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2020.04.01

納豆などの大豆発酵食品には生命予後改善効果がある?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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大豆が健康にいいという話はよく聞きますが、大豆ならなんでも健康効果があるわけではないようです。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2020年のBritish Medical Journal誌に掲載された、大豆食品の生命予後に与える影響についての論文です。
有名な日本の疫学データを解析した日本発の研究です。

▼石原先生のブログはこちら

大豆食品と大豆発酵食品の健康効果に差はあるか?

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大豆に含まれているイソフラボンというポリフェノールには、血管の平滑筋の増殖を抑えるなど、動脈硬化を予防するような作用のあることが報告されていて、心血管疾患の予防や、高血圧の予防に有効であるという可能性が示唆されています。

ただ、動物実験では高血圧予防効果が報告されている一方で、大豆蛋白の摂取と高血圧との関連を検証したデータを、まとめて解析したメタ解析の論文では、あるものでは血圧降下作用が認められたとされている一方で、別のものでは有意な降下作用が認められていないなど、その結果は一定していません。

ここで1つ原因として考えられるのは、大豆食品と大豆発酵食品(味噌や納豆など)との違いです。

大豆に含まれるイソフラボンは、腸内細菌の働きによって代謝されてから吸収されるので、その吸収には個人差があってかなり不安定なのですが、発酵食品に含まれているイソフラボンは、アグリコン型と呼ばれる小分子となっていて、腸内細菌によらずにそのまま吸収されるからです。

大豆製品、大豆発酵食品、豆腐の摂取量と生命予後の関連を検証

納豆などの大豆発酵食品の摂取で生命予後が改善

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今回の研究は、日本の有数の大規模疫学データである、多目的コホート研究のデータを活用して、この問題を日本人で検証しています。

対象となっているのは、登録時点で年齢が45から74歳のトータル92915名で、食事アンケートから得られた、大豆製品、大豆発酵食品(納豆、味噌)、豆腐の摂取量と、14.8年という長期の経過観察における、生命予後との関連を比較検証しています。

その結果、トータルな大豆の摂取量と総死亡リスクとの間には、有意な関連は認められませんでした。

しかし、納豆や味噌の発酵大豆食品の摂取量で見ると、それを5分割して最も多い群は、最も少ない群と比較して、女性で10%(95%CI: 0.83 から0.97)、男性で11%(95%CI: 0.80から0.98)、総死亡のリスクがそれぞれ有意に低下していました。

また、納豆の摂取量が多いほど、両方の性別において心血管疾患による死亡リスクが、有意に低下していました。

このように今回の日本の疫学データにおいては、大豆の発酵食品による生命予後の改善効果が認められました。

医学的にも大豆の発酵食品は健康にいいことが判明

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大豆の発酵食品が健康に良さそう、という点では多くのデータがありますが、このような大規模データで生命予後への効果が確認された、というような報告はこれまでにあまりなく、今後の検証にも期待をしたいと思います。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36