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2023.08.14

一生元気でいたい!50代のダイエットで意識してほしい5つのこと

kencom公式ライター:村岡祐菜

将来の健康を維持するために、ダイエットする最後のチャンスである50代。年齢を重ねるにつれてやせにくい体質へと変化している今、若いころのダイエットと比べて何を意識すればよいのでしょうか。

今回お話を伺ったのは、管理栄養士で『50歳からは「食べやせ」をはじめなさい』の著者である森由香子先生です。50代のダイエットで意識してほしい5つのポイントについて、詳しく解説していただきました。

森 由香子(もり・ゆかこ)先生

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管理栄養士/日本抗加齢医学会指導士
東京農業大学農学部栄養学科卒業、大妻女子大学大学院(人間文化研究科 人間生活科学専攻)修士課程修了。管理栄養士として医療機関をはじめ幅広い分野で活動中。管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士の立場から食事からのアンチエイジングを提唱し、「かきくけこ、やまにさち」®食事法の普及につとめている。東京都内クリニックで栄養指導、食事記録の栄養分析、フランス料理の三國清三シェフととともに病院食や院内レストランのメニュー開発、料理本制作の経験をもつ。著書に『50歳からは「食べやせ」をはじめなさい』(青春出版社)がある。

50代のダイエットで意識すべき5つのポイント

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下記の記事で「50代はダイエットの最後のチャンスである」とお伝えしました。

この記事では具体的に50代のための最適なダイエット方法をご紹介していきます。

#1 体重を落とすことよりも生活リズムを整えることを意識しよう

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50代のダイエットでまず意識してほしいのは「ダイエット=体重を減らす」ではない、ということです。本来は、どの年代のダイエットでも大切なポイントかもしれません。しかし、とくに50代のダイエットでは、健康的な生活習慣を身につけることをゴールにして欲しいのです。

そもそも、健康的な生活習慣が身についていれば、必要以上の脂肪が体につくことはありません。今現在、肥満傾向にあることは、「今の生活習慣が健康的ではありませんよ」というサインといえるでしょう。

つまり、生活習慣が健康的なものになれば、体重を減らそうとしなくても自然に健康的な体型へと変化するはずです。しかし、生活習慣のどこがよくないのかを分析しないまま体重を減らすことを考えてしまうと、食べる量を減らして栄養不足に陥り、余計に不健康になってしまう可能性があります。

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例えば「摂取カロリーを減らすために朝食を抜く」というケースがあります。しかし、ダイエットをするうえで食事を抜くのは逆効果です。

本来朝食は、1日に必要なエネルギーや栄養素の約20%を補給する役割があります。朝食抜きダイエットは、栄養不足の原因になってしまうのです。また、朝食を食べない人は空腹から間食が増えたり、間食により本来の食事の時間にお腹が空かなかったりして、食事の質が下がりやすくなる傾向があります。

朝食で必要な栄養素を摂取できれば、あえて我慢しなくても自然と間食をしたいと思わなくなるはず。「とにかく朝に何か食べなければ!」と、菓子パンや野菜ジュースだけで済ませている人は要注意です。

朝食メニューの理想は、主食と主菜、副菜をバランスよく食べること。急に完璧を目指そうとすると挫折してしまうので、何か一つでも栄養バランスを意識したメニューを取り入れられるとよいですね。

#2 食事はカロリーよりも栄養バランスを意識しよう

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ダイエット中の食事で、気になるのが“カロリー”ではないでしょうか。「とにかくカロリーの低い食材をたくさん食べてお腹を満たそう」と、低カロリーな食材ばかりを選んでダイエットメニューを立てるという方もいるかもしれません。

実は、ダイエットで「カロリーだけを気にする」のは、NG行為。カロリーだけを重視して低カロリーなものばかりを選ぶと、栄養バランスが偏ってしまい、健康的な食事にはなりません。50代のダイエットで意識したいのは「健康的な生活習慣を身につけること」でしたね。つまり、食事も、カロリーではなく栄養バランスを意識することが大切なのです。

栄養バランスについては、「1日に30品目食べましょう」といった言葉がよく言われています。ただ、実際に30品目を毎日意識して食事のメニューを考えるのはかなり大変。そこで、森先生が推奨しているのが、まずは以下に挙げる10品目を1日の食事ですべて満たすことを意識してみましょう、ということです。食材の頭文字をとって『かきくけこやまにさち』と覚えてください。

『かきくけこやまにさち』
か:海藻類
き:きのこ類
く:果物類
け:鶏卵
こ:穀類・いも類
や:野菜類
ま:豆類・種実類
に:肉類
さ:魚(魚介)類
ち:チーズ(乳製品)・牛乳

