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2020.04.18

種類からケアまで。知っておきたい「靴下」の基礎知識

kencom公式ライター:大貫翔子

突然ですが、みなさんは「靴下」についてどれぐらい知識をもっていますか?
毎日履くものである割に、素材や種類についてあまり知らない方が多いのではないでしょうか。
今回は靴下メーカーのナイガイで働く靴下ソムリエの小山さんから、靴下に関するイロハを伺いました。

小山雄大(こやま・ゆうた)さん

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株式会社ナイガイ 商品部門 商品部長
入社より今に至るまで、靴下の商品部に在籍し、商品企画に従事。子供靴下・婦人靴下から紳士靴下の企画に携わる。2020年から現職。

靴下はどんな風に作られる?

異なる素材で2層構造に編まれている

みなさんは靴下がどのような構造になっているかご存知ですか?実は表糸と裏糸からなる二層構造になっているものが多く、それぞれ違う素材で編まれているのです。

「表糸で使用する素材は主に麻やウール、綿、絹などの天然素材です。ただし、天然素材は伸縮性がないので、ポリエステルやナイロンなどの弾力性のある化学素材を裏糸に用いるのが普通です。中には裏糸を使っていない綿100%の靴下もありますが、あまり伸びないのでワンサイズ表記されています」(小山さん)

確かに、一般的な靴下のサイズ表記は「22~24cm」というように幅がありますね。靴下が伸び縮みして足にフィットするのは、裏糸のおかげだったわけです。

靴下の種類はこんなにある

革靴になじむビジネスタイプ

スーツを着ることの多いビジネスシーンでは、革靴になじむ薄手の靴下を履くのが一般的です。

「膝までのロング丈が多いのは、靴下発祥の地であるイギリスの『スネを見せない』という紳士のマナーから来ているのではないかと思います。ただ、ロング丈の靴下は暑いですし履きにくいので、現代では足首くらいまでのレギュラー丈も許容されています」(小山さん)

ちなみに、中国では短い丈の方がフォーマルとされているんだそうです。ビジネスソックスひとつで文化の違いがあるのは、面白いですね。

クッション性のあるスポーツタイプ

「動きの多いスポーツの場面では、厚手の靴下が適しています。クッション性が高く、スパイクやスニーカーの中でがっちりとサポートしてくれるようなフィット感が求められます」(小山さん)

スポーツの場面ではユニフォームに合わせたデザインのハイソックスを履くことが多いですが、スニーカーに合わせてカジュアルに履きこなす場合は、外から見えないくるぶし丈のものが好まれています。

立ち仕事が多い方には5本指タイプ

機能的な靴下の中では、5本指タイプが代表的です。ビジネスマナーとしても問題がないので、靴を脱いでお座敷に上がる時も使えます。
小山さん:「若い方にはあまりなじみがないかもしれませんが、指が分かれていることで踏ん張りがきくので、立ち仕事の多い職人さんにおすすめです」

くるぶし丈ほどの短い靴下

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丈の短いスニーカーソックスやパンプス向けの靴下は、履きこみが浅く脱げやすいという側面があります。そんな悩みを解決するために、編み方に工夫をしたり、滑り止めをつけたりして脱げにくくしている靴下があります。

着圧設計でむくみにくい高機能靴下

着圧設計でむくみにくい「パフォーマンスソックス」は、土踏まずをサポートする作りになっており、立ち仕事、デスクワーク、長時間のフライトなどにおすすめ。1足で2,000円を超えるようなやや高額なものもありますが、その分機能性に優れているそうです。

抗菌・防臭機能つき

年齢や性別を問わず、靴を脱いだ時の足のニオイは気になるもの。特に湿気が高くムレやすい夏場などには、靴のニオイが移ってしまったり、逆に足のニオイが靴に残ってしまったりします。

「そんなときには、抗菌・防臭機能付きの靴下が便利です。糸の染色工程や仕上げ工程で抗菌・防臭効果のある薬剤を使用して作ります。足専用の石鹸や靴専用の消臭剤など様々なグッズが販売されていますから、組み合わせて使うとより効果的です」(小山さん)

靴下を長持ちさせるための3箇条

履く頻度や履き方にもよりますが、一般的に靴下の寿命は3~5年といわれています。「ちょっといい靴下」を買ったら、できるだけ長持ちさせたいですよね。

小山さんが、靴下を長持ちさせるための3箇条を教えてくれました。

その1:ネットに入れて洗う

靴下を洗濯機で洗う場合はネットに入れて洗うのがおすすめです。
「靴下は意外と繊細なため、他の洗濯物とこすれると毛玉ができやすいのです。洗濯ネットに入れることで毛玉になるのを防ぐので、結果的に摩耗による劣化を抑えることができます」(小山さん)

その2:裏返しにして洗う

靴に当たる表側が汚れているかと思いきや、洗濯の際は裏側を意識したほうがいいそうです。

「靴下の中で最も汚れているのは、靴や床に接している表側よりも、実は足に直接触れている裏側です。そのため洗う時は裏返しにすることをおすすめします。脱ぐ時に裏返しにして、そのまま洗濯してしまうのがよいでしょう」(小山さん)

その3:履き口を上にして陰干し

靴下の履き口には使われるゴム糸は、直射日光に当たると劣化が早くなります。そのため、できるだけ陰干しにしましょう。

「ピンチハンガーなどに吊るす場合は、履き口を上にして吊るしてください。履き口を下にして吊るすと、残留した洗剤成分が下に落ちてゴムが劣化しまいます。また、負荷のかかりやすいつま先側は厚く作られていることが多く、2枚を合わせてピンチで留めると乾きにくくなってしまいます」(小山さん)

靴下の世界は想像以上に奥深い!

何気なく履いている靴下ですが、そもそもどのように作られているのか、またこれほど種類が豊富だとは考えてもみませんでした。せっかくですから、シチュエーションに合わせた靴下で快適に過ごしたいものですね。靴下愛あふれる小山さんのお話は、まだまだ続きます。

著者プロフィール

■大貫翔子(おおぬき・しょうこ)
編集プロダクションにて住宅情報誌や企業の広報誌、フリーペーパー等の編集・制作に携わる。のちにフリーの編集・ライターとして独立し、住宅、キャリア、ヘルスケアなどのジャンルで記事を執筆。

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