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2020.02.14

うつの症状は身近にある?忙しい人のストレス対策

kencom編集部

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働く人にとってストレスを無視することはできません。
労働時間や仕事内容、職場の人間関係など、様々な場面にストレスの元があるものです。

今回は産業医として様々な企業でストレスに悩む人を見てきた石原先生に、社会人のストレスと”うつ”についてお話を伺いました。

仕事でありがちなうつの兆候

パフォーマンス低下や遅刻が続いたら要注意

社会人にとってストレスは常にかかるものです。
「時期的に忙しい」「スポットで難易度の高い仕事がある」など、一時的なストレスであれば原因が解消されれば自然と改善に向かいますが、うつ状態に陥ると仕事に兆候が見られるようになります。

以下はその一例です。

□仕事に行こうとすると身体が拒否反応を示す
□これまでなかった遅刻や突然の休暇が増える
□仕事のミスが増える
□残業時間が多くなっている
□食欲が低下する
□寝つきが悪くなる

これらが短期的な間に複数当てはまるようであれば、うつ状態が続いている可能性があります。
もしも症状が長期に続いている場合は、うつ病など他の疾患の可能性がありますので一度医師に相談をしてみるのもいいでしょう。

「相談に来られる方で多いのは、やはり人間関係による悩みです。一度嫌いという感情ができてしまうと修復するのはなかなか難しい。また、就業時間についても長くなる傾向です。うつ状態に入って仕事の能率が落ちていると、仕事が片付かず残業が増えてしまう。こうなるとますます追い込まれて症状が悪化してしまいます。こうした状態になる前に、ストレスの元を解消できるといいのですがみなさんギリギリまで耐える方が多いです。やはり無理をしないということが重要ですね」(石原先生)

自分だけでなく、周囲に目を向けることもひとつの予防策になります。

次は仕事におけるストレスとの向き合い方です。

仕事のストレスはどうするべきか?

仕事のオンとオフをはっきりさせる

「うつ状態が続いている方にアドバイスをするのは、オンとオフをはっきりさせることです。多くの人が休みの日でもずっと仕事のことを考えていることが多い。家族や友人と過ごしていたり、映画や読書をしていても仕事のことを考えているようであれば、うつ状態が進行している可能性があります。そのため、最初は休日に時間を決めて、仕事のことを考えないようにしてもらうことをお伝えします」(石原先生)

忙しい時期やミスをしてしまうと、つい仕事のことを考えがち。そのためにも、まずは考えないようにすることが大切です。

「例えば、運動をするのであればウォーキング程度で十分です。身体はすべて脳につながっているので、仕事のストレス以外の刺激を与えましょう。また、家族や親しい友人にストレスの元を話すことも対策になります。うつ状態が進行するとこうした普段の生活で何気なくしていることすらも億劫になってしまいます。そうなる前に予防策を講じることが重症化の予防につながります」(石原先生)

物事との関わり方を見直すのも一手

ストレスの元凶となる物事や人物との関わり方が原因なのであれば、自分の立ち位置を見直すことも一手です。
ずっと同じことを考えていると思考の迷路に迷い込んで、いわゆる”嵌る”ことになります。
一歩引いてみて「なぜ自分は悩んでいるのか?」「どうやれば解決できそうか」を客観的に考えて心にゆとりを持ちましょう。

「なんかやる気が出ない」と感じたら日常の変化に注意しよう

社会人になって年月が長くなると、休みの日でもつい仕事のことを考えがちです。
ずっとストレスを感じる緊張状態が続くと、身体は元気でも心が疲れてしまいます。

「体調は悪くないんだけど、なんか最近変だな」と思ったら、産業医に相談をしたり、休日の過ごし方を変えたりと生活の中でできることに取り組んでみましょう。

(取材・文 kencom編集部)

監修医プロフィール

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36