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2023.08.28

フロスは歯みがき前?後?歯のケア法で知っておくべき8つのこと

kencom編集部

日本では、毎日歯を磨かない方は皆無というほど歯のケアは根付いています。しかし、歯科医院を受診する方は、口の中に何かしらの異変を抱えた状態がほとんど。防ぎきれない歯の病気もありますが、知識不足や不十分なケアが原因で起こるトラブルも多いのが現状です。

今回お話を伺ったのは『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』の著者で、歯科医師の照山裕子先生です。歯のケア法で誤解しがちなことを踏まえた最新の歯のケア法について教えていただきました。

照山裕子(てるやま・ゆうこ)先生

歯科医/歯学博士/厚生労働省歯科医師臨床研修指導医
日本大学歯学部卒業、同大学院歯学研究科にて博士号取得。世界でも専門家が少ない『顎顔面補綴』を専攻し、日本大学歯学部附属歯科医院、東京医科歯科大学病院で臨床経験を積む。口腔ケアに関心を持ってもらいたいと刊行した著書『歯科医が考案 毒出しうがい』(アスコム)がベストセラーに。歯科クリニックにて診療を続ける傍ら、いわば口腔ケアの伝道師として、メディアにも多数出演している。

間違ったケアを続けていませんか?歯のケア法で知っておくべき8つのこと

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子どもの頃に習った歯のケア法を今も続けているという方は要注意です。そのケア法、大人になった今の自分には合っていないかもしれません。歯の健康を守るために、最新の歯のケア法について学んでいきましょう。

#1 昼食後の歯みがきは必ずしも必要ではない。夜を重視したメリハリケアを

歯みがきの目的は、歯に付着した食べかすをきれいに除去することです。食べかすをそのままにすると、それをエサに細菌が増え、バイオフィルム(いわゆる歯垢)が形成されます。バイオフィルムは約4〜12時間で形成され、時間と共に厚みを増し病原性が高まり、約2日後には歯石になります。

寝ている間は唾液の循環が悪くなり、細菌が繁殖しやすい環境になります。こうした観点から、1日の中で最も大切なのが夜の歯みがきです。意識すべきは歯みがきの回数よりも、重要度を理解したケア。漫然と朝昼晩みがくよりも、次の日に汚れを持ち越さないという習慣を持つことが重要です。

#2 シャカシャカ、ゴシゴシと音がするならやり方を見直して

歯ブラシは2〜3mm程度ずつ小刻みに動かすと、効率よく歯の汚れが取れますし、ほとんど音はしません。シャカシャカ、ゴシゴシと音がするなら、大きく動かしすぎているかもしれません。歯の表面だけに毛先が当たり、汚れが残っていることが多いはずです。

#3 硬い歯ブラシで強くこすると歯を傷つけることも。“ふつう”がおすすめ

歯ブラシの毛の硬さは、“かため” “ふつう” “やわらかめ”の3種類があります。

一般的には“ふつう”がおすすめ。歯周病予防や歯ぐきの炎症を改善したい場合には“やわらかめ”を選びましょう。かためだと、毛が開きにくく長持ちすると考える方もいますが、歯ぐきに当たると痛いので歯周ポケットの汚れが取れません。かえって歯ぐきを傷つける場合がありますので注意しましょう。また、毛先のナイロンには雑菌が繁殖しやすいので、月に1回は新しい歯ブラシに交換しましょう。

#4 歯みがき剤には機能性成分も含まれているので、自分に合うものを選ぼう

最近は歯みがき剤に、虫歯予防に効果的なフッ化物(フッ素)や歯周病予防に効果的な薬用成分が配合されていますので、用途に応じて賢く取り入れたほうが良いという考え方が一般的です。

また、人それぞれ、口の中の状態が異なるため、その時のコンディションにあった歯みがき剤を使いましょう。家族全員で同じものを使っているというご家庭も珍しくないのですが、口の環境は異なりますので、ひとりひとりの年齢に適した歯みがき剤を選ぶのがおすすめです。

#5 フロスや歯間ブラシは歯みがき前に使おう

大人の虫歯や歯周病対策には、フロスや歯間ブラシで歯の隙間の汚れを取り除くことが不可欠です。歯みがき前に使えば、歯間部の食べかすなどが取れた状態で歯ブラシを当てることになるので、歯みがき剤の薬用成分がすみずみまで行き渡り効果的です。

#6 うがいは、素早く行うと、口周りのトレーニングにもなる!

うがいは口の中の汚れをきれいにする効果もありますが、工夫ひとつでトレーニングにもなります。音が出るほど強く、高速でぶくぶくとうがいすると、強い水圧で口の汚れを落とせますし、口周りの筋肉強化が期待できます。

目安は7秒間に10回以上。早ければ早いほど高い筋トレ効果が見込めます。

#7 歯みがき後のうがいは、少量の水で1回だけで十分

フッ化物が配合された歯みがき剤を利用している場合は、歯みがき後のうがいは少量の水で1回だけが推奨されています。歯みがき剤のパッケージに記載がある場合もあるので、お使いのものをチェックしてみましょう。

汚れが気になる方は、ダブルブラッシング法がおすすめ。2回歯みがきを繰り返す方法で、1回目は好みの歯みがき剤で通常通りにみがいて、汚れを吐き出すようにしっかりゆすぎます。2回目はフッ化物配合の歯みがき剤を全体に伸ばすように広げてから少量の水で1回だけうがいします。

#8 食べる力を維持するためには歯のケアだけでなく、口周りをよく動かそう

食べる動作には、歯だけでなく、舌や唾液なども関わってきます。それらの力は加齢と共に低下していきますので、口周りのトレーニングを行いましょう。

歯のケア法をアップデートしよう!

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医療は日進月歩の世界です。歯科医療も例外ではなく、ケア法や治療法がどんどん変化しています。まずは正しい知識を取り入れて、実践すること。自分の現在のケアを見直して、新しいやり方を取り入れましょう。

今回取材した照山先生の著書『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』では、最新の歯科医療やケア法についてより詳しく解説されています。イラスト付きでとってもわかりやすいので、知識をアップデートしたい方はぜひ読んでみてくださいね。

■今回のお話を伺った照山裕子先生の著書

『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』照山裕子・著 日経BP

『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』照山裕子・著 日経BP

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制作

監修:照山裕子
取材:村岡祐菜
文:kencom編集部

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