2020.09.01
家庭備蓄の見直しを!いざという時に心強い栄養豊富な「備蓄食品」とは?
9月1日は「防災の日」。頻発する記録的豪雨、巨大台風など、日本は常に自然災害と隣り合わせといっても過言ではありません。
いざという時に慌てないように、自宅のストック食材を見直してみませんか?食べ慣れている食品を口にするだけでホッとするものですし、なにより食料を確保してあれば高まる不安を和らげることができます。
今回は管理栄養士の長 有里子さんに、栄養面からおすすめの食品をお伺いしました。
家庭備蓄のすすめ!普段から多めの買い置きを
「もし災害が起きても、避難所に行けばたっぷり食べ物をもらえるから大丈夫」と思っているなら、それは間違いです。
農林水産省の『災害時に備えた食品ストックガイド』によると、ライフライン復旧まで1週間以上かかるケースが多く、物流機能がストップしスーパーやコンビニに商品が無いため、欲しい物がしばらく手に入らない状況になります。
そのため「最低3日~1週間分×人数分の食品の家庭備蓄」が望ましいとされています。
特別なものを準備しなくても、普段使っている食材を少し多めに備蓄しておくだけでOK。古いものから使って、使うたびに買い足す「ローリングストック」なら、さほど場所を取りませんし抵抗も少ないはずです。
お住まいのハザードマップを確認し、災害の可能性が大きなエリアにお住まいなら、2週間分など多めに備えることも大切です。
どんなものを用意したらいい?非常食の問題点3つとは
非常時は元気な人でも強いストレスを感じるもの。少しでも活力を養うためには、栄養バランスの良いものを食べたいですよね。しかし、一般の非常食には以下のような問題があることがあります。
・炭水化物ばかりになりがち
・たんぱく質不足
・ビタミンミネラルが足りず体調不良がおきやすい
非常時に「栄養バランスの良い食事」というのはなかなか難しいかもしれませんが、食材の栄養や賞味期限について意識をしてみましょう。続いておすすめの食品をご紹介します。
たんぱく質の摂取には「缶詰」がおすすめ
災害時のたんぱく質摂取に便利なのが、肉や魚の缶詰。ツナ・さば・コンビーフ・焼き鳥など様々な種類がありますが、缶詰のタンパク量はどれも大きく変わりません。そのためタンパク源として選ぶならご自身のお好きな缶詰を選びましょう。
しかし、災害時の生活では血栓症のリスクが高まります。そのためオメガ3脂肪酸を多く含む「魚の缶詰」があると栄養のバランスが整います。
オメガ3脂肪酸は食事からしか摂取できないため、いざという時こそ意識して摂れるといいでしょう。魚の缶詰でもツナ缶はオメガ3脂肪酸が少なめなので注意してください。
缶詰が苦手な場合は「プロテイン食品」も◎
缶詰以外のタンパク源なら、プロテインバーやプロテインクッキーなど市販の栄養補助食品もおすすめです。気分が沈みやすい非常時は、少しでも気分が明るくなる食品を選びたいもの。おやつ感覚で食べられるので、お子様にも喜ばれますよ。
ビタミン、ミネラル、食物繊維を補う食品は?
日持ちする「根菜」を普段から多めにストック!
非常時に不足しがちなビタミンやミネラルは、根菜に多く含まれています。日持ちするじゃがいもやにんじん、玉ねぎなどの根菜を日頃から買い置きしておくと、いざという時に役立ちますよ。
小さく刻んで味噌汁やスープの具にすれば、短い加熱時間でも食べられます。
賞味期限の長い「乾物」が便利
賞味期限の長い乾物は、非常時に足りない栄養を補うのに最適です。
のり、ひじき、わかめ、糸寒天、切り干し大根などは、食物繊維やミネラルが豊富な上に、そのまま味噌汁の具に入れられる便利食材。煮干しは出汁にも使えますし、そのまま食べればタンパク源にもなります。
保存が効く「ナッツ類」も◎
ナッツ類は保存が効く上に栄養豊富なので、非常食にピッタリ。たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維を摂ることができます。特にくるみには、血栓予防効果のあるオメガ3脂肪酸が含まれています。魚の缶詰が苦手ならくるみで代用してもいいですね。
ミネラル豊富な「ドライフルーツ」
非常時は市販品での食事が増え、どうしても塩分をとりすぎてしまう傾向があります。ドライフルーツの中でも、余分な塩分を排出してくれるカリウムを多く含むのが、バナナチップスや干しあんず。備蓄食品には珍しい甘酸っぱさが嬉しいですね。
また、ドライブルーベリーや干し柿も食物繊維を多く含む優良食材です。
お腹の調子が気になる方は「シリアル」を
コーンフレークなどのシリアルは、そのまま食べられるので便利です。特にオートミールやグラノーラは、腸内環境を整えてくれる水溶性食物繊維が豊富。お腹の調子が気になる方にもおすすめです。
「大人用粉ミルク」は骨や筋肉に必要な栄養素を補える
大人向けの粉ミルクはカルシウム補給に便利。一杯分ずつスティックになっていたり、抹茶味等のフレーバーが選べる商品もあります。ただし、大人用粉ミルクは大人向けの栄養構成なので、赤ちゃん用のミルクとは別物です。家族構成に合わせて選びましょう。
野菜ジュースやサプリメントでビタミンを補える?
野菜ジュースは生野菜と違い、それだけでは十分なビタミンや食物繊維等はとれないため、野菜の代用品にならないことを覚えておきましょう。
サプリメントは、必ず少しでも食事をとってから飲むよう心掛けて。油脂に溶けて力を発揮する成分も含むため、食事をとらずにサプリメントを飲むと全ての成分を吸収できないことがあります。
食べるとホッとする好きな食品を意識すると◎
非日常が続く緊張感の中では、美味しいものが疲れた心を癒してくれるかもしれません。普段から好んで食べているものや、食べると元気になれるものを意識し用意しておくと安心です。
いざという時でも身体バランスを保てるように
今まで非常食ときくと、カップ麺やレトルト食品ばかり用意されていた方も多いのではないでしょうか。ご紹介した食品を全て用意する必要はありませんが、今ある備蓄食品の見直しの際には参考にしてみてください。ほんの少しの心掛けが、いざという時の安心につながりますよ。
▼参考文献
監修者プロフィール
■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。
著者プロフィール
■小高未絵(おだか・みえ)
フリーライター、フリー編集者、保育士。
保育士資格と子ども4人の子育て経験を生かし、人間関係のコミュニケーション術や子育てノウハウ系の記事を得意とする。大切にしていることは「誰にでもわかりやすく、人の心に寄り添うライティング」。