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2023.11.21

心がしんどいときにやってみて。臨床心理士が勧めたい、心を安定させる身体へのアプローチ4つ

ヨガジャーナルオンライン

メンタルがつらいときに「気持ちを切り替えよう!」「前向きになろう!」といくら思っても、モヤモヤする気分から抜け出すことは困難です。むしろ「こんなにウジウジしている自分はダメだ」とさらに悪い方向へ落ち込んでしまうことも。そんなときは身体へアプローチしてみましょう。

心がつらいのに身体にアプローチする理由

「心がつらいのに、どうして関係のない身体にアプローチするの?」と思われるかもしれません。しかし、心と身体には切っても切れない関係があるのです。

心から身体への影響

心の動きが身体の反応を引き出すことは、昔から良く知られています。

たとえば、怒りを「『頭』に血がのぼる」、緊張を「『手』に汗握る」のように、身体の部位を使って表現することは珍しくありません。また、実際、怒ったときに頭がカーっと熱くなる感覚を覚えたり、緊張したときに手汗をかいたりした経験のある人もいるでしょう。

身体から心への影響

もちろん、身体から心への影響もあります。歯が痛むときは些細なことでイライラしますし、お腹が痛いのに明るく前向きな気分ではいられません。

だからこそ、身体の調子を整えるアプローチが、心の安定へとつながっていくのです。

メンタルがつらいときの身体へのアプローチ

ここからはメンタルがつらいときに試したい、身体へのアプローチを4つご紹介します。

バタフライハグ

最初にご紹介するのは「バタフライハグ」です。(*1)

1.両腕を胸の前で「蝶々」のようにクロスさせる

2.肩のあたりを左右交互にタッピングする(軽く叩く)

という2ステップで取り組めます。

とても簡単な方法ですが、不安・抑うつ・倦怠感などのメンタル不調に対する効果が報告されています。(*2)

バタフライハグ photo by Adobe Stock

参照元:https://yogajournal.jp/20465?utm_campaign=kencom&utm_medium=referral&utm_source=kencom

バタフライハグ photo by Adobe Stock

腹式呼吸法

私たちは緊張や不安に駆られると、呼吸が浅くなります。ゆったりとした呼吸でリラックスした状態を取り戻そうとするのが「腹式呼吸法」です。(*3)

手順は次の通りです。

1.みぞおちの辺りへ息を送り込むイメージを持ちながら、4秒ほどかけて鼻から息を吸う

2.いったん息を止める

3.お腹をゆるめるイメージを持ちながら、口をすぼめて8秒かけてゆっくりと息を吐く

5〜10分程度行うと、心身がリラックスすることがわかっています。

筋弛緩法

「筋弛緩法」は、筋肉にぎゅっと力を込めて緊張させた後、一気に力を抜くことで筋肉をリラックスさせる方法です。(*4)

身体の各部位で

1.筋肉に力を入れる(5~10秒)

2.一気に力を抜く

3.脱力した感覚を味わう(15~20秒)

を繰り返します。

各部位の力の入れ方は次の通りです。

・腕:こぶしを握って腕を曲げる

・顔:目をぎゅっとつむり、目や口を鼻に寄せる

・肩:左右の肩甲骨を寄せる/肩を耳まで上げる

・脚:椅子に座って脚の間にこぶしを入れ、脚でぎゅっと挟む

TFT(思考場療法)

「TFT」は、身体のツボを押すことでストレスを軽減する方法です。不安や恐怖などのネガティブな感情を軽減する効果が報告されています。ここでは「鎖骨呼吸法」と呼ばれる方法をご紹介します。(*5)

1.ひとさし指と中指を鎖骨に当てる。(※親指が身体に触れないよう注意。どちらの手でも大丈夫!)

2.鎖骨に触れている手のガミュート(小指と薬指の骨の間)をもう一方の手でトントンとタッピングする。タッピング中の呼吸は次のように行う。

・普通の呼吸で5回トントン

・大きく息を吸って止めて5回トントン

・半分息を吐いて止めて5回トントン

・全部息を吐いて止めて5回トントン

・半分息を吸って止めて5回トントン

3.ひとさしと中指を握りこみ、こぶしにした状態で鎖骨に当てる。先ほどと同じように呼吸をしながらこぶしのガミュートをタッピングする

4.こぶしを反対側の鎖骨へ移動する。同じようにガミュートをタッピングする

5.こぶしをほどき、ひとさし指と中指を鎖骨に当てる。同じようにガミュートをタッピングする

6.手を変えて同様に行う

一般社団法人日本TFT協会のホームページでは、TFTの手順について詳しく解説した動画も用意されています。そちらもぜひ参考にしてみてください。

おわりに

これらのケアだけを頑張っても、心身の健康の土台となる生活習慣が乱れていると、なかなか効果は出ません。「なんだか気分が落ち込むなぁ」「心も身体もだるい」というときは、毎日の運動・食事・睡眠・休養についても見つめ直してみてくださいね。

参考文献

AUTHOR

佐藤セイ

公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。

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