2023.05.18
意外と簡単!しっとり食感がくせになる、絶品よだれ鶏【電子レンジ活用レシピ】
調理科学に基づいたロジカルレシピが人気の料理家・前田量子さんによる、電子レンジ大活用レシピ。
夕食に一品プラスしたい、ちょっとつまみが欲しい…そんな時にぱぱっと手軽に作れるのがよだれ鶏。中国四川料理で「思い出すだけで、よだれが出るほど美味しい!」ことからこの名がついたといわれています。
絶品中華おかずをレンジで手軽に!
よだれ鶏は、材料が揃えば簡単に電子レンジでチンするだけなのにしっとり美味しく仕上がります。ポイントは肉汁は捨てずにタレにすること。きゅうりのしゃきっとした食感としっとり柔らかな鶏肉があいまって、やみつきになること間違いなし。
材料(作りやすい分量)
鶏もも肉 1枚(300g)
酒 大さじ1
塩胡椒 少々
きゅうり 1本
【タレ】
長ねぎのみじん切り 10cm分
しょうがすりおろし(チューブOK)5g
にんにくすりおろし(チューブOK)5g
しょうゆ 大さじ2
酢 大さじ2
砂糖 大さじ1と1/2
豆板醤 小さじ1/2
ごま油 小さじ2
※タレはお好みのドレッシングなどでもOK
主な栄養素(タレは含まない)
エネルギー 642kcal
たんぱく質 50.9g
脂質 42.7g
糖質 2.6g
カリウム 1076mg
ビタミンB6 0.81mg
作り方
白い筋を取り除く
1. きゅうりは千切りにしておく。鶏もも肉は汁気(ドリップ)がある場合はキッチンペーパーでふき取り、気になる筋があれば包丁やキッチンばさみで取り除く。
2. 塩をまんべんなく振るようにしてよく揉み込み、酒を加えてしっとり仕上げる。
3. 電子レンジ調理OKな耐熱皿にのせて、ふんわりとラップをする。電子レンジ600wで4分30秒~5分加熱する。
4. 十分加熱がされているか確認する。竹串をさして肉汁が透明になればOK。火が通っていない場合は、10~20秒ずつ様子を見ながら再加熱する。粗熱が取れたら食べやすい厚さに切る。
5. 鶏肉を加熱した時に出た肉汁(ドリップ)とタレの材料をすべて混ぜ合わせる。
6. 千切りしたきゅうりの上に鶏肉を盛り付けて、5で混ぜたタレを上から回しかければ完成。
このレシピのポイント
①鶏肉のドリップをふき取る
ドリップとは、一般的には冷凍肉を解凍したときに肉の内部から分離して出る肉汁のことです。このまま調理すると臭みの原因になるため、キッチンペーパーでよくふき取りましょう。
しかしドリップにはたんぱく質、ビタミン類などが含まれているため、出ないような工夫ができるとベストです。
・冷凍では無い鶏肉を購入する
・自宅で冷凍したお肉を解凍する場合、冷蔵庫でゆっくり解凍する
上の2点に注意すると、ドリップの量が少なくすむといわれているため、お試しください。
②肉の筋を取り除く
白い部分が筋
鶏肉をよく見ると白い線が走っているのが見られます。この筋は、口当たりの悪さや肉の硬さにつながるものです。白い筋を切るように筋切りをしたり取り除くことで、より柔らかく美味しく仕上がります。
③塩や酒はよく揉み込む
塩やお酒をふったらよく揉み込みましょう。
・お酒の効果で肉が柔らかくなる
・揉み込みで肉が柔らかくなる
2つの効果で柔らかく美味しく仕上がります。
④粗熱がとれるまで切らない
熱々が美味しい料理もありますが、よだれ鶏のようなしっとりと仕上げたいものは粗熱がとれるまで時間をおきましょう。熱々の状態で切ってしまうと、肉汁が逃げてしまいます。冷ましてから切ることで肉汁が留まって、しっとりした食感になります。
⑤電子レンジの調理時間は100gあたり1分30秒~2分を目安に