3食で10品目であれば、少しメモするだけで、すぐに実践しやすいと思います。上記の10品目を毎日意識して摂取するだけでも、かなりバランスのよい食事に近づきます。

バランスのよい食事を意識すると、自然に1食あたりの品数が増え、3食で十分にお腹を満たせるようになります。ダイエット中だからといって無理におやつを我慢したり、空腹に耐えたりする必要はありません。栄養バランスのとれた食事ができるようになると、自然におやつを食べたい気持ちがなくなっていきます。

ちなみに、3食の中で最も大切にしてほしいのが朝食です。朝食で糖質と野菜、たんぱく質がしっかりと摂れていると、“セカンドミール効果”で、昼食や夕食のときに血糖値の急上昇が防げます。

#3 食事量は“お腹いっぱい”ではなく“腹八分目”

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ダイエット中だからといって、無理に食事量を減らして空腹を我慢する必要はありませんが、食事は腹八分目を意識しましょう。お腹が苦しくなるまで食べてしまうのは、食べすぎのサインです。

とくに肥満傾向の方は、レプチンの働きが低下して満腹を感じにくくなっています。食事をゆっくりと味わって食べることで、腹八分目のタイミングに気付きやすくなるでしょう。

#4 加齢とともに代謝が落ちていることを認識する

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50代のダイエットでは、20代や30代のころと比べて代謝が落ちていることを意識する必要があります。年齢を重ねると、“太りやすくやせにくい体質”へと変化します。だからこそ、代謝を上げるために筋肉をつけることが大切なのです。

食事のバランスを意識するなかでも、とくに筋肉の材料となるたんぱく質を摂ることは意識しましょう。材料となるたんぱく質をしっかりと摂取したうえで、運動して筋肉をつけることが、健康的な体型を手に入れる近道です。

#5 運動を日常に取り入れる

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筋肉をつけるためには、食事のバランスを整えることに加えて、運動習慣をつける必要があります。理想的な運動習慣は、ジムに通って有酸素運動と無酸素運動をバランスよく取り入れることです。しかし、今までまったく運動習慣がなかったところから、いきなりジムに通い始めるのはハードルが高いと感じるのではないでしょうか。

運動を習慣化するうえで一番大切なことは、毎日続けること。せっかくジムに入会しても、ハードルが高すぎて途中で挫折してしまうのは本末転倒ですよね。まずは普段の生活の中に取り入れやすい運動から始めましょう。

おすすめは、早歩きで20〜30分程度の散歩をすること。体重や歩幅などにもよりますが、約150kcalのエネルギーを消費できます。

まとまった運動の時間を作れないようであれば、日常生活での動作を増やすところから始めてみてください。たとえばエレベーターではなく階段を使ったり、スーパーで遠くの駐車場に停めて歩いたりするだけでも運動量を増やせます。夕食後は座ったり寝転んだりするのではなく、すぐに食器洗いをするのもよいですね。1日に10kcalでもよいので、とにかく少しでも動作を増やすよう工夫するのがポイントです。

健康的な生活習慣を身につけて自然とやせる環境を作ろう

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冒頭でもご説明したとおり、一番大事なことは、50代のダイエットでは、一時的に体重を減らすことではなく、健康的な生活習慣を身につけることをゴールにすること。健康的な習慣が身につけば、将来の健康維持にもつながります。

バランスのよい食事で必要な栄養をしっかりと摂取して、腹八分目を意識し、運動習慣を取り入れて、筋肉の貯蓄を作り、健康的に長生きすることを目指しましょう。

森先生の書籍では、記事のなかで紹介しきれなかった食事のポイントが紹介されています。さらに詳しく知りたい方は、ぜひ森先生の書籍『50歳からは「食べやせ」をはじめなさい』もチェックしてみてくださいね。

■今回のお話を伺った森由香子先生の著書

『50歳からは「食べやせ」をはじめなさい』森由香子・著 青春出版社

『50歳からは「食べやせ」をはじめなさい』森由香子・著 青春出版社

記事情報

著者プロフィール

村岡祐菜(むらおか・ゆうな)
薬剤師・フリーライター
千葉大学薬学部薬学科卒業後、薬局薬剤師として約4年間勤務後、ライターとして独立。現在は不定期で薬局薬剤師として現場に入りつつ、医療関連のコラム制作や取材記事の制作に関わる。専門知識を一般の方にもわかりやすく伝える文章を書くのが得意。

制作

監修:森由香子
取材・文:村岡祐菜

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