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2023.11.26

利用者は年間約890万人。ふるさと納税のキホンと知っておくべきメリット&デメリット【健康とお金の最前線】

kencom公式:ファイナンシャルプランナー・山本美紀

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本連載『健康とお金の最前線』は、健康×お金にまつわるコラム。ファイナンシャルプランナー(CFP®)として活躍する、ライフプラン作成のプロである山本美紀さんに教えていただきます。

今回のテーマは、ふるさと納税です。総務省『令和5年度課税における住民税控除の実績等』によると、ふるさと納税の利用者数は約890万人で、利用率は14.9%で前年比+2.45ポイントでした。

多くの人が利用しているふるさと納税。実は2023年10月に改正され、返礼品について変更点がありました。今回はふるさと納税の仕組みから今回の改正まで、詳しくみていきましょう。

ふるさと納税とは?

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地方と大都市の格差を是正する制度として、2008年から始まったふるさと納税。自分を育ててくれた故郷に納税することができる制度としてスタートし、納税者が寄付先を選べる税の仕組みです。

ふるさと納税とは、自分で選んだ自治体に寄付をすると、寄付金額のうち2,000円を超える部分の金額が所得税と住民税から原則控除される制度です。毎年1月から12月までの1年間に寄付した金額から計算し、翌年の所得税・住民税がそれぞれ控除されます。

返礼品に関する改正あり。ポイントは?

2023年10月よりふるさと納税の返礼品に関する改正があり、以下の通り変更されています。

1. 返礼品の経費率を5割以下に引き下げ。その5割の中にこれまで含めていなかった発送費用や手数料も含める。
2. 返礼品に地場産品基準を導入。熟成肉や精米など、原材料が同じ都道府県産であることを必須にする。

ふるさと納税ポータルサイトへの手数料や事務費用が経費に含まれていないケースが発覚したり、海外等から輸入した肉を地元で一定期間熟成させ、地場産品として返礼品としていたケースが散見されたためにこの改正となりました。地場産品とは言い難いものが返礼品として採用されている状況を踏まえ、経費や地場産品の基準を厳格化されています。

ふるさと納税は、本当にお得なの?

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多くの方が利用しているふるさと納税ですが、メリットだけではなくデメリットがあります。制度をきちんと理解してから利用しましょう。

ふるさと納税のメリット

1. 寄付した自治体から返礼品を受け取ることができる。
2. 自分の生まれ故郷や応援したい地方など、自分で選んだ自治体に寄付ができる。
3. 上限額はあるものの、寄付した金額から2,000円を超えた金額分は、所得税および住民税から控除される。

上限はあるものの自己負担額2,000円で、自分が応援したい自治体に、寄付(ふるさと納税)ができる上、寄付した自治体から返礼品が受け取れるということが大きなメリットです。

ふるさと納税のデメリット

1. 節税効果はない。ふるさと納税は寄付という形の税金の前払い制度。
2. 控除限度額を超えた分は自己負担。
3. 誰でも金額に関わらず2,000円の自己負担あり。
4. 寄付した年には控除されない(翌年に控除)。
5. 確定申告が必要なケースもある。

控除限度額は収入によって変わりますので、収入の変動がある方は毎年計算する必要があります。また、寄付した翌年に控除されることから、転職、休職、退職時にも注意しましょう。

利用しやすく簡単になっている!ふるさと納税の手続き方法

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2008年にふるさと納税が始まった時には、確定申告が必要でした。その後、2015年にワンストップ特例制度が導入されて、一定条件を満たす場合には確定申告が不要になりました。現在では、会社員も利用しやすい制度になっています。

ふるさと納税の4つのステップ

ふるさと納税には、基本的に4つのステップがあります。

Step1. 自分の控除上限額を確認する
Step2. 寄付先と返礼品を決める
Step3. 返礼品と寄付金受領証明書がそれぞれ届く
Step4. 寄付金控除の手続きを取って控除を受ける

それぞれのステップについて詳しく説明します。

Step1. 自分の控除上限額を確認する

参考:ふるさと納税のしくみ | 総務省 ふるさと納税ポータルサイト https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

参考:ふるさと納税のしくみ | 総務省 ふるさと納税ポータルサイト https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

ふるさと納税の寄付自体に上限はありませんが、控除額の上限があります。これは年収や家族構成、住宅ローン控除の有無等によって、それぞれ異なります。

上記の年収別の上限額はあくまでも目安です。各ふるさと納税ポータルサイトでは、簡単に控除上限額シミュレーションができますので、ご自身の控除上限額を知るために、ご活用ください。