電子レンジ調理は時短になり、調理器具も汚れにくいなど、メリットがたくさん!しかし、電子レンジの欠点は一度入れてしまうと、どのくらい加熱されているか分からず、加熱時間で悩んでしまうことです。
時間を割り出すには重さを量ることがとても重要になります。電子レンジは水分などに直接作用して発熱するメカニズムで、重量に正比例する特徴を持っています。例えば100gの食材が1分で火が入るというものだったら200gなら2分、300gなら3分といった具合です。
今回のレシピは厚みのある鶏肉調理なので、100gあたり1分30秒~2分が目安になります。300g×1分30秒~2分=4分30秒~6分、という計算になります。まずは4分30秒で様子を見て、加減してみてください。一番厚い部分に竹串をさして肉汁が透明になるのが火が入った目安となります。この公式さえわかっていれば、レシピがなくても調理可能です。
※加熱時間は、電子レンジの機種や使用状況により変わることがありますのでお気を付けください。
このレシピの栄養ポイント
たんぱく質が豊富
このレシピにはたんぱく質が豊富に含まれています。身体を支える筋肉の主成分で、元気に過ごすために必須なことは言うまでもありませんが、その他、内臓、皮膚、髪、骨、歯、腱や髄など、身体を作る上で重要な栄養素です。
また、血液やリンパ液などの体液、体の機能を調節するホルモン、食べ物の消化・吸収をはじめ、実に様々な役割を担っています。
このレシピではたんぱく質が50gもとれます。3人で分けたとしても17g弱。他のおかずや主食と合わせれば、1日の必要量の3分の1を十分にクリアできる値です。
ビタミンB6が豊富
ビタミンB6はエネルギー代謝の補酵素として重要な役割を担っており、特にたんぱく質の分解を助けてくれます。今回のようにたんぱく質が豊富な料理にピッタリの栄養素です。
カリウムが豊富
カリウムは体液の浸透圧を調整したり、神経や筋肉の情報伝達にも関係している重要なミネラルです。特筆すべきはナトリウムの排出を促す作用。摂取量を増やすことによって血圧低下、脳卒中予防につながることが様々な実験や疫学調査により分かってきています。
カリウムを多く含む食材は、野菜全般、きのこ、海藻、芋類、大豆や果物などが知られていますが、意外と知られていないのが肉類です。特に脂質が低い肉に多い傾向にありますが、鶏肉にも多くのカリウムが含まれています。
プラスするなら緑黄色野菜を
たんぱく質が豊富なレシピですが、その効果を高めるために緑黄色野菜を使った副菜を合わせるのがおすすめです。緑黄色野菜に含まれるビタミンA、C、Eを一緒にとることで、肌の調子を整えたり、粘膜を正常に保つ効果が高まるため、免疫機能の向上にもつながります。
【電子レンジ調理の注意点】
電子レンジを正しく使えば、毎日の料理が時短で簡単。キッチンも汚しにくいため家事の心強いパートナーとなってくれます。
ただし使い方を誤ると事故につながることもあるため、以下の注意点に気をつけて活用してみてくださいね。
1. 電子レンジ対応のお皿を使う
電子レンジに使用できる器は、耐熱ガラス・耐熱陶器・ぺーパータオル・クッキングシート・ポリプロピレンなど、食品用の容器となります。ただし、この素材でも電子レンジ未対応の物があるので、必ず電子レンジ対応と書かれているものを使うようにしてください。
2. レシピの量と時間を守る
電子レンジを使う際は、まずレシピ通りの量や時間を守りましょう。食材によって加熱時間も多少変わるので、まずはレシピ通りに。その後、足りなければ再加熱するのがおすすめです。
記事情報
引用・参考文献
著者プロフィール
前田量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。
制作
文・レシピ・写真:前田量子