メニュー

2019.03.27

働き者の肝臓は『コツコツ』休ませよう!【知って防ぐ肝疾患・後編】

KenCoM公式ライター:黒田 創

記事画像

近年、投薬治療で改善が見込めるようになったウイルス性肝炎に代わり、肝疾患の中で問題視されるようになったのが非アルコール性脂肪肝と、そこから派生する非アルコール性脂肪肝炎。
日本における患者数は前者が約1000万人、後者が約100万人いると言われており、決して無視できる数字ではありません。
今回はその治療方法を中心に、肝臓専門医・指導医の銀座しまだ内科クリニック院長、島田昌彦先生に伺いました。

兆候は?どうやって治す?非アルコール性脂肪肝炎の予防・治療

非アルコール性脂肪肝炎の予兆はどんなもの?

記事画像

前回も触れた通り、肝臓はしばしば「沈黙の臓器」と言われ、多少の疾患があっても別の病気に進行しない限りは目立った症状が表れないのが難しい点です。
皆さんも数少ないサインを見逃さないように心掛けましょう。

記事画像

まずは健康診断。腹部超音波検査や採血で肝臓の数値が上がっていると指摘された方は要注意。当然、担当医からも勧められると思いますが、念のためより詳しく肝機能検査を受けてください。

また、脂肪肝炎に罹ると肝臓が肥大して周囲の膜が張り、伸展痛が出ることがあります。すると肝臓のある右腹部付近に痛みが走ったり、重みを感じてこれが病気のサインとなるケースがあります。
また、いつも全身に倦怠感がある、疲れが抜けないといった症状が続いた場合も非アルコール性脂肪肝炎を疑った方がいいでしょう。

非アルコール性脂肪肝炎の予防法・治療法

記事画像

現時点では非アルコール性脂肪肝炎の特効薬は存在しません。肝疾患と言えど、メタボリックシンドロームと同じく主に生活習慣病が発端の肝臓病ですので、まずは生活習慣を改善して体重を減らすことがポイントになってきます。

当然ながら個々のケースで生活習慣の指導方法は変わってきますが、食事についてはまずバランスよく、一日の総摂取カロリーを過剰にならないように適正に保つといった基本的な部分が大切です。
とはいえ今まで高カロリー、高脂肪食を続けていた方が急に健康食に移行しようとしてもなかなか続きません。まずは炭水化物の摂取量を1~2割減らすといった、コツコツと続けられそうなところから改善していきましょう。

記事画像

続いては運動療法です。以前はウォーキング、ジョギング、スイミングといった有酸素運動が有効とされてきましたが、最近は筋肉を増やして基礎代謝を上げ、体内の脂肪をエネルギーとしてどんどん消費する筋トレのような無酸素運動も推奨されています。
肝臓の細胞に入り込んだ脂肪も運動で消費し改善できるのです。筋トレブームの昨今、コンビニジムでトレーニングするのもいいですし、自宅でスクワット、日常生活では階段歩行などを行うのもおすすめ。
私たち専門医の間で、最近では「肝臓の究極の治療法は筋肉増強」とも言われるほどですので、積極的に筋肉をつけていきましょう。

7%痩せれば非アルコール性脂肪肝炎は改善することがわかっている

7%痩せれば非アルコール性脂肪肝炎は改善することがわかっている

薬物療法を行う場合は、食事療法を継続している場合において、ビタミンEを長期的に投与すると肝臓での脂質過酸化を改善し、非アルコール性脂肪肝炎の改善効果が見込まれます。また最近では進行した肝臓の硬さ、つまり肝線維化をとる薬も開発がすすんでおり、今後に期待がかかるところです。

働き盛りこそメタボ予防を!

食事と運動が非アルコール性脂肪肝炎の治療につながると聞いて驚かれた方も多いのではないでしょうか。これらは治療方法であると同時に予防策でもあるので、特に30~50代の働き盛りの皆さんには是非やっていただきたいところ。メタボ対策としても有効です。

今回は主に非アルコール性脂肪肝炎について触れましたが、アルコール性脂肪肝炎にも注意を払っていただきたいと思います。実はこちらの患者数は減っておらず、原因としては安価に入手できる高アルコールのチューハイ飲料が増えているあたりが考えられます。飲酒量は、できれば毎日平均缶ビール1缶程度に抑えましょう。

見逃しやすい脂肪肝炎だからこそ、早めの予防と発見を!

→関連記事はこちらからどうぞ

島田昌彦(しまだ・まさひこ)先生

記事画像

医学博士。銀座しまだ内科クリニック(東京都中央区)院長。
金沢医科大学卒業後、東京女子医科大学消化器内科にて非アルコール性脂肪肝炎を研究。その後金沢医科大学准講師、東京女子医大八千代医療センター消化器内科などを経て現職。

著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。

(取材協力/銀座しまだ内科クリニック 撮影/KenCoM編集部 取材・文/黒田創)