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2018.11.22

健康効果の高いコーヒーの適量は?

KenCoM編集部

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コーヒーと健康の関係性については世界各国で研究が進んでおり、様々な論文が発表されています。中でも2017年にBritish Medical Journal誌に掲載された、今までの研究をまとめて解析したデータ(※1)では、コーヒーを飲む人はまったく飲まない人に比べて、総死亡リスクが19%、心血管疾患の発症リスクが15%低下するという結果がでています。そのことからも、コーヒーが健康にいい影響を及ぼすということは現在の研究からほぼ確実だと言えそうです。

健康にいいのはわかったものの、もっと詳しくコーヒーについて知りたくはありませんか?
「1日何杯飲むと健康にいいの?」「カフェインって刺激物じゃないの?」など、コーヒーと健康にまつわる素朴な疑問について、KenCoMの監修医であり自身のブログでもコーヒーに関する研究論文の解説を行う石原藤樹先生に、突撃取材してみました。

コーヒーの適量とカフェインのホントをリサーチ!

Q:コーヒーは何杯飲んでも健康にいいの?

A:2015年のAmerican Journal of Clinical Nutrition誌に掲載された論文(※2)では、コーヒーをまったく飲まない人と比較して、1日平均で1杯(約180ml)も飲まない人は9%、1~2杯飲む人は15%、3~4杯飲む人は24%、5杯以上飲む人は15%、総死亡のリスクが低下したという結果がでています。
量については諸説あり、1日8杯程度までは飲んでも大丈夫としている論文もあるのですが、今のところは3~4杯程度がよさそうです。そのぐらいの量だと総死亡率が10~20%下がるのはほぼ間違いないと言われています。

ただし、妊娠中にコーヒーを多く飲んでいると、流早産や低体重の赤ちゃんが生まれるリスクが増加していることもわかっています。また、女性の閉経後の骨折リスクも、コーヒーを多く飲んでいる人の方が若干多い傾向。骨折に関しては本当にコーヒーだけの影響か有意ではなのですが、妊娠中や高齢者は1日1~2杯に留めた方が安全でしょう。

Q:カフェインは身体によくないの?

A:「眠気覚ましにコーヒーを飲む」など、コーヒーに含まれるカフェイン=刺激物という位置づけをしている人も多いですよね。カフェインには覚醒作用と常用性、さらに交感神経を刺激し、気分を高めるという作用があるから、“刺激物”というイメージがついているのだと思います。
ですが、カフェインの代謝は非常に早く、摂取後15分~45分で体内で速やかに吸収され、肝臓の代謝酵素の働きにより代謝されます。そのため、通常の摂取量であれば、カフェインが身体に害を及ぼすとは考えにくいのです。

カフェインは安全性が高いと言えますが、短時間に大量に身体に入り、血液濃度が急激に増加すると、中毒を起こして死亡することもあります。ただしその量は5L以上ですので、繰り返しになりますが、通常の摂取量であれば、カフェインについてそれほど気にすることはありません。

Q:コーヒーを飲むと胃が痛くなるのはカフェインのせい?

A:カフェインには胃を刺激し、胃酸の分泌を促す作用があります。健康な胃であれば痛くなることはないのですが、粘膜が弱っていると胃酸の刺激を感じやすく胃が痛くなることも。ひどくなると潰瘍になったりする可能性もあるので、胃が痛いと感じる場合はあまり積極的に飲まないほうがいいでしょう。

どうしても飲みたいという方は、ブラックで飲むのは控えてください。その場合牛乳で割ると動物性脂肪がコーヒーの健康効果の一部を相殺してしまうので、豆乳で割るのをおすすめします。

1日3~4杯程度のコーヒーがおすすめ!

カフェインの摂りすぎは健康に悪いのかと思いきや、意外と早く代謝されるため、そこまで気にしなくても大丈夫だとわかりました。ただし摂りすぎに注意しなければならない人もいるので、自分の体調や状態に合わせて量を調整しながらコーヒーを嗜んでくださいね。

次回11/29公開の記事では、「どんな飲み方がいいの?」「いつ飲むのがいいの?」など、コーヒー好きならぜひとも知りたい情報についてお届けします。
お楽しみに!

監修医プロフィール

石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

▼参考文献

※1 Coffee consumption and health: umbrella review of meta-analyses of multiple health outcomes

※2 Association of coffee intake with total and cause-specific mortality in a Japanese population: the Japan Public Health Center-based Prospective Study.

(文/KenCoM編集部)

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