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2018.02.09

寒い日のお風呂は要注意!危険なヒートショックの基礎知識

KenCoM編集部

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ヒートショックという言葉を聞いたことはありますか?

これは、冷えた身体が突然高い温度のお湯で温められることで、血圧が急激に変動し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こしてしまうことです。

ここでは、ヒートショックの「危険性」から「対策」まで、意識しておきたい基礎知識を、KenCoM監修医の石原藤樹先生に伺いました。

ヒートショックの危険性とは?

実は昔から、寒い日の入浴で急死してしまう人が多いということが知られています。
これこそが、ヒートショックによるものです。

冷えた身体を温めたいと、急に熱いお風呂に入ると、その高い温度差と水圧による変化で血圧が急激に変動するため、心臓に強い負担がかかります。

それが不整脈、脳卒中、心筋梗塞といった心血管疾患につながるというわけです。

ヒートショックによる年間の死亡者数は、年間約17,000人(平成25年度)というデータもあり、これは交通事故の死亡者数よりも多い数だということは意外と知られていないかもしれません。

ヒートショックを避けるための入浴方法とは?

最も意識すべきことは、なるべく急激な温度差が出ないようにすることです。
室温と水温に10℃以上の差があると危険信号といえます。

①脱衣所やお風呂場も温める

脱衣所で服を脱ぐと身体が冷えますよね。
しかしその直後に熱いお湯に一気につかると、その温度差によって急激に血圧が上下してしまい、心臓に負担がかかるのです。

その寒暖差をなくす意味で、脱衣所をヒーターなどで暖かくしたり、お風呂場が寒いならばシャワーを出しておくなどして温めておくといいですよ。

②お湯の温度は41℃以下

寒いときこそ熱めのお湯につかりたいと思うかもしれませんが、室温と水温に寒暖差があるとヒートショックの危険性が高まります。
一般的に41℃以下程度の温度であれば、副交感神経が働いて心身ともにリラックスすることができます。

③半身浴をしよう

半身浴とは、みぞおちから下の湯量でつかること。
心臓がお湯につからないため水圧からの負担がありませんし、下半身で温められた血液は全身をめぐりますので、身体は十分温まります。諸説あるのですが、20~30分ほどつかると身体が温まると言われています。

④入浴前後に水を一杯飲む

入浴によって汗をかくことで失われる水分。
体内の水分が失われると血流量が一時的に減少しますので、脳まで血液が届きにくくなり、貧血などを起こしてしまう原因にもなります。入浴の前後に一杯の水を飲むようにしましょう。

⑤夕食前に入る

夕食後は食べたものを消化するために、血液が消化に必要な内臓に集中しますので、血圧はより下がっている状態。そのままで熱いお風呂に入るのは避けたほうがよいです。夕食前に入ってしまえば、そういったリスクを避けることができます。

⑥高齢者の方ならば、昼間に入るほうがベター

生理機能は昼間のほうが高く、夜は低いため、昼間に入ることもリスク回避のひとつとも言えます。しかし、日中に仕事や外出をすることが多い人の生活習慣とは合わないので「そうなんだ」と知っておく程度で問題ありません。もし可能なら、昼の入浴習慣に変えて、のんびりお風呂を楽しむと安心ですね。

絶対にやってはいけないNG入浴

ここで、ヒートショックのリスクを押し上げてしまう、危険な入浴についても触れておきます。

×アルコールを飲んだ後に入る

お酒を飲んだあとは、脱水状態になり、さらに血圧が下がりやすくなります。
熱いお湯につかることで血圧が大きく上昇し、ヒートショックになる可能性が高まってしまいます。少しでも体調が悪いと思ったら、入らないようにしましょう。

×露天風呂にドボンとつかる

体調が悪いときには極力入らないほうがいいでしょう。
特に外気が冷えていて、身体がふるえるくらいのときは注意してください。

×降圧剤、利尿剤を服用しているとき

降圧剤や利尿剤を服用されている方は、身体の調節機能が働きにくく急激な血圧変動をしやすいので、ハイリスクなことをしないように気を付けてください。

もし心配だという方は、一度医師に相談してみることをおすすめします。

正しい入浴で、身体も心もぽかぽかに!

寒いときの入浴時に注意したい、ヒートショック。
高齢者の方に多いものですが、若い方でも発症例はあり、まだまだ自分には関係ない!と油断してしまうことがリスクにつながります。

ヒートショックを避ける正しい入浴方法で、冷えた身体を温めながらリラックスしたバスタイムを楽しみましょう。

(取材・文 KenCoM編集部)

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