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2024.03.25

うつ病改善に効果的?ヨガと筋トレの知られざるパワー【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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うつ病の治療には運動が有効と聞きますが、どのようなタイプの運動をすれば最も効果が得られるのでしょうか。

今回ご紹介するのは、British Medical Journal誌に、2024年2月14日付で掲載された、うつ病の有効な運動を検証したメタ解析の論文です。

▼石原先生のブログはこちら

うつ病には運動療法が効く?

うつ病の現状の治療の柱は、心理療法と薬物療法ですが、それらを補う意味で注目されているのが運動療法です。

うつ病においては通常活動性が低下するため、糖尿病や心臓病、肥満などのリスクを高めることも知られています。運動にはリラクゼーションの効果もありますし、緊張で硬直した身体をほぐすことは、脳にも良い影響を与える可能性が想定されます。また、うつ病に併発する生活習慣病などの予防にも繋がるのです。

しかし、実際にどのような運動をすることが、うつ病において適していて、治療効果が望めるのか、というような点については、これまであまり明確なことが分かっていませんでした。

うつ病改善にはどんな運動が有効かを調査

今回の研究は、これまでの主だったうつ病に対する運動療法の効果を検証した、介入試験のデータをまとめて解析することで、この問題の検証を行っています。

これまでの218の臨床研究に含まれる、トータルで14170名のうつ病患者のデータをまとめて解析したところ、ウォーキングやジョギング、ヨガ、筋力トレーニング、の3者が他の運動よりうつ病の改善への有効性があり、運動強度は高いほど有効性も増すことが確認されました。

特に患者さんへの受け入れにおいて、ヨガと筋力トレーニングがより優れていました。

ヨガと筋トレがうつ病改善に

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今後こうしたデータを元にして、うつ病の患者さんにおける運動療法が、より科学的に整備され活用されることを期待したいと思います。

記事情報

引用・参考文献

著者/監修医プロフィール

石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医

発表論文
・Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
・Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
・Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36
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