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2020.11.28

初めてでも大丈夫!心を整える座禅・写経をはじめてみよう【暮らしと禅#2】

kencom公式ライター:春川ゆかり

新型ウイルスの影響を受けて目まぐるしい変化にさらされている今、気持ちの切り替えがうまくできないと悩んでいませんか?

今回は、在宅で気軽にできる禅の定番「座禅・写経」についてご紹介します。
どちらも堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、修行でなければこうするべきという形式に囚われる必要はありません。
基本的なやり方を、崇禅寺副住職・西岡秀爾さんに教えてもらいました。

必要なものは身ひとつだけ! 基本の「座禅」を学ぼう

座禅を組む時間帯

・可能であれば朝と夜
・続けることを最優先におくほうが良いため、厳密に決めなくてOK
・気持ちの切り替えの意味で、物事と物事の間に休憩室やトイレの中で行うでも効果あり

座禅に必要なもの(服装・場所など)

テレビや雑誌で見かける座禅といえば、ややかしこまった服装であることも少なくありませんが、一人で行う場合には「リラックスできる服装」を選びましょう。

ただし、「なんとなく、だらけた格好だとスイッチが入らない…」という方はもちろんスカートやスーツの状態でも構いません。

また、座禅を行う場所はお寺などのかしこまった場所だけでなく、自宅で問題ありません。できればあぐらをかいて座れるほどの半畳ほどのスペースがあると良いですが、集中できればトイレやベッドの上といった場所でも大丈夫です。

座禅の手順

- 座り方

座禅の足の組み方として理想的なのは「あぐら」。できればお尻の下に座布団か固めのクッションを敷きましょう。

両足それぞれを下腹付近にかける「結跏趺坐(けっかふざ)」、もしくは片足だけを下腹付近にかける「半跏趺坐(はんかふざ)」が身体が疲れにくいためおすすめです。

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- 手の組み方

手の組み方には、以下の種類があります。自分にしっくりくる組み方を試してみましょう。

・左右それぞれの親指と人差し指で輪っかを作ってひざ付近に添える
・左右の手を真ん中に寄せ一つの輪っかを作り、股付近に添える
・手のひらを天井に向かせ手が開いた状態で、ひざ付近に添える

- 呼吸の仕方

呼吸のポイントは「丹田(たんでん)」を意識することが大切です。丹田はへそから3cmほど下にある部分で、目に見えるものではありませんが、丹田を意識しながら深呼吸をすると、身体の隅々まで空気が行き渡り、身体がポカポカと温まることを実感できます。

その他、呼吸のポイントは以下の通りです。
1. 姿勢を整え、気道を確保する
2. 身体中の空気をすべて出し切るつもりで10秒を目安に少しずつ鼻から吐く
3. 息を全部吐いたら、その反動を使って短めに2~3秒で静かに息を吸う
4. 2と3を交互に繰り返す

注意点

さまざまな手順があり最初は混乱するかもしれませんが、座禅において最も大切なポイントは「姿勢を正し、気道を確保すること」です。逆にいえば、この点さえ守れていれば、ルールや"型"に縛られ過ぎなくて大丈夫。凝り固まった自分を「ゆるめる」イメージでやってみましょう。

また、「うまくやろう」「ちゃんとできているかな?」など、気持ちに囚われ過ぎないことも重要です。何かを求めることなく、自分が心地よいと感じるペースで座禅を行いましょう。

きれいに速くではなく、丁寧に。「写経」について学ぼう

用意するもの

・写経用紙
・筆
・墨、少量の水
・文鎮
・下敷き
・すずり

写経は座禅に比べると持ち物が多いですが、筆は筆ペンで代用しても構いません。筆ペンを使用する際には、墨・下敷き・すずりも不要になるので、まず手軽に試してみたい場合には、筆ペンで試してみると良いでしょう。

行う頻度・タイミング

頻度やタイミングに明確なルールはありませんが、何かと何かの合間よりも、ゆっくりと時間が取れるときに行う方がおすすめです。

写経は一般的に全276文字から成る「般若心経」を書き写しますが、書き写すまでに時間がかかるだけでなく、写経は速さを重視するものではありません。ゆっくりでも、きれいに丁寧に一字一字を書き上げることが重要なため、少なくとも1~2時間確保できるときに行うと良いでしょう。

注意点

写経を終えたあとは自分で処分したり保管しておいても良いですが、供養やお見舞いなどの思いを込めて書いた写経は、お寺に納経(のうきょう)することをおすすめします。

ただし、その際は過去に付き合いのあるお寺を選んだり、事前にお寺に納経が可能かどうかの確認を取るようにしましょう。

自宅で心のリセットに禅の考え方を取り入れてみよう

写経と座禅。どちらも日常から離れ、深く集中することで気持ちが切り替わる方法として昔から親しまれています。見た目や名前のイメージから堅苦しさを感じている人もいるかもしれませんが、実際にはどちらも自宅で取り入れられるものです。

今回は、外出せずともリフレッシュできる方法として座禅・写経を紹介しましたが、座禅と写経だけが心身に好影響を与えるわけではもちろんありません。

「自分の気持ちをリセットすること」が最も大切なことなので、走ったり泳いだり、絵を描いたりと、前向きに取り組められるものに集中できる時間をとれればよいのです。

安心して日々を過ごせるようになるまで、自分自身で心身の健康を守りましょう。

▼前回の記事はこちら

西岡秀爾(にしおか・しゅうじ)

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崇禅寺副住職、上智大学グリーフケア研究所客員所員

1976年生まれ。大阪府立大学社会福祉学部卒。2006年より、大阪市にある曹洞宗崇禅寺(そうぜんじ)の副住職となる。花園大学准教授を経て、現在、上智大学グリーフケア研究所客員所員・関西学院大学大学院人間福祉研究科大学院研究員・花園大学国際禅学研究所客員研究員・臨床仏教研究所特任研究員などを務める。

著者プロフィール

■春川ゆかり(はるかわ・ゆかり)

フリーライター・編集者。大手IT企業にてウェブメディアの広告やマーケティング業に携わる。その後フリーランスのライターとして独立し、住まい・子育て・ヘルスケアなどのジャンルで執筆。

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