2021.05.19
飲んだことある?滋味深いゴボウ茶【ちょっと茶話#8】
今回はちょっと変わったお茶、『ゴボウ茶』をご紹介します。
長生きや若返りに役立つ成分を含むとして、最近テレビなどのメディアに登場することが多いゴボウ茶の由来や栄養素について、じっくりと見ていきましょう。
世界的にも珍しい?ゴボウのお茶
ゴボウ食はアジア圏が中心
ゴボウは平安時代に中国から薬用として伝わったという説もあるのですが、縄文時代の鳥浜遺跡(福井県)など複数の遺跡からゴボウの種子がみつかっており、より古い時代から日本で栽培されていた可能性が指摘されています。
いずれにしろ、平安時代の文献にはゴボウの昔の呼び名である「岐多伊須(キタキス)」という記載が散見されるので、この頃には日本にゴボウを食する文化が根付いていたようです。
平安中期から鎌倉中期になると、日本人はゴボウを栽培するようになります。
実はゴボウ栽培を行っていたのは、世界でも日本のみだったそうです。
中国では薬用として山からゴボウを採集してくることはあっても、栽培して日常食とすることはありませんでした。
日本では、お正月のおせちにも「たたきゴボウ」が作られたり、祭りで供えられたりするように、ゴボウはハレの日のごちそうとして、また、神饌として昔から日本の文化に根付いていたようです。
今でも日常で食べる文化があるのは、日本以外には韓国と台湾ぐらいといわれていて、その中でもこれほど様々な料理法があるのは日本だけだといいます。
そんなゴボウを薄切りにして乾燥させたものを「ゴボウ茶」として楽しむのも、日本人ならではの知恵といえるかもしれません。
水溶性食物繊維が豊富
中国では薬とされてきたゴボウは、その抽出液であるゴボウ茶にも多くの栄養が含まれています。
特に多いのは、ダイエット効果などで話題になった水溶性食物繊維の「イヌリン」。最近では様々な料理に使用されていますが、これを飲むだけで得られます。
加えて、抗酸化作用のあるポリフェノールも含まれているのが特徴です。
・イヌリン
水溶性の食物繊維で、腸で水分を吸収するとゲル状になり、一緒に摂った糖質の吸収を抑える働きがあります。また、腸内で善玉菌のえさになり、腸内環境を整えます。
・サポニン
ゴボウの皮に多く含まれるポリフェノールの一種で、万能薬といわれる朝鮮人参にも含まれています。身体を内側から温める滋養強壮作用や、免疫力を高める効果、若返りのためのアンチエイジング効果も期待できます。
・カリウム
利尿作用が高く、むくみの改善に効果を期待できます。
意外に簡単!ゴボウ茶の作り方
こんなに良いことが多いゴボウ茶ですが、まだまだ知名度が低いため、スーパーなどでは手に入りにくいかもしれません。
そこで、今回は簡単に作れる方法をご紹介します。材料はゴボウだけですので、ぜひ試してみてください。
作り方
1.ゴボウの皮をたわしやくしゃくしゃにしたアルミホイルで軽くこすり、水洗いして汚れを落とす(皮にも栄養があるので、皮がなくなるほどこすりすぎないこと)。
2.ピーラーか包丁で薄切りにし、ザルやペーパーを敷いたバットなどに並べて日に干し、1~2日かけて乾燥させる。
3.熱したフライパンに2を入れて香ばしい香りが立つまで10分程度煎る。水分が抜けてからっとしたら出来上がり。
※瓶やジップロックに詰めて、できるだけ冷蔵庫保存するのが望ましい。
ゴボウ茶の美味しい淹れ方(ホット&アイス)
材料(ホット)
・ゴボウ茶 大さじ1杯程度
・ティーバッグ 1枚(だしパックでも可)
・お湯 200ml
材料(アイス)
・ゴボウ茶 大さじ3杯程度
・ティーバッグ 3枚(だしパックでも可)
・水 1L
作り方
【ホット】
1.ゴボウ茶を大さじ1杯ティーバッグに入れて封をする
2.カップにティーバッグを入れて、熱湯を注ぐ
3.3分間抽出する
【アイス】
1.だしパックに多めにゴボウ茶を入れたものか、ティーバッグ2~3個を用意し、ゴボウ茶を入れて封をする
2.水1L程度と一緒に容器に入れる
3.冷蔵庫に入れて6時間以上置く
ノンカフェインだからいつでも飲みやすい
ゴボウ茶は他のチャの木から作るお茶やコーヒーと違ってカフェインが含まれていません。逆に水溶性食物繊維が豊富ですので、食事時や寝る前などに飲んでおくと、お通じの方も快調になるかもしれません。
ちょっぴり渋みを感じるかもしれませんが、それはポリフェノールの影響でもあります。
じっくり味わって飲んでみてくださいね。
りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター
京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。