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2016.11.01

虫歯よりコワイ歯周病!「自分は関係ない」が最大の敵

KenCoM編集部

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歯周病は、35歳以上の約8割が罹っているのに「自分は関係ない」と思われ放置されがちな生活習慣病です。その理由はかなり進行しないと「自覚症状が出にくいから」。
気づかないうちに歯の土台がダメージを受けて、大事な歯を失うだけでなく、原因菌が健康な体をも蝕んでいきます。11月8日は「いい歯の日」。歯周病のことをいま一度知っておきましょう!

35歳以上約8割が「歯周病」!放置は危険

虫歯ゼロでも、土台の骨が溶けているかも

「歯周病」とは、歯と歯ぐきの間にたまった歯垢や歯周病菌が、歯肉に炎症をおこすだけでなく、歯と骨の結合を壊して骨がやせ細る。その結果として歯肉が退縮する、悪化すると歯が抜け落ちるといった症状の病気です。

歯周病が進行して、土台となる骨も溶け始めたイメージ

歯周病が進行して、土台となる骨も溶け始めたイメージ

「自覚症状なし」が放置される理由

手や足に炎症が起こっていれば誰でもすぐに病院に行きますが、歯周病は口の中を見ても炎症が見当たらないため放置されがち。なかなか痛みが出ない上に、「自分は大丈夫」という慢心も手伝って、ほとんどの人は炎症に気づかないまま進行させてしまうのです。

20代後半からその兆候が始まっていても、症状を自覚するのが50代前後という例もたくさんあり、『静かなる病気』といわれています。

怖すぎる歯周病の影響

さらに怖いのは、歯周病の原因となる細菌が全身の健康を蝕むこと。その影響はいかに?!

死因第4位の病も!歯周病が引き金の病気

誤嚥性肺炎

「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」は、聞きなれない方も多いと思いますが、日本における死因としては実は第4位。

口腔周囲の細菌が気道に入り起こる肺炎なのですが、歯周病の原因菌によって起こることが最も多いそうです。患者の90%以上が65歳以上の高齢者です。

脳梗塞・心筋梗塞

脳梗塞・心筋梗塞の引き金になる「動脈硬化」が起こった部位から、歯周病菌が検出されることが明らかになっています。歯周病によって動脈硬化が悪化することがあるのです。

あげればきりが無い歯周病の影響

糖尿病や肥満は、歯周病と相互に影響し合っているといわれ、また「骨粗しょう症」も、歯周病との相関性が強いといわれています。

そして、心臓の内側を覆う膜に生じる感染症の「細菌性心内膜炎」は、全症例の30~40%が口腔内の細菌によるものといわれています。

まだまだあります。高血圧や高脂血症、腎炎、関節炎、皮膚疾患など、命に関わるものから、胎児に影響するものまで、口内でなく全身に影響するのが歯周病なのです。

歯周病を進行させるのは大きく2つ!

歯周病の進行を後押しする要因とは?ストレスを和らげるためのタバコ休憩が、肺や心臓のみならず、歯の土台も蝕んでいるとは!

1.ストレス

ストレスが多い人ほど、歯周病になりやすいという話は有名です。それは、ストレスを受けると、ストレスホルモンの一種である「ノルアドレナリン」と言う物質が分泌され、このホルモンが歯周病菌の病原毒素の発現を促進するからなんです。

2.タバコ

非喫煙者と比べ約3倍歯周病にかかりやすいといわれています。タバコに含まれるニコチンが口腔内に炎症を引き起こしたり、骨を溶かす「サイトカイン」という物質の分泌を促進したりします。すると、歯周病になりやすく、悪化を促してしまうのです。

最強の治療は「歯みがき」

歯周病を進行させないためには、どうすればよいのでしょう?「最高の治療」は、歯みがきです。歯医者での定期健診はもちろん必要ですが、頻度が一番多いのは「歯みがき」。歯みがき粉も「歯周病予防専用」を使用するのがベストです。
間違った歯みがきを続けることほど、時間を無駄にすることはありません。すぐに始められる「歯周病予防」、正しく歯をみがく方法をいま一度知りましょう。

正しい歯の磨き方

まずは基本の歯磨き。ブラシの先端を歯と直角に当てることが基本。歯周病には、歯と歯の間、歯茎と歯の間を丁寧に。就寝前の歯磨きはもっとも重要です。

提供:第一三共ヘルスケア

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歯周ポケットを磨こう

歯周病を防ぐには、基本にプラスして歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の間の溝をしっかりとみがきましょう。この場合は、歯と歯茎の間を45℃にすることがポイントです。

提供:第一三共ヘルスケア

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歯ブラシの選び方

小回りの効く小さめのヘッド、歯茎を傷つけない「ふつう」か「やわらかめ」の歯ブラシを選ぶのがポイントです。

提供:第一三共ヘルスケア

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歯周病の進行がすでに進んでいる場合は、歯科医からの指導がありますので、まずは定期健診を受けるようにしたいですね。
小さい頃から「自分は歯が丈夫だから大丈夫」と思い込んでいる方ほど危険といわれています!

歯みがきは全身のケア。歯茎をお大事に

歯茎がダメージを受けると見た目が悪くなってそれ自体がストレスになりますし、高い治療費もかかります。
また、最終的に歯が抜け落ちてしまうと入れ歯になりますが、入れ歯になると食事が美味しくなくなり、食欲が落ちるなど良いことは何一つありません。

虫歯と同じくらい歯の土台の健康も意識して、いつまでも素敵な笑顔でいたいですね!

参考サイト

※当記事は第一三共ヘルスケアからの情報提供により作成させていただきました。

<監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医

・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

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