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2023.02.23

【知ってる?】妊活に「葉酸」が大切なワケ - 医師がすすめる妊活に重要な栄養素や食材は?

マイナビニュース

妊活中の人や妊婦さんは摂取した方が良い栄養素として「葉酸」を聞いたことがある人も少なくないはず。ですが、なぜ葉酸が必要なのか、どうやって葉酸を摂取すれば良いのかなどをきちんと皆さんは理解できているでしょうか? 今回は、そんなギモンを徳島赤十字病院の郷 正憲先生に聞いてみました。

妊活に「葉酸」が大切なワケ - 医師がすすめる妊活に重要な栄養素や食材を紹介!

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20230223-2595111/

妊活に「葉酸」が大切なワケ - 医師がすすめる妊活に重要な栄養素や食材を紹介!

■葉酸って何が良いの?

――葉酸はどんな働きをするのですか?

葉酸は、ビタミンB群に分類される物質です。よく妊娠前、妊娠中に重要とされる傾向がありますが、普通の人でも葉酸は必須の栄養素です。体内で葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球を生産する働きをしています。また、DNAやタンパク質などの合成を促進し、細胞の産生にも関わる重要なビタミンなのです。

細胞の成分を合成するのは酵素と呼ばれる物質ですが、ビタミンB12や葉酸は酵素の働きをサポートする役割を担っています。ビタミンB12や葉酸が不足してしまうと、酵素が働けなくなり、細胞成分の合成が滞ってしまうのです。

――そうなんですね。では、なぜ妊活中の女性や妊婦さんは、積極的に摂取した方が良いのでしょうか?

先ほど説明した通り、葉酸は赤血球をはじめとした細胞を合成するのに必要な栄養素です。妊娠すると、母体だけではなく胎児の体内でも細胞が活発に分裂、様々な物質が合成され始めます。

もちろん赤血球も例外ではないのですが、それ以上に重要なのは神経系の発達です。神経細胞が成長するためにも、葉酸は非常に重要な働きをしています。そのため、葉酸が不足してしまうと神経管閉鎖障害と言って、脊髄の形が異常になってしまうなど、神経系の異常をきたしてしまう可能性が高くなるのです。そのため、妊活中や妊婦の摂取が推奨されています。神経系の発達は特に胎児の初期にみられるものですから、妊活中から摂取するのが良いでしょう。

■どれぐらい、どのタイミングで摂取すれば良いの?

――葉酸はどのように摂取すれば良いのでしょうか? 注意するべきポイントなどがあれば教えてください。

まず、葉酸は普通の食生活をしていればとり過ぎるということはないというのを述べておきましょう。ですので、過剰にとり過ぎることを怖がることはなく、しっかりと摂取するようにしましょう。

通常、成人であれば一日に葉酸を240μg摂取することがすすめられています。しかし、妊活中や妊娠初期は640μgもとらなくてはなりません。240μgは通常の食事でも大体とれますが、それより3倍近くの量となると、やはりサプリメントを使用するのが良いでしょう。これは一日に一回、まとめてとるのでなく3食後など、ばらけたタイミングでとるのが良いでしょう。

なお、通常の食事であれば、野菜からはブロッコリー、枝豆、芽キャベツ、ほうれん草などに多く含まれているほか、穀類ではキヌア、ベーグル、コッペパンなどに含まれています。ご参考になさってみてください。

■妊活に重要な栄養素・食材とは?

――葉酸が重要な栄養素だと理解できました。では、葉酸以外に妊活時、とると良い栄養素などがあれば教えてください。

1. ビタミンB

葉酸の説明でもあったように、ビタミンBは補酵素として酵素の活動をサポートします。特に血液や細胞を作るために葉酸とともに働くビタミンB12は、不足しないように気をつけましょう。他のビタミンB群も、様々に活躍しますから、積極的にとるようにしましょう。

2. ビタミンC

レモンやキャベツなどに多く含まれるビタミンCは、体を元気にしてくれる作用があります。抗酸化作用として、体内環境を整えてくれます。また、後述する鉄分を消化管から吸収するサポートもしてくれるので、鉄を補充するときには忘れずビタミンCも摂取するようにしましょう。

3. 鉄

妊娠中には貧血を起こすことが多くあります。妊娠をしていると胎児に酸素を送るために、血液の成分である赤血球を作っています。しかし、それ以上に血液全体の量の増え方が多いため、赤血球の濃度が下がってしまい、貧血となってしまうのです。それを少しでも防ぐために、鉄をしっかり補充して血液を作るサポートをしてあげる必要があります。

4. :亜鉛

亜鉛は微量元素として、いろいろな食材に含まれています。体内のどこで働いている、という明確な場所はないですが、様々な場所で細胞の活動をサポートしています。特に胎児に対しては、脳や脊髄を作るのに必要な栄養素と知られており、摂取することがすすめられます。

5. カルシウム

胎児には元気な骨を作ってもらう必要があるため、原料となるカルシウムを送ってあげなければなりません。カルシウムを積極的にとらないと、母体の骨からカルシウムが溶け出し、それが赤ちゃんへと送られますので、母体は骨粗しょう症を引き起こしてしまう可能性も。またカルシウム不足はイライラをもたらしたり、こむら返り(筋肉がけいれんしてつってしまうこと)を起こしたりすることがあるため、積極的に補充するようにしましょう。

■避けるべき行為って?

――反対に、赤ちゃんを迎えるために避けるべきことはありますか?

この記事でも紹介したように、赤ちゃんが発育するためには多くの栄養が必要です。ここで述べたもの以外にも、たくさんの栄養素を利用して赤ちゃんはすくすくと育っていきます。

そのため、栄養素をサプリメントなどだけで補充しようとすると、必要な栄養素が抜け落ちてしまい、発育に影響が出ることがあります。やはり多くの栄養素のもとは食品です。しっかりバランスの取れた食事を心がけるようにしましょう。

ちなみに命が宿った際、言うまでもありませんが飲酒や喫煙は胎児に対して悪影響ですので、避けるようにしましょう。軽度の運動は体のバランスを整えるのに良いですが、筋トレなどの激しい運動は発育に影響しますから避けた方が良いでしょう。

いかがでしたでしょうか? 妊活にあたって栄養素などの働きを理解し、日々の生活に上手に取り入れてみてください。赤ちゃんを迎える準備をしていきましょう。

監修者 : 郷 正憲(ごう まさのり)先生

徳島赤十字病院 所属。帝王切開など妊婦に対する麻酔施術なども多く経験している。
保有免許・資格:日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT
著書:看護師と研修医のための全身管理の本

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