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2022.03.02

有酸素運動と無酸素運動、自分に必要な運動はどっち?

kencom公式:トレーナー・河村玲子

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「運動をしたほうがよいのはわかっていても、何から始めたらよいのかわからない……」という方はいませんか?
今回は、健康の維持増進のために取り入れるべき運動について解説します。

無酸素運動と有酸素運動、その違いは?

「無酸素」と「有酸素運動」は同じ運動ではありますが、その効果は大きく異なります。
「無酸素運動」は筋肉を増やしたり、筋力を高めたり。「有酸素運動」は脂肪を燃やしたり、持久力を向上させたりするのに役立ちます。

「無酸素運動」とは、バーベルを使った筋トレや短距離ダッシュなど、短時間で大きな力を発揮する運動をさします。運動中に呼吸をしないというわけではなく、瞬間的に爆発的な力を使うため、そのエネルギー源が糖や脂肪ではなく、すでに身体の中に蓄えられているエネルギー源(ATP)だということです。身体の中に蓄えられているエネルギーは少量なので、無酸素運動は1~3分ほどしか持たず、継続するためには休憩が必要です。

従って、厳密にいえば、自宅で行うような軽めの筋トレは無酸素運動ではないのですが、今回は、「無酸素運動」を広義で捉え、筋トレ全般のことを言うことにします。
日常生活以上の負荷が筋肉にかかる筋トレは、筋肉を増強するのに役立ちます。これにより、転倒や膝痛、捻挫などの障害を防ぐことができます。

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一方、「有酸素運動」とは、ウォーキングや水泳、サイクリングなど、長時間継続して行う運動を言います。
呼吸で取り込んだ酸素を使用して、身体の中の糖や脂肪をエネルギー源として使うため、酸素を循環させるための心臓や血管の機能、呼吸をする肺の機能も向上します。
長時間続けられる有酸素運動は、脂肪の燃焼のほか、心肺機能向上にも役立ちます。

無酸素運動(筋トレ)と有酸素運動は両方しなければダメなのか?

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無酸素運動(筋トレ)と有酸素運動は、効果が違います。
筋トレでは主に筋力と基礎代謝の向上が、有酸素運動では脂肪の燃焼と心肺機能の向上が期待できます。
目的が違うため、両方できればそれに越したことはありません。ですが、最も大事なのは継続することです。

まずはご自身の目的のあったものを選択し、それから始めればOKです。
下のチェック項目を参考に、ご自身に合うのはどちらかを選んでみてください。

無酸素運動(筋トレ)が必要な方

・ 食事量を減らして減量している(したことがある)
・ 大人になってから定期的に運動をしていない
・ 椅子に座った状態から片脚で立てない
・ 膝がきしむ(痛みや違和感がある場合は、専門家の指導の下行う必要があります。)

有酸素運動が必要な方

・ BMI22以上の方(過体重) ※BMIの算出方法:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
・ 横断歩道などでちょっと走っただけで息が上がる
・ 生活習慣病の予防、改善をしたい
・ 血圧が高い、循環器系に過度なストレスがかかるとよくない
・ 体力に自信がない

慣れないうちの筋トレは、いきんでしまったり、呼吸を止めてしまうなど、心臓に負担がかかることがあります。筋トレを重点的にしたくても、長引く自粛生活に伴って運動不足を実感されている場合には、有酸素運動から始めましょう。そして慣れてきたら筋トレを始めます。
両方を組み合わせて行う場合には、準備運動で身体を温めた後、筋トレをしてからランニングやウォーキングなどの有酸素運動に取り組むと効率的です。

運動習慣の目標は「汗をかく程度の運動を週に2回」

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健康診断でも、「汗をかく運動を週に2回していますか?」という項目がある通り、運動を習慣的に行うというのは、健康を維持するうえでとても大事なことです。
この「汗をかく運動」というのは、絶対的な強度があるわけではありません。ジョギングで例えると、人とギリギリ話しながら継続できる程度の強度、軽く息が弾む程度の運動になります。体力が向上していけば、それだけジョギングの速さが上がっていくので、この質問は言い換えると、「身体の機能を維持、向上していますか?」という意味になります。

さて、運動が大事だとわかってはいるけれども、なかなか続けられない人も多いと思います。トレーナーとして、過去に挫折してしまった方の話を聞いていると、最初から頑張りすぎ、完璧を求めている傾向があります。
習慣化するには、今の生活に取り入れやすい方法で、無理ないことからスタートするのがポイントです。

例えば、【1日5分を目標に歩く時間を増やす】【テレビを見ているとき、CMの時間だけスクワットをしてみる】などがおすすめです。1日5分でも、30日続ければ2時間半にもなります。CMは2分ほどあるので、慣れてくれば50回程度のスクワットもこなせるでしょう。
一人だと続かないという場合には、家族や友人を誘って一緒に始めるのもよいでしょう。
このように小さな目標から、少しずつ発展させていくと、いつの間にか習慣化しているはずです。

習慣化へのコツは「無理をせず、楽しみながら」

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運動と聞くと、しっかり時間を作って行うイメージがあるのか、構えてしまってなかなか始められなかったり、翌日の疲労感から挫折してしまう方を多く目にします。
ですが、家でスクワット1回するだけでもやらないのとは違います!テニスやフットサルなど人と関わりながら、楽しみながら運動と向き合うのも一手です。
スポーツジムにこまめに通って、ムキムキな身体を作れる人なんてごく少数です。
重い腰を持ち上げて運動をするのではなく、無理なく、楽しく続けられる運動のスタイルを見つけられるとよいですね!

著者プロフィール

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■河村玲子(かわむら れいこ)

ボディーメイク、健康サポートを行う管理栄養士×パーソナルトレーナー。
脱サラ後、北米に渡りダイエットビジネスの視察、トレーナー活動をした後、帰国して日本にて活動を始める。帰国後はパーソナルトレーナーとして主に体幹・姿勢に着目したトレーニングを行うほか、雑誌「Tarzan」や「anan」の監修、日本エアロビクス&フィットネス協会でのコラム執筆、アスリートの栄養サポートなど、健康・スポーツ分野にて幅広く活動している。(株)SAWAKI GYM 栄養アドバイザー。(株)HandY スポーツセクション 管理栄養士。
著書:「1日5分で美若体型 若返り筋トレやってます!!」(mdnコーポレーション)、「女子の筋トレ&筋肉ごはん」(新星出版社) ほか

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