2023.04.18
解熱鎮痛薬選びの参考に。ロキソプロフェンとアセトアミノフェンに違いはある?【おくすりコラム】
私たちにとって身近な薬のひとつが、解熱鎮痛薬。常備薬として頭痛や腰痛のときに使ったり、最近では新型コロナワクチン接種後、発熱した際に服用したという方も多いのではないでしょうか。
今回のテーマは、解熱鎮痛薬の選び方と使い分けについてです。購入に迷った時の参考にしてください。
ロキソプロフェンとアセトアミノフェン、どう選ぶ?
急な発熱で薬局に駆け込むと、ずらっと並んでいる解熱鎮痛薬の中から、自分に合うものを選ぶのは至難の技です。実は、成分や特徴は薬によって異なります。まず見て欲しいのが薬の外箱の裏側にある『成分・分量』の表記です。
解熱鎮痛薬によく使われる、ロキソプロフェンとアセトアミノフェンの2つの成分には、どちらも解熱、鎮痛作用がありますが、それぞれ特徴があります。
それぞれの作用とメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
即効性が高いロキソプロフェン
ロキソプロフェンは、解熱鎮痛薬のうちNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)というグループに含まれる薬です。NSAIDsは末梢に作用し、体のなかで炎症や痛みを起こす物質をおさえ、
・解熱
・鎮痛
・抗炎症
の3つの作用を発揮します。
メリット
ロキソプロフェンのメリットは、痛み、炎症、熱にバランスよく効果を発揮することです。市販の解熱鎮痛薬の中でも、速く、強く効果を発揮するため「今すぐつらい痛みをなんとかしたい!」という時の心強い選択肢になります。
デメリット
デメリットは、ロキソプロフェンなどのNSAIDsを飲むと消化器に負担がかかることがあります。胃腸が弱い方の服用は注意が必要です。また子どもや妊婦は服用できません。
子どもも服用できるアセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、脳の体温を調節する中枢にはたらきかけて、痛みや熱を和らげると考えられています。
メリット
アセトアミノフェンのメリットは、妊娠中や授乳中でも安全に使用できる点や、15歳未満の子どもの頭痛や生理痛、発熱に使える点などがあげられます。また、インフルエンザの疑いがある発熱時は、アセトアミノフェンがよいとされています。
デメリット
一方のデメリットとしては、ロキソプロフェンなどのNSAIDsと比べて痛みを和らげる働きが穏やかなことがあげられます。また、炎症による赤みを抑える効果はほとんどありません。
肝障害、腎障害、またはその既往歴のある方は、注意が必要です。気になる方は薬剤師に相談しましょう。
解熱鎮痛薬が必要なときは…
ロキソプロフェンとアセトアミノフェンを含む薬は、病院で処方される医療用医薬品ですが、ドラッグストアでも購入することができます。健康状態に問題のない大人であればどちらを選んでいただいてもかまいません。
また、既に服用している薬がある場合は、必ず薬剤師へ。
迷ったら薬剤師に相談を
解熱鎮痛薬には、たくさんの種類があり、どれを選ぶべきか迷うかもしれませんが、薬局にいる薬剤師に自分の症状等を説明して、適切な薬を選んでもらうのが一番のおすすめです。今回の内容を参考にしていただき、困った時には気軽に薬剤師に相談しましょう。
記事情報
引用・参考文献
著者プロフィール
高垣 育(たかがき・いく)
2001年薬剤師免許を取得。調剤薬局、医療専門広告代理店などの勤務を経て、12年にフリーランスライターとして独立。薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。15年に愛犬のゴールデンレトリバーの介護体験をもとに書いた実用書『犬の介護に役立つ本(山と渓谷社)』を出版。人だけではなく動物の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行い、さまざまな媒体に寄稿している。17年には国際中医専門員(国際中医師)の認定を受け、漢方への造詣も深い。
制作
文:高垣育