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2023.10.09

砂糖や甘味料を摂り過ぎると腎結石になりやすい?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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砂糖や甘味料などを日常的に摂取することが生活習慣病の原因のひとつとされることは常識となりつつありますが、腎結石もそういった食習慣が関連しているのでしょうか?

今回ご紹介するのは、Frontiers in Nutrition誌に2023年8月4日付で掲載された、腎結石のリスクと食事の砂糖などの甘味料との関連についての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

腎結石は誰もがなりうる病気

腎結石(腎尿路結石)は文献(※1)の記載によれば、アメリカでは生涯で10人に1人が感染するという報告があるほど、その罹患率の高い病気です。腎結石は再発をし易い病気で、一度痛みを伴う発作を起こすと、半数は10年以内に再発するというデータも報告されています。

腎結石の正確な原因は不明で、複数の生活習慣や食事の因子が、関連のあるとする疫学データが存在していますが、個々の根拠はそれほど確かなものではありません。そうした食習慣の1つが、砂糖などの甘味料の摂取です。

アメリカの健康調査データを活用して検証

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今回の臨床研究では、アメリカの再規模な健康調査のデータを活用して、この問題の検証を行っています。

対象は28303人の一般住民で、砂糖などの甘味料を添加した、ジュースなどの清涼飲料水やお菓子などからの、添加された糖質の摂取量と、腎結石の発症リスクとの関連を比較検証しています。

その結果、砂糖などの添加糖からの接種カロリーが、4分割して最も多かった群は、最も少ない群と比較して、腎結石の発症リスクが1.39倍(95%CI:1.17から1.65)有意に増加していました。

生活習慣病を予防する食事療法は腎結石にも有効

このように腎結石は生活習慣病の一種という捉え方をすることが可能で、肥満や心血管疾患を予防する食事療法は腎結石を予防する食事でもあると,そう考えることが必要であるのかも知れません。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医

発表論文
Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36
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