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2024.03.21

手作り和菓子で春の訪れを感じて。レンジで簡単、関西風の桜餅【電子レンジ活用レシピ】

kencom公式:管理栄養士・前田量子

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調理科学に基づいたロジカルレシピが人気の料理家・前田量子さんによる、電子レンジ大活用レシピ。今回は、春の訪れを感じる桜餅をご紹介します。年度末の慌ただしさのなか、一息つきたい時や休日に、温かいお茶と一緒に楽しんでください。

レンジで簡単、関西風の桜餅

電子レンジでお米が炊けることをご存知の人は多いと思います。同じように、桜餅に使う道明寺粉も電子レンジで加熱すれば簡単に炊き上がります。材料さえ揃っていれば、いつでも和菓子が作れるようになるので、試していただきたい一品です。

材料(2個分)

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道明寺粉 50g
水 75mL
砂糖 小さじ1
食用色素(赤) ごく少量
こしあん 50g
桜の葉の塩漬け 2~3枚

主な栄養価(1人分・葉は含まず)

エネルギー 130kcal
たんぱく質 3.7g
食物繊維 1.9g
カルシウム 40mg

作り方

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1. 桜の葉を水につけて塩抜きする。

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2. 耐熱容器に道明寺粉、砂糖、水を入れ、よく混ぜてなじませてから色粉をほんの少量加え、ダマにならないようによく混ぜる。

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3. 空気が抜けるように端を少しあけてラップをし、電子レンジ600wで2分30秒加熱する。取り出して軽く混ぜ、先ほどと同じように端をあけてラップをかけてさらに1分加熱。そのまま10分ほど蒸らす。

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4. こしあんを2等分にして丸めておく。蒸らし終えた道明寺粉を2等分し、手のひらで楕円形になるように広げてあんこを包んで丸める。

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5. 水気をきった桜の葉で包めば出来上がり。

このレシピのポイント

①水の量は道明寺粉の1.5倍

桜の季節になると、スーパーなどでも道明寺粉が棚に並びます。桜餅はもち米でも作れますが、時間がかかるので道明寺粉を使うのが一般的です。

道明寺粉は蒸しあがったもち米を乾燥させてから荒く砕いた粉で、和菓子などによく使われるもの。つぶつぶの食感が特徴的です。6割、5割、4割、3割などもち米の割合によって違いがあり、6割が一番粒子が細かく、数字が小さくなるほどに粒の大きさが大きくなります。

もち米を炊く際の水の量はもち米と同じとされていますが、道明寺粉は1.5倍が標準です。今回は道明寺粉を50g使ったので、水の量を1.5倍の75mLとしました。使いたい粉の量にあわせて、水加減を考えてみてください。

②食用色素はごく少量でOK

桜餅といえば桜のようなピンク色が特徴のひとつで、春らしい彩りを添えてくれます。

食用色素は色粉などとも呼ばれ、道明寺粉と同様スーパーなどで手軽に手に入りますが、やはり普段から使い慣れているものではないでしょう。ほんの少量であってもしっかりと色がつきます。まずは竹串やお箸の先に少しだけつけてみて、様子を見ながら加えましょう。今回の桜餅にはわりとしっかり色をつけましたが、量を減らして淡いピンクに仕上げるのも素敵です。お好みや気分に合わせて調節してください。

なお、日本に出回っている食品の着色料に含まれている添加物は健康を害さないようリスク管理されており、実際に摂取している量もごくわずかです。今回もほんの少ししか使っていませんが、気になる場合は、小豆の茹で汁などを使って着色するとよいでしょう。

③蒸らしが肝心

電子レンジ調理は時短になり、調理器具も汚れにくいなど、メリットがたくさん!しかし、電子レンジの欠点は一度入れてしまうと、どのくらい加熱されているか分からず、加熱時間で悩んでしまうことです。

