2020.07.31
【悩み別】夏の肌・胃腸トラブルを改善!夏野菜パワーで乗り切る食事術
高温多湿の日本の夏。夏バテによる体調不良だけでなく、日焼けやシミ、そばかすなど美容面でも悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
ケアの方法はさまざまですが、今日からできる方法として食事から悩みを改善してみましょう。
特に、太陽のパワーを最大限に感じられる旬の夏野菜は、夏に必要な栄養がたっぷり含まれているだけでなく、カラフルな色合いを見ているだけで元気をもらえます。
今回は、夏野菜をかしこく摂って、夏の悩みを解消へと導く食事のコツをご紹介します。
夏野菜の強さの秘訣「ファイトケミカル」
「夏野菜」と言えば、パプリカ、ピーマン、とうもろこし、トマト、ナス、かぼちゃ…など、見た目がカラフルなものが多いのが特徴です。
私たち人間は、「暑いなぁ…」と感じたら水分補給をする、帽子をかぶる、涼しい室内に入るなどして身を守ります。しかし、植物は一度根を下ろしたら雨の日も猛暑日もその場で生きて身を守り、子孫を残していかなければなりません。
そのために植物自ら作り出す物質が、「ファイトケミカル(フィトケミカル)」といわれる成分です。夏野菜はファイトケミカルを色、香り、苦み、辛み、渋みなど様々な形で生み出していて、これにより紫外線等から身を守っていたのです。
ファイトケミカルの健康効果として注目されるのが「抗酸化作用」です。
人間は紫外線をたくさん浴びると身体の中に「活性酸素」が大量に発生し、これが必要以上に細胞を傷つけ、身体の酸化(いわゆる「体のサビ」)が進行していきます。そこで、抗酸化物質のファイトケミカルを摂取することで、酸化を防ぎ、老化やさまざまな病気のリスクを低下させることが期待されています。
ビタミンCやカリウムが美容と体調管理に◎
さらに夏野菜には、お肌の調子を整えるビタミンCや、利尿作用がありむくみ改善に良いカリウム、水分など、暑い季節を乗り切るために必要な栄養素・成分が多く含まれます。
夏野菜は、紫外線を浴びることでできてしまう活性酸素の発生を内側からケアするための美容アイテムの一つと考えましょう。
【悩み別】夏野菜のかしこい食べ方
夏の美容や健康に対する悩みは人それぞれ。
中でも多い4つの悩みについて、おすすめの食事法を紹介します。
悩み1.夏バテで体がだるく食欲がわかない
夏野菜に「スパイス」の香りと成分で食欲増進
体調が悪いわけではないけれど、ただ何となく食欲がわかないというときには、夏野菜×スパイスの活用がおすすめです。
カレー粉の黄色はウコンに含まれるクルクミンによるもので、ファイトケミカルの一種です。
クルクミンには抗酸化作用があることはもちろん、消化をスムーズにしたり、肝臓の解毒作用を活発にしたりする働きがあります。そして何よりカレーの香りは食欲をそそります。
トマト、かぼちゃ、トウモロコシ、ナス、ズッキーニなどお好みの夏野菜を切って、ひき肉・カレー粉とともに炒めるだけで簡単にドライカレーができます。
ごはんと合わせれば、とてもバランスの良いワンプレートメニューの完成です!
冷房の効いた室内にいる時間が長い上に、冷たくあっさりしたものばかり食べていると、内臓が冷えて胃腸の働きが悪くなることがあります。「温かい食事」という意味でもおすすめです。
悩み2.紫外線による日焼けやシミ、そばかすが気になる
抗酸化作用が強い「β-カロテン」
日焼けやシミ、そばかすを1日でなかったことに!というのはなかなか難しいですが、食事で予防や改善をすることはできます。
シミやそばかすの原因は、紫外線によりお肌を守ろうとしてできたメラニンという色素によるもの。そこでおすすめなのが、ファイトケミカルとビタミンACEです。
まず、紫外線対策としておすすめのファイトケミカルが、抗酸化作用がとても高いβ-カロテン。β-カロテンは体内でビタミンAと同じ働きをするため、乾燥対策にもおすすめです。
きれいなオレンジ色の色素成分で、かぼちゃやにんじんなどの緑黄色野菜に多く含まれています。
抗酸化作用が高く油との相性◎「リコピン」
また、トマトで有名なリコピンの抗酸化作用はさらに高く、β-カロテンの倍以上、ビタミンEの100倍以上とも言われています。
β-カロテンもリコピンも油と相性の良い成分なので、サラダであれば質の良いオイルをかけたり、炒め物にしたりすると良いでしょう。
トマト缶を使えば、トマト煮込みなどバリエーションも増えたっぷりと摂ることができます。
「ビタミンC」は「ビタミンE」と一緒に摂る
美容に良いとされるビタミンCには、メラニンの生成を抑えたりコラーゲンの生成を助けたりする働きがあります。夏野菜では特にパプリカに多く含まれます。
さらに、ごまやナッツ類に含まれるビタミンEにはビタミンCの働きを助ける効果も期待できるため、一緒にサラダに入れるなどすると効率よく摂ることができます。
また、お肌の土台作りに欠かせないタンパク質も一緒に取ることで、健康的なお肌作りにつながります。
悩み3.クーラーの効きすぎで冷え性・下痢・便秘ぎみ
夏野菜のスープで身体をあたためて
おうち時間が長い今夏は、特に冷房に当たる機会が増えているのではないでしょうか。冷房の温度や風向を確認し調整することはもちろんですが、食べ物も活用して冷えを予防しましょう。
夏場はついあっさりと冷たいものを欲してしまいますが、冷たいものばかりでは内臓が冷えてしまい消化不良になることもあります。
メインは冷たいものでも、温かい汁物をつけたり、飲み物を常温や温かいものにするだけで、内臓が冷え切るのを予防できます。トマトやかぼちゃなどの夏野菜を使ったあたたかいスープを用意するのも良いでしょう。
また、胃腸が弱っているときは食物繊維の多い玄米よりも白米、生野菜よりも火を通して柔らかく煮た煮物を選ぶようにし、胃腸への負担を減らしましょう。
悩み4.暑くてビールばかり飲んでしまい、二日酔いぎみ
きゅうりの水分や「カリウム」の利尿作用でアルコールを排出
夏は冷たいビールや冷酒などを飲みたくなりますが、アルコールには利尿作用があるため、体の中から水分が出ていきやすく、脱水に注意が必要です。
アルコールを飲む前や飲んでいる最中にも、水をこまめに飲むことを心がけましょう。
きゅうりは栄養価がないなんて言われますが、水分が豊富に含まれています。また、利尿作用のあるカリウムも含まれているため、アルコールの排出を促し、二日酔いやむくみの解消にもつながります。
栄養素を意識して、身体のコンディションを整えよう
見た目もきれいで身体に嬉しい成分がたっぷりと含まれる夏野菜は、この時期のコンディショニングにおすすめです。
旬の野菜をたっぷり摂って今年の夏を元気に乗り切りましょう!
磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。