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2019.02.18

人前で緊張してしまう人にこそやってほしいこと【ココロノセンタク#2】

KenCoM公式:臨床心理士・小室愛枝

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こんにちは。臨床心理士の小室愛枝です。今日のテーマは、『人前で話すと緊張する』にしてみようと思います。
全く緊張しないという人もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方は多少緊張してしまうことが多いのではないでしょうか。では、一体どうしたらいいのか、一緒に考えていきましょう。

自分との対話で人前に立つ緊張感を和らげる

子どもでも大人でも複数の人の前で話すことって、時々ありますよね。子どもの頃は自己紹介だったり、学習やら音楽やらの発表だったり。数人の前で話すならまだしも、教室の前に出てクラス全体に話すなんて、好きじゃなかった人もいるのではないでしょうか。
子どもの頃はなんともなかったけれど、大人になってから人前で話すのが好きじゃなくなった、という人もいるかもしれませんね。仕事で挨拶やプレゼンテーションをしないといけない機会が増えることもあって、慣れている人や、人前で話すの大好き!というようなごく一部の人はいいのですけれど、何度経験しても毎回お腹いたくなる…なんていう人もいるかもしれません。

大勢の前で話すなんて、緊張しますものね…。

緊張を和らげる『セルフトーク』

そんなときに活躍するのは『セルフトーク』です。
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、一度覚えるといろいろな場面で使うことができるので、とっても便利です。なんでもカタカナだとわかりにくいですが、『自分で自分に話しかける』ということです。

さあ、今から大事なプレゼンテーションをしなくてはなりません。という場面を思い浮かべてみましょう。何かの会の挨拶でもいいですし、初めて会う数人に対して自己紹介をする、というところでもいいです。
緊張しているとき、自分自身になんて言ってあげましょう?

『緊張して当たり前』

ひとつ、大切なことは、人前で話すときに緊張するのは当たり前、ということです。少しも緊張がなく、あんまりゆるんでしまっていても、人前での発表を乗り切ることはできません。自宅でごろ~んとしながらテレビを見ているそのままの状態では、人前に出ないですものね。ということで、緊張そのものを全部取り払わなくてもよいのです。

そのうえで、

まずは、「大丈夫」とつぶやいてみましょう。

それから、

・人が自分を見ているのではない。自分が見ているのだ

・いっそのことオーディエンスのことを見ない。遠くの壁に向かって話す

・昨日までやってきたことを出すだけだ

・一番前の人は今夜の夕食のおかずを何にするかで頭がいっぱいかもしれない、となりの人はゆうべ寝不足で眠くて仕方ないかもしれない。みんな一生懸命目を開けて聞いているふうにしているけれど、きっとみんなそれぞれの生活のことでいっぱいで、自分のプレゼンを真剣に聞いてはいないかもしれない

・笑顔でうなずいてくれる人を見て話そう

・ここでうまくいってもいかなくても、自分の人生がすべて台無しになるわけではない

などなど、自分に語りかける言葉を探していかれるといいかなと思います。どんな『セルフトーク』が自分に効果があるのか、いろいろ試してみるといいかもしれません。

緊張するのは当たり前

緊張するのは当たり前です。
あまりにも緊張したときには、「今緊張してしまって頭が真っ白になっています。少し待ってください」と正直にアナウンスすることもできますね。きっとお気持ちをわかってくれる人がフロアに何人もいるはずです。

ご自分に効果的な『セルフトーク』の台詞、いろいろと試しながら工夫していかれるといいですね。

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著者プロフィール

■小室愛枝(こむろ・よしえ) 
臨床心理士・特別支援教育士。早稲田大学で心理学を学んだのち渡米。ボストンでカウンセリングの修士号を取得後、帰国。学生相談室・心療内科等での勤務を経て、現在は乳幼児の発達相談、小学校の巡回相談心理士、NPO法人らんふぁんぷらざ(発達に偏りを持つ子どもと家族のための支援機関)にて乳幼児から大人まで幅広い層の臨床を行っている。共翻訳著に『虐待・DV・トラウマにさらされた親子への支援――子どもー親心理療法――』(日本評論社)がある。

(文/小室愛枝)