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2023.11.02

電子レンジで簡単調理。たっぷりきのこのシーフードチャウダー【旬野菜レシピ】

kencom公式:管理栄養士・前田量子

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野菜を多く食べる人は脳卒中や心臓病、ある種のがんにかかる確率が低いという結果が多くの研究から導き出されています。しかし、日本人の野菜類平均摂取量は、目標の350gに届かず「健康にいいことはわかっているが、十分な量の野菜を摂取できていない」のが現状です。

『旬野菜図鑑』で紹介した栄養満点のきのこをたっぷりいただくレシピを管理栄養士の前田量子さんに教えていただきました。

電子レンジで簡単調理。たっぷりきのこのシーフードチャウダー

肌寒くなってきた秋にぴったりのチャウダー。食物繊維など様々な栄養が含まれているきのこ類をふんだんに使って、電子レンジで簡単に作れる方法をお伝えします。

材料(4人分)

お好みのきのこ 400~500g
※今回はしめじ、ひらたけ、まいたけ、エリンギ 100~150gずつ(各1パック)

シーフードミックス 190g
低脂肪乳 400mL
コンソメ(顆粒) 大さじ1.5

片栗粉 大さじ1
水 大さじ1

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主な栄養素(1人分)

エネルギー 127kcal
たんぱく質 15.5g
脂質 1.9g
食物繊維 3.9g
カリウム 732mg
カルシウム 145mg
マグネシウム 54mg
ビタミンD 2.5μg
ビタミンB1 0.28mg
ビタミンB2 0.50mg
ナイアシン当量 12.5mg
葉酸 80μg

作り方

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1. きのこは食べやすい大きさに切る。筒切りにしたり縦にスライスしたりお好みでOK。

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2. 耐熱ボウルにきのこをすべて入れて、ラップをかけて電子レンジ600wで100gあたり1分30秒加熱する。今回は490gなので、約7分半加熱。

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3. きのこが入ったボウルにシーフードミックスを加えてざっくりと混ぜ、コンソメを上からかける。

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4. さらに全体重量に対して1分加熱する。今回は680gなので、約7分。低脂肪乳を加え100mLにつき1分30秒加熱する。今回は400mLなので6分。

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5. 電子レンジから取り出して水溶き片栗粉を加え、全体をかき混ぜる。

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6. さらに1分加熱したら完成。

このレシピのポイント

難しい電子レンジの加熱時間を上手に割り出す

電子レンジ調理は時短になり、周りも汚れにくいなど、メリットがたくさん。でも、加熱時間が難しいと思う人がいるかもしれません。

加熱時間を割り出す時に重要なのが、重さを計ること。電子レンジは水分などに直接作用して発熱するので、重量に正比例する特徴があります。例えば100gの食材が1分で火が入るというものの場合、200gなら2分、300gなら3分になります。

今回のレシピでは、シーフードに熱が入りすぎることを防ぐため、最初はきのこのみで加熱しています。きのこは100gあたり電子レンジ600wで2分くらいが目安ですが、シーフードを加えてさらに加熱するので1分30秒にしておきます。今回は全部で500g弱なので、7分30秒となります。

また、シーフードを加えてから予熱も利用するため、今度は総量に対して100gあたり1分、牛乳を加えたら牛乳に対して100mLあたり1分30秒といったように加熱していきます。

この公式さえわかっていれば、だんだんとレシピを見なくても調理ができるようになってくるでしょう。電子レンジだけなので水分を入れず、きのこの水分だけで調理が可能となり栄養を凝縮した形で摂ることができるのも優れています。

ただし、電子レンジの機種や使用状況により必要な加熱時間が変わることがあります。調理の際にはご自宅の電子レンジを確認しましょう。

低脂肪乳を使って飽和脂肪酸を下げる

このレシピでは牛乳ではなく低脂肪乳を使っています。低脂肪乳を使うことで、血液中のコレステロールを増加させたり高血圧にしたりする飽和脂肪酸を下げることができます。

低脂肪乳は加工乳に脱脂粉乳などを加えたもののため、牛乳から脂肪分を取り除いた低脂肪牛乳より、さらにカロリーなどをおさえることが可能です。

このレシピの栄養ポイント

ポイント1.低カロリー高たんぱくで効率よく栄養摂取

今回は炒める工程がなく、材料もきのこ、シーフードや低脂肪乳なため1人分127kcalと、とても低カロリーです。たんぱく質は15g以上摂れ、成人男性が1日に必要な量の25%になります。

