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2015.07.01

あなたの体を流れる血は、悪玉コレステロールでドロドロ?

KenCoM編集部

写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。 (Photo: Kai Schreiber / CC BY-SA 2.0)

写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。 (Photo: Kai Schreiber / CC BY-SA 2.0)

脂質異常症は、かつては高脂血症と呼ばれた病気で、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)とトリグリセリド(中性脂肪)が増加し、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が低下した状態です。
高脂血症というと、数値が高いことだけが問題と思われがちですが、実際にはHDLコレステロールが低いことも動脈硬化を進めるので、脂質異常症という名前に変わったのです。

脂質異常症になると動脈硬化が進みやすくなるのが最大の問題で、そこから虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や脳卒中につながる危険が高まるため、命にかかわる話になってきます。

遺伝性の家族性脂質異常症という病気があり、この場合は最初から医療機関での治療が必要になります。ただ、それ以外の多くの脂質異常症は、体質と生活習慣との両方が原因となるので、生活改善により数値も改善する可能性があります。高エネルギー・高脂肪の食事や運動不足などが、異常を進めることが多いので、次のような方針で食生活の改善を目指すことが推奨されています。

・過食を抑え、標準体重を維持する。
・動物性の脂肪の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす。
・野菜、果物、未精製穀類、海藻の摂取を増やす。
・食塩を多く含む食品の摂取を控える(6g/日未満)
・アルコールの過剰摂取を控える(25g/日以下)

 生活習慣の改善で効果が不十分なときは、薬物療法が必要となるケースもあるので、早めにお医者さんに相談してください。

【参考文献】

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<監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

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