時間を割り出すには重さを量ることがとても重要になります。電子レンジは水分などに直接作用して発熱するメカニズムで、重量に正比例する特徴を持っています。

今回のレシピは、道明寺粉を戻すための加熱です。レンジに入れるのは水75mL、もち米50g、砂糖3gですので、あわせて128gです。100gの水が沸騰するまでには、電子レンジ600wで1分30秒かかりますから、この分量なら沸騰まで2分程度かかる計算です。

今回はしっかり加熱を行うとより美味しく仕上がるので、さらに30秒加熱して合計2分半としました。取り出して、加熱むらがないか確認をしてさらに1分加熱。全体に透明感がでていれば加熱を終了して、そのまま10分ほど蒸せば出来上がりです。

※加熱時間は、電子レンジの機種や使用状況により変わることがありますのでお気を付けください。

このレシピの豆知識

道明寺粉は日本古来の保存食

アルファ化米というものをご存知でしょうか。災害時にお湯を加えるだけで食べられる食品です。

米のでんぷんを人が消化できる状態にすることをアルファ化といいます。そして、加水して加熱する方法で炊けるお米がアルファ化米です。通常の方法で炊飯したお米は水分が多く、長期保存ができません。しかし、乾燥させて水分をしっかり抜けばでんぷんがアルファ化した状態になり、長期保存が可能になります。

道明寺粉は、アルファ化された食品のひとつで、古代より干し飯(ほしめし・ほしいい)として携帯食料として重宝されてきました。切り干し大根や高野豆腐のように乾物が発達している日本ならではの素晴らしい保存食といえるでしょう。

道明寺粉という言葉から、用途を桜餅限定で考えてしまいがちですが、しゅうまいの皮にしたり、パン粉のかわりに使ってフライを作ったりすることができます。でんぷんはブドウ糖の摂取にはもってこいの栄養素ですので、上手に使ってみましょう。

今回の桜餅を応用すれば、春のお彼岸のぼたもちも簡単にできます。

地域によって異なる桜餅のかたち

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今回は、関西でポピュラーな道明寺風の桜餅のレシピをご紹介しました。1000年以上前に大阪・藤井寺市にある道明寺で初めて作られたといわれており、それ以来、和菓子としてだけではなく保存食として重宝され、郷土食としても親しまれています。

桜餅といえば、桜色をした薄いクレープ状の生地であんを巻くものを想像する人も多いかもしれません。こちらは江戸時代の享保年間(18世紀)に隅田川近くの長明寺の門前で作られたことから長明寺とも呼ばれます。おもに東日本でよく食べられているようです。春には多くの桜餅が出回りますので、2種類を食べ比べて楽しむのもよいですね。

いずれにせよ、桜餅は春を彩る和菓子の代表格。和菓子は季節の移り変わりを映す鏡でもあり、味だけでなく目も楽しませてくれる日本の大切な文化です。

今回ご紹介したように、桜餅を作るのは実はとても簡単。桜の葉の塩漬けや色粉が特徴ですが、手に入らなければまずは道明寺粉とあんこで作ってみてはいかがでしょうか。保存食にもなる食材だということに思いを馳せると、また違った味わいが生まれてくるかもしれません。

【電子レンジ調理の注意点】

電子レンジを正しく使えば、毎日の料理が時短で簡単。キッチンも汚しにくいため家事の心強いパートナーとなってくれます。
ただし使い方を誤ると事故につながることもあるため、以下の注意点に気をつけて活用してみてくださいね。

1. 電子レンジ対応のお皿を使う

電子レンジに使用できる器は、耐熱ガラス・耐熱陶器・ぺーパータオル・クッキングシート・ポリプロピレンなど、食品用の容器となります。ただし、この素材でも電子レンジ未対応の物があるので、必ず電子レンジ対応と書かれているものを使うようにしてください。

2. レシピの量と時間を守る

電子レンジを使う際は、まずレシピ通りの量や時間を守りましょう。食材によって加熱時間も多少変わるので、まずはレシピ通りに。その後、足りなければ再加熱するのがおすすめです。

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引用・参考文献

著者プロフィール

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前田量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

制作

文・レシピ・写真:前田量子

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