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2023.05.20

薬剤師が解説!エナジードリンクとの上手な付き合い方【おくすりコラム】

kencom公式:薬剤師ライター・高垣 育

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仕事で疲れた時や寝不足で頭や体がすっきりしない時、エナジードリンクに頼ってしまうこと、ありますよね。コンビニで気軽に買えるエナジードリンクですが、過剰摂取は健康被害を引き起こしかねません。体にとって好ましくない影響を及ぼす恐れがあるため、ぜひ正しい飲み方を知っておきましょう。

意外と違うエナジードリンクと栄養ドリンク

エナジードリンクは、清涼飲料水に分類される飲み物です。カフェインやアミノ酸、ビタミンなどの成分が入った炭酸飲料をエナジードリンクと称すことが多く、特に摂取量の制限はありません。

よく似た用途で利用されるのが、栄養ドリンクです。こちらは医薬品や医薬部外品に分類され、効果効能の表記があり、服用量が定められています。

エナジードリンクと栄養ドリンクの違いは?

どちらを選べばよいか迷ったら、滋養強壮などの効能・効果を期待するかどうかで決めましょう。

疲労回復や栄養補給を目的とするなら医薬品・医薬部外品の栄養ドリンクを選びましょう。

仕事や勉強などで根を詰めすぎて気分を切り替えたいときやリフレッシュしたいときなどには、清涼飲料水のエナジードリンクを選ぶとよいでしょう。

エナジードリンクが抱える問題

エナジードリンクにはカフェインが含まれている商品が多くあります。カフェインは、適量を摂れば、頭がすっきりする、眠気を覚ますなどのはたらきが期待されます。しかし、このカフェインの摂取について、国際機関から注意喚起がなされています。カフェインが含まれたエナジードリンクの飲み過ぎによるカフェイン中毒により死亡した例があるためです。

多くのカフェインを含むエナジードリンクがある一方で、先ほど説明したようにエナジードリンクは清涼飲料水ですので、摂取制限がありません。知らずに毎日大量のカフェインが入ったエナジードリンクを飲み続けると、健康被害を起こす可能性があるのです。

カフェインの過剰摂取が引き起こす健康被害

カフェインは茶葉やコーヒー豆に含まれる自然由来の成分で、エナジードリンク、コーヒーなどの食品に含まれるほか、医薬品として処方されることもあります。

適量を摂取すれば、頭がすっきりして眠気が覚めますが、過剰に摂取すると健康に影響を及ぼすことがあります。たとえば、中枢神経の刺激によって心拍数の増加、興奮、不眠に陥ったり、消化器官を刺激することで、下痢、吐き気などを起こしたりすることがあります。

身近な飲み物とカフェインの濃度

引用:カフェインの過剰摂取について | 農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html)

引用:カフェインの過剰摂取について | 農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html)

日本ではカフェインの具体的な摂取量の目安は示されていませんが、米国食品医薬品局(FDA)や欧州食品安全機関(EFSA)、カナダなどの海外のリスク管理機関などが勧告しているカフェインの目安量は、健康な成人で400mg/日で、コーヒーだとマグカップ3杯くらいとされています。

では、身近な飲み物にどのくらいのカフェインが含まれているのでしょうか。製品によりますが、100mLあたりのカフェイン濃度を比較すると上記の表の通りです。

エナジードリンクは、カフェイン量が低いものもありますが、最大で300mgとコーヒーの5倍量が含まれていることもあります。製品によって異なりますので、過剰摂取にならないためには、自身で商品パッケージの裏側にある栄養成分表示でカフェイン量を確認することが重要です。

エナジードリンクと上手に付き合おう

忙しい日々、エナジードリンクなどのドリンクを飲むことは気分転換になる方もいらっしゃるでしょう。適切に活用するためにも、各商品に含まれるカフェイン量を確認して、飲みすぎにはくれぐれも注意しましょう。

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引用・参考文献

著者プロフィール

高垣 育(たかがき・いく)
2001年薬剤師免許を取得。調剤薬局、医療専門広告代理店などの勤務を経て、12年にフリーランスライターとして独立。薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。15年に愛犬のゴールデンレトリバーの介護体験をもとに書いた実用書『犬の介護に役立つ本(山と渓谷社)』を出版。人だけではなく動物の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行い、さまざまな媒体に寄稿している。17年には国際中医専門員(国際中医師)の認定を受け、漢方への造詣も深い。

制作

文:高垣育

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