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2016.11.29

禅に学ぶ、心を整える3つの習慣【お坊さんのちょっぴりイイ話①】

KenCoM編集部

今回から始まる新連載『お坊さんのちょっぴりイイ話』では、忙しい現代で働く方に向けて、お坊さんが教えてくれた、禅にまつわる教えや生き方のコツを紹介していきます。

第1回目では、ストレスなどで乱れた心を整えるための習慣をピックアップしました。心の整理をするための「禅」の教えが由来になっているので、疲れた心のおともにぜひご覧ください。

禅に学ぶ、心を整える3つの習慣

こちらで紹介する3つの習慣は、私たちの日常の中に馴染み深く実践しやすいものばかり。忙しい現代において、明るく前向きになれるヒントになるかもしれません。

1.「挨拶」:心をこめた言葉で、良好な人間関係を

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「おはようございます」や「お疲れ様です」など人と会った時や、別れる時にかわす「挨拶」。

この挨拶は、寺で修行僧同士が、ばったり会った時におこなう禅問答が由来だと言われています。禅問答というのは、お互いがどれだけ悟りに近づいているのかを確かめる儀式のようなもので、その瞬間の自分自身を、互いにぶつけ合うもの。

この修行僧同士のやりとりが、一般の世界に降りてきたものを「挨拶」と呼ぶようになりました。自分を相手に表現する手段として「おはようございます」などの言葉があり、この中に、心が映し出されているそう。なので、挨拶というのは、人間関係を築くための、非常に重要な所作だとも考えられています。

毎朝のあなたの挨拶はどうでしょうか?一旦呼吸を整え、心を落ち着かせてから挨拶をすると、自分にとっても周りの人にとっても気持ちの良いコミュニケーションができるかもしれません。1回1回の心をこめた挨拶の積み重ねが、良い人間関係につながるのかもしれませんね。

2.「玄関」:靴を揃えて、足元を整える

私たちの生活の中でも馴染みの深い「玄関」は、もともと禅寺の入り口のことを指していました。

これは「玄妙(げんみょう)なる関門」という”禅を学ぶために通る最初の場所”を意味する言葉の略称です。禅寺の玄関には「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」という言葉が書いてあり、これは「履物を揃え、自分の足元から、自分自身を見つめ直しなさい」ということを伝えています。

よく「玄関に入ったら靴を揃えなさい」と言われたことがあるかもしれませんが、これは「靴を揃えて、自分の心を整えなさい」という教えが由来となっています。今日の家の玄関はどうなっているでしょうか。靴が散らかっていたり、玄関が汚れていてりすると、それは心が乱れているサインかもしれません。

3.「喫茶」:ゆったりと一服する時間を大切に

喫茶店という言葉がありますが、この「喫茶」という言葉は「まぁ、ゆっくりお茶でも飲んでいきなさい」という意味の「喫茶去」という禅語が由来しています。

禅宗では、お茶というものは欠かせない存在なんだそう。座禅をしている際の眠気覚ましとしても親しみがありますし、「ひと息いれる」という言葉の通り、お茶を飲むことによって、呼吸を整え、そこから心を落ち着かせることにも役立っています。

現代においては、コーヒーでも良いですし、アルコールなどを交えてホッとひと息つくという時間も大切にしたいところ。ゆっくりと落ち着いた時間を過ごすことで行き詰まった心に余裕が生まれ、新たなアイデアが生まれるきっかけになるはずです。

生活の中に心を整える瞬間をつくりましょう

心を整える「禅」の考え方は、日常生活の中に言葉や作法となって隠れています。こちらで紹介した3つの習慣は今日から意識できることばかり。

今ある生活の中に自分の本当の心を大切にできる瞬間があることに気づけば、イライラやモヤモヤなどの負の思考を取り払えるかもしれません。

お話を伺った方:中山宗祐さん

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福島県出身。花園大学を卒業後、埼玉県新座市のにある道場で3年間修行を積み、京都本山・妙心寺の教化センターにて一般の方に向けた行う法話会や坐禅会の運営に2年間携わる。現在は、東京禅センターにて企業への禅研修会や、東京都内の寺院を会場にした坐禅会・写経会などのイベント運営を行っている。また、円光寺の副住職も務めている。

中山さんには、瞑想が私たちのココロにどのような効果をもたらすのかというお話もしていただいています。

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東京禅センターについて

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東京禅センターは、臨済宗妙心寺派が首都圏に禅を紹介するための布教の拠点また全国各地の檀信徒が上京の際に活用できる場所として、平成17年に設立されました。
学ぶ禅として花園大学や正眼短期大学から教授をはじめ多くの講師の方々に親しみやすい講演をしていただき、体験する禅として各種坐禅体験を通じて初心者の方にも親しみやすい「禅」を提案しています。

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