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2021.04.10

40代超えたら目に注意。多くの人が悩む白内障の知識【白内障・前編】

kencom公式ライター:森下千佳

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「最近、目がかすむ」「そろそろ老眼かな」などと、人知れず目の衰えに悩んでいませんか? 

実はその視力の低下は、「白内障」の始まりなのかもしれません。早い人では40代で発症し、80代ではほぼ100%の人がなる目の病気「白内障」。今回は、昭和大学眼科学講座教授の西村栄一先生に、目の仕組みや、白内障の原因、治療法など、知っておきたい基礎知識を解説していただきました。

西村 栄一(にしむら・えいいち)先生

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昭和大学 眼科学講座 教授
昭和大学藤が丘リハビリテーション病院 眼科 診療科長 

【プロフィール】
1995年 昭和大学医学部卒業後、昭和大学藤が丘病院眼科 助手、講師を経て、2010年より University of Utah, John.A.Moran eye center Post Doctoral Research Fellow、 2012年に昭和大学医学部眼科学講座 講師 、2013年に昭和大学藤が丘病院眼科 講師 、2014年に昭和大学藤が丘病院眼科 准教授を勤めたのち、2015年より現職。

【資格】
日本眼科学会 眼科専門医、日本眼科学会 眼科指導医、公益社団法人日本白内障屈折矯正手術学会 理事、公益社団法人日本眼科手術学会 理事、日本白内障屈折矯正手術学会雑誌 編集委員長

白内障とは?

白内障になると水晶体が濁り、網膜に綺麗な像が映らないため視界がぼやける

白内障になると水晶体が濁り、網膜に綺麗な像が映らないため視界がぼやける

白内障は、眼球内の水晶体が濁ってくる病気です。長年にわたる紫外線や酸化ストレスによる影響により、水晶体を構成する成分のタンパク質が変性してしまい濁ることで、綺麗に光を通さなくなっていきます。わかりやすく言うと、生卵に火を通すと、透明な白身部分が白濁しますよね?そんなイメージです。

歳を重ねると白髪が増えるように、白内障は「誰もが避けようのない老化現象」です。早い方だと40代から始まり、年齢と共に増加して、80代ではほぼ全員の人に見つかります。一度濁った水晶体は元に戻すことができません。また、白内障による視力低下は目の中のレンズの濁りが原因なので、目の外側にあるメガネを変えても視力が改善しないのです。

発症する原因は加齢をはじめ、生活習慣にも隠れている

水晶体が濁る最大の原因は加齢ですが、ステロイド薬を長期にわたり使っているアトピー性皮膚炎の人や、糖尿病の人、目に怪我をした経験がある人、目の手術を受けた人などは、早く白内障が始まる傾向があります。また、喫煙、紫外線暴露、放射線暴露も身体を酸化させるので、白内障を進行させる要因と報告されています。

そのほか、「先天白内障」と呼ばれる生まれてすぐに発症する白内障もあります。その原因として、染色体異常や、母体が風疹にかかったために起こる子宮内感染などがあります。人の視力は幼児期に形成されるものです。もし赤ちゃんの瞳が白っぽく見える場合は、すぐに医師の診察を受けることを強くおすすめします。

視界がぼやける?白内障の症状は?

白内障が進行すると視力が低下しますが、それ以外にも様々な症状が現れます。
透明であるはずの水晶体が濁っているため、視界がすりガラスを通したように「物がかすんで見える」という症状が現れます。また、濁りのせいで、目の中で光が乱反射するため、白内障のない人ではまぶしく感じない弱い光が、非常にまぶしく感じることがあります。

もう一つ特徴的な症状として、「ものがダブって見える」ことがあります。例えば運転時に道路中央のラインが二重に見えたり、空で月が二重三重に見えたりします。他にも、「左右で明るさが異なる」「薄暗いところで見えにくい」といった症状が現れるなど、水晶体の濁り方によって様々な症状が出現します。

日本では5%程度だが、世界では失明原因の1位

白内障を放置すると失明につながります。
医療制度が整っている日本では、白内障による失明率は5%程度と非常に低く、失明をしたケースにおいては治療をせずに放置していることが多いとされています。きちんと眼科を受診することで、リスクを回避できるのです。

しかし、世界的に見ると、白内障による失明率は1位です。眼科がない、または、眼科にかかることができないような環境下では、白内障による失明率は自ずと上がってしまいます。日本における失明リスクの低さは、医療制度や技術が整っているからこそなのです。

早期発見!「白内障セルフチェック」

白内障は誰もがなる病気ですが、なかなか自覚し辛いものです。たとえ、見え方に違和感を覚えていても「老眼だろう」「歳だからしょうがない」などと、放置してしまう方も少なくありません。放置すると、最悪の場合は治療が出来ずに、失明してしまう可能性もあります。もしあなたが40歳以上なら、一度下のチェックリストで確認してみましょう!

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もし、一つでも当てはまれば、一度眼科でチェックを受けましょう。また、チェックリスト以外にも何か目に違和感を感じる場合も、なるべく早く受診することをお勧めします。

白内障治療の詳細は後編で

現在、白内障を治療できる方法は手術だけです。手術技術および眼内レンズの進化により、術前に比べ格段に視界が良くなる上、老眼や乱視も矯正することができるので、不便を感じているのなら早めの対処をお勧めします。

後編では白内障治療の詳細についてご紹介しますので、ぜひご一読を。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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