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2018.03.31

痔にならない!お尻をいたわる6ヵ条〜知って得するおしりの話③〜

KenCoM公式ライター:緒方りえ

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おしりは、繰り返し便が通過するという負担にさらされ続けている部位です。生活習慣の乱れやストレスによっておしりにかかる負担が増すと、痔になってしまうこともしばしば。
前回紹介した診察や治療法以外に、日頃どう過ごすのがいいのか、具体的な対処法について説明していきます。

今回も、杏林大学医学部付属病院の消化器・一般外科助教授である竹内弘久先生にお話を伺いました。

■今までの記事はこちらから!

おしりを労わるための6ヵ条!

今までの記事でお話した通り、痔には大きくわけて3つの種類『痔核』『裂肛』『痔ろう』があり、それぞれの部位や症状はさまざま。このうち、患者数の多い『痔核』『裂肛』に共通している原因は生活習慣の乱れだと言われています。
そこで、まずは生活習慣をどのように改善すべきか具体的に説明します。「おしりを労わるための6ヵ条」としてまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

※『痔ろう』は基本的には生活習慣の改善や薬では治らず、手術が必要。医師の指示に従いましょう。

(1)出したい特に出せるだけ!

トイレで長時間ねばったり、強くいきんで便を出そうとするのは、おしりへの負担が大きいため禁物。便を出し切るまでの時間は、トイレに入って1〜3分以内が良いと言われています。
毎朝便を出すことが理想とされていますが、基本的には便意があった時にトイレへ行けば大丈夫。逆に、便意やおならを我慢しているとますます便が出にくくなるので、出したい時はしっかり出すようにしましょう。

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排便がうまくいかない場合は、お腹を「の」の字にグルグルと優しくマッサージしたり、温めてみると効果があります。

(2)おしりを清潔に保つべし!

家に浴槽がある場合は、シャワーだけでなく湯船につかると良いでしょう。清潔を保つのはもちろん、おしりが温まることで肛門のうっ血(血液の滞り。痔の原因の1つ)の改善にもなります。
また、水勢を優しくしてウォシュレットを使いましょう。ぬるま湯の心地よい刺激は排便を促すので、便秘改善も期待できます。

トイレットペーパーでおしりをグイグイ拭くのは、痔を悪化させるのでやめてください。

※『痔ろう』は、おしりを温めたり強めのシャワーやウォシュレットを使用すると悪化するので注意。

(3)食物繊維と水分量を意識せよ!

日頃から意識して、野菜に含まれる食物繊維や水分をしっかり摂るようにしましょう。食物繊維は胃腸の動きを活発にさせ、便の量を増やして排泄しやすくしますし、水分は便を適度に柔らかくします。
外食や飲み会が続いて暴飲暴食をしてしまった後の食事は、胃腸やおしりに優しい食べ物を選ぶと良いでしょう。

香辛料やお酒などの刺激物は要注意です。

(4)しっかり動いて、ぐっすり眠る!

同じ姿勢でいると肛門周囲の血行不良が起こり、痔になりやすく悪化しやすいと言われています。それを防ぐためには、適度に運動して血の巡りを良くすることが大切。
身体を動かすと胃腸の動きが活発になることが期待できますし、日中に適度に運動してぐっすり眠るとストレスの解消にもなります。

デスクワークが多い人は時々立ち上がって血行改善を図ったり、肛門周囲を圧迫しないように円座を活用してみるのも良いでしょう。

(5)早期発見、薬を活用!

初期の痔の場合、病院へ行かなくても比較的容易に治せることが多いと言われています。生活習慣でのNG行動をしないように心がけつつ、まずは市販の薬を活用してみましょう。
薬を使う時は、必ずおしりを清潔にしてから。前回使った薬がそのまま皮膚に残っていると、かぶれて湿疹になったり痒くなるので注意しましょう(肛門掻痒症)。

(6)勇気を出して検査を受けるべし!

しかし、自分のおしりにある病気は痔だけなのか、それとも大きな病気が潜んでいるのか、それは病院で検査をしない限りわかりません。

生活習慣を改善しても症状が改善されなかったり何か違和感を覚えた場合は、病院を受診して検査や手術の提案をしてもらう必要があります。

生活習慣の乱れを抑えて痔にさよなら

今回の痔の記事全編を通して理解していただけたと思いますが、痔は生活習慣が乱れることで起こりうる病気でもあります。
痔を予防するためには、できるだけ規則正しく生活することが大切。頑張って特別なことをする必要はなく、身近なことから生活を変えてみましょう。
例えば、椅子に長時間座ることが多い皆さんはたまに立ち上がって動くだけでも効果的。早速今日から実践してみましょう。

竹内 弘久(たけうち・ひろひさ)先生

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1997年杏林大学医学部卒業。2015年医学研究科博士号学位取得。杏林大学医学部付属病院において診療を行うとともに、同病院外科教室(消化器・一般)において研究に従事。現在は杏林大学医学部助教を務める。日本外科学会専門医、日本外科学会指導医。

著者プロフィール

■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリトを設立し代表社員に就任。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。