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2023.12.27

「親がしんどい」を解きほぐす 第3回 「親孝行」という呪いの言葉-‟すべき“思考に気づく

マイナビニュース

毒親や親ガチャなど、親がもたらす子への影響の大きさが注目されています。毒親というほどではないけど、なんだか親がしんどい……という人も少なくないのではないでしょうか? 帰省を前にモヤモヤしている人、親とのコミュニケーションに悩んでいる人、そのモヤモヤを解きほぐしてみませんか。SNSやブログで話題の心理カウンセラー・寝子さん初の著書『「親がしんどい」を解きほぐす』(KADOKAWA)より、一部をご紹介します。

「子どもを愛さない親はいない」ですとか、 「親の心子知らず」ですとか、親側の心中をおもんぱかるフレーズが世の中にはあふれていますよね。これらの格言は、すべて親側の視点です。こういったフレーズを作っているのは、年長者であり強者であるということを改めて強調したいと思います。つまり、上の立場の人たちに都合の良いように作られているものであって、必ずしも正しいわけではないのですよね。このように広まっている通説には、 「大人側が強者である」という事実を伏せて、さも「被害者」かのようなニュアンスを暗に含んでいるものがあるのは悲しいことです。

このように世代を超えて浸透している世間の価値観が、 “呪いの言葉”としてご自身の心に影を落としていることが少なくありません。ですので、教えられた価値観とご自身の価値観を少し区別できるようにするためにここでは、「常識」 「言い伝え」を疑ってみましょう。ここでは、代表的な呪いの言葉を取り上げて反論することで、その縛りを少しずつ緩めていけたらと思います。

「親孝行」 は親側に都合の良い偏った言葉

「子ども孝行」 「子ども不孝」という言葉は存在しないのに、 「親孝行」 「親不孝」が言い伝えられている歴史こそ、強者の都合によって作られていることを象徴していますよね。「親孝行」と言うと、それは極めて素晴らしい行いであるように認識し、親より自分を優先すると人間的に問題があるようにすら感じてしまいます。親側の都合の良いように作られているのですから、子ども側には従わざるを得ない心理作用を起こさせるようにできているのですよね。

けれど、 「親孝行」のためにご自身のケアが後回しになっていたり、大切なパートナーの多大なストレスになっていたりするなら、必ずしも素晴らしい行いとは言えない負の側面を持っているのではないでしょうか。そう考えると、 「親孝行が善で親不孝が悪」なんて、まさに親に都合が良い偏った思考であることがわかります。

そもそも、 「親孝行」という恩返しをしなければならないほど、子どもは親に迷惑をかけるばかりの存在だったのでしょうか?そんなことはないはずです。まず、子どもを産むか産まないかの選択権は親にあります。

その後は、子どもを持ったことによって体験できた幸福があったはずです。そうでなかったとしても、 親の幸不幸の責任は親にあり、 子どもにはありません。加えて、決定権はいつも親にあったはずです。

“呪い” は 「すべき思考」 を連れてくる

こういった言葉が“呪い”と化すのは、自分の正直な気持ちを優先することができなくなり、「○○すべきだ」という思考になってしまう点です。「(親だから)嫌だと思ってはいけない」「イベント時は一緒に過ごさなくてはいけない」「親が不満に思うようなことをするのは親不孝者」けれど本当は、もっと自由で選択肢はたくさんあるはずです。

日々の生活が忙しければ、親からの連絡を鬱陶しいと思っても当たり前でしょうし、必ずしも毎年のイベントを共に過ごさなくてもいいはずです。いつもしなくてはいけないわけではありませんし、気持ちは何を思おうとも、感情そのものに良い悪いはありません。「親孝行」という教えによって不必要にご自身を圧迫してしまっていたら、それは”呪い”になっているということです。そのような場合、「教えは親(=強者)にとって都合良く作られた言葉なんだ」ということを意識するだけでも、その縛りからは解放されていくように思います。

▼‟教え”は、年長者と強者に都合良く作られている。

▼あなたの気持ちは自由で、思考も行動ももっと選択肢がある。

▼”呪いの言葉〟による「すべき思考」に気づく。

『「親がしんどい」を解きほぐす』(KADOKAWA)

著者:寝子

自分がどんなに疲れていても、親の頼みを断れない。親子喧嘩でひどい言葉を言ったり言われたりする。「私がやってあげなきゃ」というプレッシャーがある――こうした親に対するしんどさは、自分にとって大切な“気持ちの宝庫”。大人になったあなたは、親への関わり方をもう自分で選んでいいんです。心理カウンセラーの寝子さんが、子どものころの心理から解きほぐし、“大人になった今の心の状態”の理解まで深め、気持ちの抱え方も含めた具体的な対処法につなげる一冊。Amazonで好評発売中です。

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