

すぐにやめてしまっては元も子もありませんから「130gほどに抑える」と覚えましょう。

何にどれくらい含まれているの?

「130gに抑えましょう」と言われても、何にどれくらい入っているかわからなければ、どの程度食べてよいのか迷ってしまいますよね。

炭水化物の多い主食は以下の通りです。

・白米150g(茶碗かるく1杯)55.2g
・6枚切り食パン 60g(1枚) 26.6g
・うどんゆで麺 250g(1玉) 52g
・スパゲッティ(乾麺) 80g(1食分) 57g

1日130gとなると、1食の糖質は40gほど。おかずにももちろん含まれているため、主食からは20~30gを目安として考え、ご飯なら1/2杯と覚えてください。

※じゃがいもやレンコン、かぼちゃなどのでんぷんを含む野菜にも多く含まれているので注意が必要です。

糖質以外は積極的に食べてOK

いつもの量の半分しか食べられない!と思った方もいらっしゃるかもしれません。糖質オフダイエットは代わりに、肉・魚・豆腐・野菜・チーズ類など、「たんぱく質と脂質が主成分の食品はたっぷり食べて大丈夫」というのが特徴です。

そうはいっても目安はあり、たんぱく質は体重1kg当たり1.5gを目安としてください。例えば60kgの方なら90gを目安にする、といった具合です。

脂質に関しては特に制限は設けられていませんが、種類に要注意。マーガリンなどに多いトランス型脂肪酸は身体への悪影響が報告されています。反対に魚や亜麻仁油に含まれるオメガ3系のEPA、DHAは積極的に摂ってよいとされています。

塩分には要注意

糖質オフダイエットはカロリーオフダイエットに比べ、沢山食べてよいのが特徴です。量を食べたい人には良いかもしれませんが、肉や魚といったおかずは味付けをすることが多く、そのため自然と塩分過多になりがちです。

おすすめできない人もいる

糖質オフダイエットは、成長期の子どもや妊婦、インスリン治療をしている糖尿病患者、肝臓や腎臓に病気を抱えている人にはおすすめできません。不安を抱えている人は必ず医師の指導を受けるようにしましょう。また、長期間の糖質オフは、死亡リスクが高まるという研究結果もあるので注意が必要です。

違いを知り、自分に合った食事を

いかがでしたか?カロリーオフ、糖質オフ、それぞれメリット・デメリットがあります。自分の体質にあった方法を選ぶようにしましょう。

▼参考文献

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著者プロフィール

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■前田 量子(まえだ・りょうこ)

管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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