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2020.04.06

「うつ病」に関する疑問を解決!1分で読める医師Q&A

kencom公式ライター:森下千佳

自分が、家族が、うつ病になったらどうしたら良いのか?
なかなか周りに聞けない様々な疑問を、順天堂大学大学院 医学研究科 精神・行動科学先任准教授の大沼先生にヒアリングしました。

暮らしや仕事に関する、うつ病4つの疑問

Q.眠れない、疲れがとれない、やる気が出ないという状態が続いています。病気でしょうか?

A.うつ病の症状は、「気分が落ち込む」「憂鬱」の他に「不眠」「頭痛」「食欲がない」「胃痛」など広範囲にわたります。

原因不明だけど、何かおかしいという症状が出た時は、早めに医師に相談しましょう。こういった症状が1ヵ月以上続いているならば、うつ病の可能性があります。

Q.うつ病になったら仕事を休職したり退職したりしないといけませんか?

A.軽症であれば、就業しながら治療できます。働きながら、うつ病の治療している方はたくさんいらっしゃいますので安心してください。大切なのは、治療を続け、働き方などについて医師としっかりと相談しながら行うことです。また、治療中は「退職」の判断はしてはいけません。治った後に後悔し、次のうつ病の呼び水になってしまうことがあります。

Q.家族がうつ病になりました。どう接したら良いのかわかりません。 対処法を教えてください。

A.「何もしない」が正解です。

象徴的な研究があります。うつ病の患者さんのそれぞれの家族が、「ものすごく心配して、気晴らしに外に連れ出したりと色々と世話を焼いたケース」と「何もしなかったケース」で、どちらの患者さんが早く良くなったかを比べました。結果は「何もしなかった家族」の患者さんが早く完治したのです。

うつ病治療において難しいのは、周囲がうつ病の患者さんのためと思って起こす行動や発言が、患者さん本人にとっては更なる精神的負担を強いる場合もあるという点です。

少しでも早く治ってほしいとの願いから「頑張って」と励ましたり、強引に旅行に誘ったりするのは控えましょう。危ない行動をしていないかだけを見守り、そっとしてあげる事が一番です。

Q.夫がうつ病になり、「会社を退職したい」と言い出しました。 どうしたら良いでしょうか?

A.治療中は冷静な判断ができない可能性が高いため、大きな決断はできる限り避けましょう。「離婚」「退職」「退学」などはライフステージに関わります。うつ病になると、どうしても自分に自信を持てなくなり、将来を否定してしまいがちです。「治った後でも離婚や退職をしたいのであれば、一緒に考えよう」と伝えてあげましょう。病院をきちんと受診し治療に専念する事が何よりも大切です。

▼大沼先生のうつ病対策に関する記事はこちら

監修者プロフィール

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■大沼徹(おおぬま・とおる)先生
順天堂大学大学院 医学研究科 精神・行動科学 先任准教授
平成2年順天堂大学医学部卒業。同年、順天堂大学医学部附属・精神神経科に入局。臨床業務に勤しみながら、統合失調症を中心に神経生物学的研究を継続して行っている。平成8年に英国ケンブリッジ・ベイブラハム研究所・神経生物学部門に留学し、帰国後も一般臨床、医学生の教育、研究を行っている。専門領域は精神医学全般、産業精神医学、臨床精神薬理学、遺伝学、神経生物学と幅広い。平成23年より現職。

筆者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかった、オーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国し、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て、現職。一児の母。

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