2020.09.04
切干大根の煮物とほうれん草のお浸し、鉄分が多いのはどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.19】
「切干大根の煮物」と「ほうれん草のお浸し」は、和のお惣菜の定番です。
切干大根もほうれん草も栄養価が高いというイメージがあるかと思いますが、鉄分で比べた場合はどちらを食べたほうがとれるでしょうか?
切干大根の煮物とほうれん草のお浸し、鉄分が多いのはどっち?
正解は、ほうれん草のお浸し
「鉄分=ほうれん草」とよく言われる通り、ほうれん草には鉄分が多く含まれます。
さてこの鉄分、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となるミネラルですが、全身に酸素を供給するほか、エネルギー代謝やコラーゲンや皮膚の生成に関わるなど重要な働きをしています。不足すると全身が酸欠状態となり、疲れやだるさ、肌へのダメージももたらします。
ほうれん草のお浸しと切干大根の煮物、1人前(約70g)の鉄分を比べると、0.8mgに対して0.28mg。ということで、ほうれん草のお浸しを食べたほうが約3倍鉄分をとれるということになります。
ただ、ほんの10年前までは切干大根はほうれん草と同じく鉄分が多いとされ、「切干大根で鉄分補給」という位置づけでもありました。それが今では1/3にまで減少。理由は、大根を切るときの包丁が変わったからです。
昔は切干大根を作る際、切断する包丁は鉄製だったのですが、今はステンレスの包丁が主流。つまり、切干大根自体に鉄分が多かったのではなく、鉄の包丁の鉄分が切干大根に移っていただけだったのです。
切干大根を食べるメリットは?
今や鉄分補給源としては期待できない切干大根ですが、切干大根を食べるとどんな栄養がとれるのでしょうか?
それは、食物繊維とカルシウムです。ほうれん草よりも多く含まれるので、例えばお惣菜を買うのなら、ほうれん草のお浸しと切干大根の煮物の両方を買うと、より栄養バランスが良くなります。
鉄分補給する方法は他にも!鉄のフライパンを使おう!
先に述べた通り、普段の食生活で鉄製の調理器具を使えば、鉄分補給が期待できます。以前、ニトリのスキレットパン(鉄のフライパン)が低価格で購入でき、インスタ映えするとブームになりましたが、実は鉄分補給にも一役買っていたのです。
もし家に鉄のフライパンや鉄鍋があるのなら、積極的に使ってみましょう!鉄の調理器具から溶け出た鉄分は、体内への吸収率が高いことがわかっています。
また、鉄製の調理器具を使う場合、「酢やケチャップ」を使ったり、「長い時間煮込む」とより鉄が溶け出します。料理としては、酢やケチャップを使う酢豚や、ケチャップを使い長時間煮込むビーフシチューなどがおすすめです。
最近疲れがとれない…と感じていたら、もしかしたら鉄分不足かもしれません。ほうれん草のお浸しや鉄のフライパン調理で、手軽に補給してみてくださいね。
▼参考文献
過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから
著者プロフィール
■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。