メニュー

2022.05.30

電子レンジでふっくら仕上がる!ブリの照り焼き風【電子レンジ活用レシピ】

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

調理科学に基づいたロジカルレシピが人気の料理家・前田量子さんによる、電子レンジ大活用レシピ。

みなさん、魚料理は得意ですか?
下処理が面倒だったり、味が決まらなかったり、難しいイメージがあるのではないでしょうか。

今回は電子レンジで「ぶりの照り焼き」を美味しく作るレシピをご紹介。コツをおさえれば、臭みもパサつきもなく、ふっくら美味しく仕上がりますよ。

電子レンジでふっくら柔らかく仕上がる!ブリの照り焼き風

記事画像

【材料(1人分)】

ブリ  1切れ(100g)

<下味用>
醤油 小さじ1~2
砂糖 小さじ1~2

<調理用>
醤油 小さじ1~2
砂糖 小さじ1~2
生姜しぼり汁 3g
水 大さじ2(30ml)

大根おろし お好みで
大葉 お好みで

※調味料の量は器の大きさによって変わります。切り身がちょうど入るような小さな器であれば調味料も少なめでOK。写真のように大きめなバットなら調味料も多くする必要があります。お持ちの調理器具に合わせて加減してください。

主な栄養素

エネルギー 306kcal
タンパク質 20.2g
脂質 19.9g
n-3系多価不飽和脂肪酸 3.3g
EPA(エイコサペンタエンサン) 84mg
DHA(ドコサヘキサエンサン) 1530mg
食塩相当量 1.4g

作り方

記事画像

1.ブリに<下味用>の醤油と砂糖を絡めて10分以上おく。この間に時々上下を返す。

記事画像

2.ブリを取り出し、ペーパーで余分な水分をふき取る。

記事画像

3.耐熱皿に並べ<調理用>の調味料をかけて、電子レンジ600Wで3分加熱する。
※下味で使った調味料は臭みが溶けだしているため使用しないこと。
※必ず電子レンジ調理可能の耐熱皿を使用すること。

記事画像

4.ブリを取り出して、魚のみを器に盛り付ける。煮汁のみをラップをかけずに600Wで2~3分加熱して煮詰める。
※お使いの機種によって加熱時間はかなり変わります。泡がぶくぶくすればOK。煮詰めすぎると器が割れる原因になるので注意。

記事画像

5.ブリの上に煮汁をかける。お好みで大根おろしや大葉を添える。

このレシピの3ポイント

ポイント1.臭み抜きはしっかりと

魚料理が苦手な方は、魚独特の“臭み”が苦手という場合が多いです。そこでおさえておきたいPOINTが、臭み抜きをしっかりと行うことです。

この“臭み”は、浸透圧の高いもので原因物質を取り除くことができます。
「浸透圧が高いもの」というと難しく聞こえますが、塩や醤油、みりん、砂糖などがそれにあたります。

今回下味で使用している醤油やお砂糖は、下味の役割はもちろんですが臭みを取り除く効果も果たしています。
最初の漬け込みが終わったら後にキッチンペーパーでしっかり拭きとることで、臭みを取り除くことができます。
ここで注意すべきは、下味で使った調味料を調理に使わないこと。もったいないと感じるかもしれませんが、臭みの成分が溶け込んでいるため使うのは控えましょう。

臭みを取るコツをご紹介しましたが、臭みをおさえる最大のPOINTは“新鮮なものを使う”こと。
魚の臭みの原因物質は時間とともに増えていってしまうためです。買ってきたらすぐに調理して、美味しいうちに召し上がってください。

ポイント2.電子レンジの調理時間は100gあたり2分を目安に

電子レンジ調理は時短になり、キッチンも汚れにくいなどメリットがたくさんあります。
しかし一度入れてしまうとどのくらい加熱されているか分からず、加熱時間で悩んでしまうこともしばしば。

そこで重さを計ることがとても重要になります。
電子レンジは水分などに直接作用して発熱するメカニズムで、重量に正比例する特徴を持っています。例えば100gの食材が1分で火が入るというものだったら200gなら2分、300gなら3分といった具合です。