ポイント2.三大ミネラルが豊富で高血圧予防に

このレシピは高血圧予防効果が期待できる三大ミネラルが豊富です。三大ミネラルとは、カリウム、カルシウム、マグネシウムのこと。

高血圧は生活習慣病の大きなリスク要因で、予防が重要とされています。予防の基本は減塩です。厚生労働省が食塩摂取の目標値を定めており、2020年の改定後は1日あたり男性7.5g、女性6.5gとなっています。これはWHOの基準5g未満よりも高い値ですが、達成できていないのが現状です。

日本の食文化と塩は、特に深い関わりがあるため、急に食文化を変えるのは難しいといえます。そこで、中央値を高めに設定し、徐々に減らしていこうとしているので、現状ではWHOよりも日本の目標値は高めなのです。ですから、減塩だけでなく、体から塩分を排出する効果が期待できる栄養素にも注目してみましょう。体から塩分を排出する栄養素がカリウム・カルシウム・マグネシウムの三大ミネラルです。

ポイント3.汗で出ていくカリウムを補充

カリウムは体液の浸透圧を調整したり、神経や筋肉の情報伝達にも関係している重要なミネラルです。特筆すべきはナトリウムの排出を促す作用です。

1日の目安量は18歳以上の男性で2,500mg、女性で2,000mgとなっています。また目標量は18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です。

日本人のカリウム摂取量は不足傾向にあります。積極的に摂りたい栄養素ですが、腎臓機能に障害がある方は注意が必要です。健康な人の場合、摂取量を増やすことによって血圧低下、脳卒中予防につながることが様々な実験や疫学調査によりわかってきています。

カリウムは汗で排出されてしまうため、多量の汗をかくと浸透圧の調整がうまくいかず脱水症状を起こすことも。通常の健康な状態でバランスの良い食事をしていればカリウムは欠乏しません。しかし下痢・嘔吐などで大量に損失すると、浸透圧調整機能が崩れたり、食欲不振などを引き起こすこともあります。

今回のレシピは、カリウムが732mgと成人男性の1日の目標量の25%を摂れるというすぐれものです。

ポイント4.衰える骨をカルシウムで丈夫に

カルシウムは、体内に最も多く存在するミネラルで、体重の1〜2%を占めています。このうち、99%は骨や歯などの硬い組織に、残り1%は血液や筋肉、細胞に存在しています。

カルシウムは細胞の情報伝達、筋肉の収縮、神経の働きをサポートするなど大切な役割を担っています。1日の推奨量は30〜74歳の男性で750mg、女性で650mgとなっています。

しかし、日本人のカルシウム摂取量は不足傾向にあります。不足すると骨粗しょう症のリスクが高まります。特に閉経後の女性は吸収率が低くなるため、積極的に摂取してほしい栄養素です。

チーズやヨーグルト、牛乳などの乳製品、しらすや鯖缶、鮭の中骨缶などの骨ごと食べられる魚、ひじきなどの藻類、ごまやアーモンドなどの種実類、小松菜や青梗菜等の緑黄色野菜等があります。今回のレシピではカルシウムを145mgも摂ることができます。また吸収を助けるビタミンDもあるため効率よく吸収可能です。

ポイント5.不足しがちなマグネシウムがふんだんに

マグネシウムは骨や歯の形成に深く関与している栄養素で、全体の50~60%は骨に存在しています。またマグネシウムは300以上の酵素の働きを助ける役割を担い、炭水化物、脂質、たんぱく質の代謝や体温の調節、神経の伝達、筋肉の収縮にも関与しています。

1日の推奨量は30〜64歳の男性で370mg、女性で290mgですが、全体的に不足気味です。不足すると低マグネシウム血症となり、吐き気、嘔吐、眠気、脱力感、食欲不振、筋肉の痙攣、ふるえなどを招くことがあります。

マグネシウムを多く含む食材は、にがり、海苔やわかめなどの藻類、しらす、あさりなどの魚介類、豆腐、油揚げなどの豆類などです。今回のレシピなら、マグネシウムを54mg摂ることができます。

ポイント6.ビタミンB群が豊富

本レシピは、ビタミンB群が豊富です。ビタミンB群は三大栄養素のエネルギー代謝に非常に深く関与している大切な栄養素です。低カロリーな上に一緒に食べる他のおかずや主食のエネルギー代謝のサポートもしてくれるありがたい存在です。

ポイント7.緑黄色野菜をプラスすれば栄養バランスがもっとよくなる

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今回のレシピはたんぱく質やカルシウム、ビタミンB群が豊富ですが、ビタミンA、C、Eがやや足りません。

サラダを追加するのもいいですが、小松菜やほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜をチャウダーに入れるのもおすすめです。

残念ながら、これだけ食べておけば大丈夫という食材はありませんので、色々な食材をバランスよく摂ることを心がけましょう。

引用・参考文献

『栄養の基本がわかる図解事典』中村丁次・監修 成美堂出版

著者プロフィール

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前田 量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

制作

文・レシピ:前田量子

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