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2020.05.15

ゆで卵ととろろ、肌や髪に良い成分をとれるのはどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.11】

kencom公式:管理栄養士・長有里子

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5月の紫外線は真夏とほぼ同じ量が降り注いでいます。肌や髪は、紫外線ダメージが顕著に表れる部分。
今回は、モーニングセットで定番の「ゆで卵」と、朝定食でおなじみの「とろろ」で、どちらが肌や髪の毛におすすめなのかを見てみましょう。

ゆで卵ととろろ、肌や髪に良い成分をとれるのはどっち?

正解はゆで卵

たまごの卵黄には「ビオチン」という、皮膚や爪、髪などの健康に関わるビタミンが含まれています。これが不足すると皮膚炎や脱毛などの様々な不調を起こすと言われています。

ゆで卵ととろろのビオチン量を比較すると、以下の通りです。

・ゆで卵は100g中、25.0μg
・とろろは100g中、2.2μg

この理由から、肌や髪に良い成分が摂れるのは「ゆで卵」となります。また日本人の食事摂取基準では、ビオチンの1日の摂取目安を18歳以上の人で50ugとしており、これは卵ひとつで1日に必要な量の1/4をとれる計算になります。

卵の調理法に要注意!

ただし、卵ならどんな調理法でもよいかというと、そうではありません。結論からいうとおすすめは「ゆで卵」や「目玉焼き」。その理由は、生の卵白に含まれるたんぱく質「アビジン」の働きが関係します。

<生の卵白に含まれる成分「アビジン」の性質>

・卵黄のビオチンと結合しやすく、結合されるとビオチンの吸収を妨げてしまう。
・卵を溶くと卵白のアビジンが卵黄のビオチンと結合し、吸収されにくい状態となってしまう。加熱してもその状態は変わらない。
・アビジンは、100ºC 以上に加熱すると熱変性により減少する。

そのため、卵黄と卵白をかき混ぜて作るスクランブルエッグや卵焼きなどはビオチンをとりにくいメニューとなります。髪や肌のケアを意識する際は、調理法に気を付けてみてくださいね。

生活習慣病が気になるなら、とろろ!

一方、とろろにだって注目していただきたい成分が含まれています。

とろろが消化吸収に良いことはご存知ですか。とろろには「ジアスターゼ」という消化酵素が多く含まれています。よく飲食店で麦ごはんにとろろがセットになっていますが、その理由は麦ごはんが消化吸収されにくいため。

また、特有のぬめり成分には血糖値やコレステロールの上昇を抑える働きがある上に、余分な塩分を排出するカリウムも豊富なため、血圧のコントロールにも役立ちます。

淡白な味わいながら、意外にも生活習慣病予防に役立つ食材なのです。

ゆで卵ととろろの栄養を効率よくとるには?

ゆで卵には「キャベツ」を合わせて

卵は“完全食品”といわれているほど栄養豊富な食材ですが、完全といえども食物繊維とビタミンCは含まれません。
そこで、おすすめの組み合わせが「キャベツ」。キャベツには食物繊維とビタミンCの両方が豊富に含まれているため、ゆで卵にキャベツサラダやキャベツのスープなどを合わせると、理想的な栄養バランスになります。

とろろは「生食」で!

お好み焼きなど加熱してもおいしいとろろですが、とろろの消化酵素は熱に弱く「生食」でいただくのが一番!すりおろしてご飯と一緒に食べるのもよし、細切りにして酢の物にするなど和食との相性がぴったりです。
もし、とろろ汁にする場合は、出汁でのばすときに40℃を超えないようにすれば酵素の働きは保たれますよ。

いかがでしたか?ゆで卵やとろろをメニューに加える際は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

▼参考文献

過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらからどうぞ

著者プロフィール

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■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。

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