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2021.06.26

夏が旬!高級食材「ウニ」をもっと美味しくいただくためのウンチク

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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老若男女問わず人気のお寿司。
中でも人気が高く、高級食材として重宝されている「ウニ」は、暑くなる晩春から夏にかけて旬を迎える食材です。

今回は、これから美味しい時期がやってくるウニについて紹介していきます。

高級食材「ウニ」とはどんな生き物?

黒に近い紫色のイガイガの見た目からは想像がつかないほどに鮮やかなオレンジ色、そしてなめらかでコクと甘みのあるウニ。
一体どのような生き物なのでしょう。

ウニは棘皮(きょくひ)動物の仲間で、日本沿岸に生息するウニだけでも100種類を超えるといわれています。
棘皮動物の名は、ギリシア語のechino-dermaに由来されるとしており、これはハリネズミのような皮膚をもつという意味があります。

また、その名の通り全身に棘(とげ)を持つものが多くありますが、棘を持たない種類もあります。

棘皮動物の特徴としては、外形や器官の配列が5方向に放射相称であることや、内部を守るために表皮の下に多数の硬い骨板があることなどがあります。
ヒトデやナマコも棘皮動物の仲間です。

縄文時代のごみ処理場でもある貝塚からもウニの殻や棘が見つかっており、日本人は昔からウニを食していたことがわかります。

私たちが普段口にするウニのオレンジ色の部分は「生殖巣(雄の精巣と雌の卵巣部分)」にあたります。子孫を残すための大切な臓器なので、栄養もしっかりと詰まっています。

ウニの種類で味は変わる?

日本沿岸には100種類以上のウニが生息していますが、その中でも主に食用とされるのは可食部(生殖巣)が十分に発達していて食べられる4種類になります。

バフンウニ

棘が短く、緑~茶色の殻を持ちます。北海道の南端以南~本州や九州に生息しています。

バフンとは「馬糞」のことで、見た目がそのように見えるからついた名前といわれています。小型のウニで味がよいのですが、流通量は多くありません。
夏が旬で濃厚なうま味と甘みを持ち合わせています。塩ウニとして加工されることも多いウニです。

エゾバフンウニ

名前の通り北海道のように寒冷の場所に生息しており、直径6cm程度とバフンウニよりも大きいのが特徴です。
旬は春から秋で産地や漁期によってずれることがあります。

身は濃いオレンジ色で、味も濃厚で甘みが強いのが特徴。生食で食べることはもちろん、蒸すことでより濃厚さを味わえます。
市場でも安定して入荷されており、その味の良さから高級品として扱われています。

ムラサキウニ

バフンウニよりも長い棘を持ち、名前の通り濃い紫色をした見た目が特徴です。旬は晩春~夏です。
ムラサキウニはバフンウニに比べると身の色が薄く、あっさりとした上品な甘みと濃いうまみがあります。
産地が兵庫県や徳島県、三重県とあまり多くないため、その土地で消費されることがほとんどと言われています。

キタムラサキウニ

ムラサキウニよりも北の寒冷の地域で獲れ、エゾバフンウニとともに市場での入荷も多く、全国的に食べられているウニです。
春から夏にかけて旬を迎え、身の色は黄色っぽいのが特徴です。

焼きウニとして食べられることも多いウニです。

※旬はあくまでも目安。同じ種類のウニでも北海道、本州、九州など地域によって変わり、また日本海側と太平洋側でも変わってきます。

栄養満点!ただし、塩分やコレステロールに注意

口当たりがなめらかでうま味の強いウニ。一度に大量に食べることは少ないですが、栄養素がしっかりと含まれているのが魅力の一つです。

生ウニ100gあたりのエネルギーは109kcal。タンパク質は16.0g、脂質は4.8g含まれています。
タンパク質が多いということは、うま味成分でもあるアミノ酸もしっかりと含まれていることでもあります。さらに、適度な脂質も含まれていることを考えると、あのうま味や濃厚さを感じられるのも納得です。

さらに、余分なナトリウムを排泄するカリウムが340mg、抗酸化作用があり体内に入ると必要な分だけビタミンAに変換されるβカロテンは650μg含まれています。脂質のエネルギー代謝に関わるビタミB2や、心の健康にも役立つと注目されているビタミンB群の一種ナイアシン(ナイアシン当量で4.4mg)、葉酸も360μg含まれています。

痛風や高血圧が気になる場合は控えめに

生ウニ自体の塩分量は100gあたり0.6gとあまり多くないのですが、ウニは塩やアルコールなどを添加して加工しているものが多く、粒ウニでは100gあたり8.4gの塩分量となるので食べすぎには注意が必要です。

また、コレステロールも生ウニ100gあたり290mg含むので、気にしている方は食べすぎに注意が必要です。
※栄養価数値参考文献:日本食品成分表2021八訂 医歯薬出版株式会社

家でも生ウニを楽しんでみて

新鮮な生ウニが手に入ったら、やはり生でいただきたいものです。

軍艦巻きは難しいという方でも、海鮮丼や手巻きスタイルにすることで簡単に寿司としてのウニを楽しめます。
また、少し炙りたい場合は、バーナーや魚焼きグリル、トースターで簡単に焼きウニができますよ。
また、大きめに切った豆腐を醤油少々を加えた出汁で温め、仕上げにウニを乗せるとおもてなしにも使える椀物の完成です。

外食が思うようにできなくなった分、お取り寄せが充実する今だからこそ、おいしい旬の食材を手軽に家で楽しめるとよいですね。

磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)

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大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。

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