2020.04.11
仕事の効率も気分も上がる!大人の靴下選び
スーツスタイルや作業着など仕事の場でのファッションには欠かせない靴下。あまり人から見えるものでもないし、消耗品だし……とついつい適当に選んでいませんか?
心当たりがある方は、靴下の選び方で損をしているかもしれません。
靴下メーカー・ナイガイで多くの商品企画に携わり、靴下ソムリエとして活躍する小山さんが、知れば知るほど面白い靴下の選び方を教えてくれました。
小山雄大(こやま・ゆうた)さん
株式会社ナイガイ 商品部門 商品部長
入社より今に至るまで、靴下の商品部に在籍し、商品企画に従事。子供靴下・婦人靴下から紳士靴下の企画に携わる。2020年から現職。
季節に合わせた靴下を選ぶコツ
夏は肌ざわり、速乾性を重視
靴下の素材は数多くあるため、季節に合わせて素材を変えると快適に過ごせると小山さんはいいます。
「例えば暑い時期には肌ざわりがさらりとしているものがいいですよね。綿の中でも、素材に特殊加工が施されていてポロシャツのようにさらっとした風合いのものがあります。スポーツウェアに使われるような速乾性のある素材の靴下も出てきているので、ムレが気になるという方におすすめです。また、あえて夏場にウールの靴下を履くという選び方もあります。ウールと聞くと冬の素材というイメージですが、汗を吸って発散させるという機能があるので、実は夏にも向いているんです」(小山さん)
冬は重ね履きで暖かく
冬場、冷え性の方には重ね履きを推奨しているとのこと。
内側から、シルクの5本指タイプ→綿の5本指タイプ→シルクの通常タイプ→綿の5本指タイプ→ウール
と重ねていくと、暖かく過ごせるのだそうです。
「他にも、遠赤外線を練りこんだ糸で作った靴下や、表裏違う生地を使った二重編みの靴下もあります。足元が暖かくなれば電力や光熱費の節約にもつながるので、ぜひ試してみてください」(小山さん)
スーツスタイルでの合わせ方
色味を合わせる
スーツスタイルでの靴下は、色を基準に合わせるのが基本です。
「黒のスーツなら黒かグレー、茶色のスーツなら茶系の靴下を選ぶとベーシックに着こなせます。靴かパンツと合わせるのが最も無難ですが、少しユニークな着こなしをしたいなら、時計やベルト、ネクタイ、チーフに合わせるのも面白いと思います。最近ではスーツの色合いもバリエーションがあります。ブルー系のスーツに明るい水色の靴下を合わせるのであれば、靴下だけが浮いてしまわないように、チーフやネクタイなど小物にも水色を取り入れて調和させるとよいでしょう」(小山さん)
ちなみに、この日の小山さんのコーディネートは、ダークネイビーのスーツにネイビーのストライプ柄の靴下。ネクタイや時計もさりげなくブルー系で統一されていて、まさに『紳士のおしゃれ』といった装いでした。
素材を合わせる
季節によって、スーツの生地に合わせて選ぶのもおすすめです。
「例えば冬場にツイードのジャケットを着るならウールの靴下を合わせると、革靴ともなじんでコーディネートしやすいですね」(小山さん)
素材を軸にしたコーディネートは季節感も感じられます。靴下ひとつで、おしゃれ上級者の着こなしに近づけそうです。
全体のバランスが大切
クールビズが普及してきて、夏はノージャケット、ノーネクタイで出勤される方も増えています。その場合は、革靴でもくるぶし丈の靴下で足元もカジュアルダウンすることで全体がまとまります。
「最近はフォーマルとカジュアルの間がなくなってきて、春先から短い靴下を履いて軽装で過ごしている方が増えているように思います。大切なのは全体のバランスです」(小山さん)
季節感とTPOに合わせて靴下を選ぶことで、スーツスタイルがよりおしゃれに決まりそうですね。
立ち仕事には機能性靴下がおすすめ
5本指ソックスは一度履いたらやみつき
5本指靴下は若い世代には敬遠されがちですが、一度履くとやみつきになる魅力があります。
靴の中で5本の足の指が動いて地面を掴みやすくなるため、重心がかけやすいのです。その結果、立ち仕事の多い職人やスポーツの場面でも使われています。
「脱ぎ履きしにくいという点をカバーするため、当社では親指と人差し指の間隔が広めの靴下を開発しました。足の形状に合っているためスッと履けるんです。靴下って試着ができないのでなかなか魅力をお伝えしにくいのですが、一度履いてみていただければ良さがわかると思います」(小山さん)
むくみにくく疲れにくいパフォーマンスソックス
長時間立ったり歩いたりしていると、だんだん足全体がむくんできます。また、足裏がむくんで土踏まずが扁平になり、余計に疲れを感じやすくなります。こうした悩みに答えるのが、特殊な編み方と素材でむくみや疲れを感じにくい『パフォーマンスソックス』です。
「ひざ下までのロング丈でとても締め付けが強いので履くときは少し苦労するんですが、履いた後はほどよい圧がかかって気持ちいいんです。さらに足裏の特殊な編み組織で土踏まずを持ち上げてサポートします。速乾性のある素材を使っているので、汗をかきやすい現場仕事の方にもおすすめです」(小山さん)
靴下ひとつで気分が変わる!
日頃、何気なく選んで履いていた靴下ですが、季節やシチュエーションによってさまざまな選び方・合わせ方があることがわかりました。快適さや疲れにも関係するので、仕事のパフォーマンスにも影響しそうですね。
最後に、小山さんご自身の靴下の選び方について伺いました。
「靴下は300足くらい持っていて、靴下の衣替えをするほどです。大事な商談のある日、人前に出る日、動き回ることが多い日など、仕事の内容に合わせて前日から靴下を選んでいます。靴下ひとつで気持ちが軽やかになりますし、フレッシュな気持ちで1日過ごすことができるんです。スーツや靴に比べると優先度は低くなりがちですが、最も肌に触れることが多く、かつ過酷な状況下で使われるものなので、靴下選びも気にしていただければと思います」(小山さん)
著者プロフィール
■大貫翔子(おおぬき・しょうこ)
編集プロダクションにて住宅情報誌や企業の広報誌、フリーペーパー等の編集・制作に携わる。のちにフリーの編集・ライターとして独立し、住宅、キャリア、ヘルスケアなどのジャンルで記事を執筆。