Step2. 寄付先と返礼品を決める

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ふるさと納税のポータルサイトなどから、寄付する自治体と返礼品を選びます。生まれ育った地域、これから応援したい地域など、これまで住んだことや行ったことのなかった地域のことを知るいいきっかけになるかもしれません。

また、各自治体がその土地の特産品を中心に数多くの返礼品を用意しています。物だけではなく、宿泊券や体験チケットなどもあり、健康維持に活用できる返礼品も数多く取り揃えられているので、ぜひチェックしてみましょう。

<健康関連の返礼品の一例>
・ダンベルなどの筋トレグッズ
・スポーツウェア
・ジム体験チケット
・プロテインや低糖質食品
・マッサージグッズ

その他、野菜、魚などなど、日々の食卓に欠かせない食材も揃っています。また、寄付の際に『特例の適用に関する申請書』の使用有無を記載する必要があります。確定申告の予定がない人は、申し込み書類を取り寄せておきましょう。

Step3. 返礼品と寄付金受領証明書がそれぞれ届く

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自治体によりますが、返礼品と寄付金受領証明書がそれぞれ別々に届きます。寄付金受領証明書は、この後の控除申請に必要ですので、大切に保管してください。

Step4. 寄付金控除の手続きを取って控除を受ける

控除(還付)を受ける方法は2通りあります。

1つめは、確定申告をする方法です。控除を受けるためには、原則寄付(ふるさと納税)した翌年の3月15日までに、確定申告をする必要があります。確定申告をすると、所得税・住民税それぞれの控除額が決まり、実際に控除や還付を受けられるのは翌年になります。確定申告を行なう際には、寄付をした自治体が発行する寄付の証明書・受領書や、専用振込用紙の払込控(受領書)が必要となる場合があります。

2つめは、ワンストップ特例制度を利用する方法です。会社員等で年末調整を受けている方で、1年間に寄付(ふるさと納税)をした自治体数が5団体以内であれば、確定申告が不要となります。この特例を『ふるさと納税ワンストップ特例制度』と言います。

出典:ふるさと納税トピックス 制度改正について(2015年4月1日)| 総務省 ふるさと納税ポータルサイト
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20150401.html#block02

出典:ふるさと納税トピックス 制度改正について(2015年4月1日)| 総務省 ふるさと納税ポータルサイト https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20150401.html#block02

ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用する場合は、ふるさと納税をした自治体へ『特例の適用に関する申請書』を提出する必要があります。申込時にワンストップ特例制度を利用するとしていた場合、申請書は通常寄付をした自治体から郵送されます。その申請書に必要事項を記入し、本人確認書の写しを同封して、寄付をした年の翌年1月10日までに返送すれば完了です。例えば2023年9月に寄付をした場合、2024年の1月10日までに申請書を提出します。

この特例の適用を受ける場合は、所得税からの控除は発生せず、ふるさと納税を行なった翌年の住民税が減額されるという形で控除されます。期限までに申請書を提出をしなかった場合は、確定申告が必要です。

ワンストップ特例制度を利用した場合は、翌年の6月ごろに発行される住民税決定通知書の摘要欄に記載される控除額をチェックして、手続きが正しく行われているか確認しましょう。

納税者として寄付先を選ぼう

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ふるさと納税は、税金の前払いという形で納税者が寄付先が選べる上、地域の返礼品も楽しめるというメリットが多い制度です。

一方で、その税金は本来、ご自身が今現在居住する自治体の行政サービスに使われる税金であり、ふるさと納税をすることで寄付を受けた別の自治体にそのお金が回っています。とこうしたことも理解した上で、ふるさと納税を活用してください。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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山本美紀(やまもと・みき)
ライフデザインオフィス【想-創】代表
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、家計整理アドバイザー。家計相談やライフプラン作成の他、ママ向けのセミナーや講座を通じて、暮らしを豊かにするための情報発信をおこなっている。正社員、派遣社員、専業主婦、そして個人事業主とライフステージに合わせて働き方を変えてきた経験からのお金とキャリアプランのアドバイスが好評。

制作

文:山本美紀

※本記事は2023年10月時点での情報です。
※制度は変更する場合がありますので、利用する際には、最新情報の確認ください。

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