今回の魚料理は100gあたり電子レンジ600Wで2分くらいが目安です。ここで気を付けて欲しいのが“総重量に対して”ということ。
今回は魚+調味料=148g(約150gとする)だったので、2分×1.5=3分となります。この公式さえあればレシピから解放されますのでぜひ覚えてください。

ポイント3.煮汁だけ煮詰めると照り焼き風に

電子レンジ調理は水分が蒸発しやすい、という特徴があります。しかし実際は加熱よりも短時間で調理が進むため、蒸発がついてこれず水っぽい仕上がりになります。

しっかりタレを煮詰められるフライパンでつくる照り焼きは、濃いタレが絡んで美味しいのですが、電子レンジで素材もタレもすべて十分に加熱すると、魚がぱさぱさになり残念な仕上がりに。
そんな時におすすめなのが調味料だけをさらに電子レンジにかけて煮詰める、という方法です。

魚に火が入ったのを確認したら、器に盛り付け、お皿に残った調味料のみをさらに電子レンジにかけます。
目安は今回は2~3分。ここは水分量によってかなり変わるので気を付けてください。加熱時間が長すぎると焦げたり、耐熱容器が割れる可能性もあるため注意が必要です。

ブリはどの世代にも嬉しい栄養素がいっぱい!

記事画像

ブリはタンパク質やビタミン、ミネラルがとても豊富に含まれています。

特に注目してもらいたいのが脂質。生活習慣病予防・認知機能改善の効果が報告されているn-3系と呼ばれる脂質が豊富に含まれています。
n-3系にはα-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)があり、ブリにはDHAとEPAが豊富です。

DHAは中性脂肪を低下させたり、高脂血症、高血圧、脳卒中、虚血性心疾患、アレルギーの予防効果があるとされています。
EPAは抗血栓作用や中性脂肪の低下、脳血管障害、虚血性心疾患、高血圧、動脈硬化、高脂血症、皮膚炎予防効果があるとされています。

EPA、DHAそれぞれの推奨摂取量は決まっていませんが、厚生労働省が出している日本人の食事摂取基準ではn-3系脂肪酸というくくりで、成人女性は1.6g以上、男性は2.0g以上となっています。
この料理だけで2.3g、つまり1日分がとれてしまいます。
特に効率よく摂りたい時は、切り身でも腹の部分を選びましょう。今回使った切り身は背中と腹がつながっていましたが、一般的には分かれていることが多いです。
皮が青いものが背、白いものが腹です。今回の切り身では写真の右半分が背、左半分が腹となります。腹の方が脂質が豊富に含まれますので、DHA・EPAを摂りたいときは皮が白い腹部分の切り身を選ぶと良いでしょう。

魚料理は健康によく管理栄養士としてもおすすめなのですが、塩分が高くなりがちという注意点もあります。

副菜はなるべく塩分を使わず、塩分を尿として排出する働きのあるカリウムがたっぷりとれる野菜が良いでしょう。
これからの季節はモロヘイヤのお浸しを出汁醤油で食べるなどがおすすめです。

【電子レンジ調理の注意点】

記事画像

電子レンジは正しく使えば、毎日の料理を時短で簡単に。キッチンも汚しにくいため家事の心強いパートナーとなってくれます。

ただし使い方を誤ると事故につながることもあるため、以下の注意点に気をつけて活用してみてくださいね。

1.電子レンジ対応のお皿を使う

電子レンジに使用できる器は、耐熱ガラス・耐熱陶器・ぺーパータオル・クッキングシート・ポリプロピレンなど、食品用の容器となります。
ただし、この素材でも電子レンジ未対応の物があるので、必ず電子レンジ対応と書かれているものを使うようにしてください。

2.レシピの量と時間を守る

電子レンジを使う際は、まずレシピ通りの量や時間を守りましょう。食材によって加熱時間も多少変わるので、まずはレシピ通りに。その後、足りなければ再加熱するのがおすすめです。

▼過去の記事もあわせてチェック!

前田 量子(まえだ・りょうこ)

記事画像

管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。