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2019.07.03

お口の悩み口内炎。なぜできる?どう対処する?【みんなの健康相談室】

KenCoM編集部

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「なんか痛いなあ……。げ、口内炎ができてる!」

みなさんの中で口内炎になったことのある人はどれぐらいいるのでしょうか。一年の中で数回できる人、もしかしたら頻繁にできる人など、さまざまかもしれません。

口内炎ができるとご飯は食べづらいし、水も飲みづらい。時には何もしてないのにズキズキ痛いなんて日もあったり。

本当に辛い口内炎、その正体や対処の仕方についてKenCoM監修医の石原藤樹先生に教えてもらいました。

★この記事でわかること

・口内炎の豆知識
・口内炎の種類や原因
・口内炎になった時の注意点

なぜ口内炎になるのか?

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まず、口の中を舌で触ってみましょう。湿ってヌルッとしてると思いますが、それが粘膜です。

この粘膜に細菌やウィルスが入ったり、免疫力が下がったりして炎症が起きたものを総じて「口内炎」と呼びます。

粘膜は皮膚よりも弱く、特に口の中は硬い歯があったり、食事をとったり、喫煙したりと何気ない生活の中でも非常に傷つきやすい環境にあります。自覚症状がないだけで、実はほぼ毎日の頻度で口内炎ができているなんて言われていますよ。

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口の中は神経が緻密に通っていて痛みを感じやすい部位のため、炎症が起きたら痛みがでます。
炎症は身体が菌やウィルスと戦っている反応なので、すぐに修復可能なレベルの小さすぎる傷であれば炎症が起きないこともあります。

余談ではありますが、食道や胃などに炎症が起きても、痛みを感じる神経が通ってない部位にできたら自覚症状はありません。
自覚症状はないけど、身体の中では小さな炎症や潰瘍ができていて、気づかないうちに治っています。

そういったサイクルが日常的に身体の中ではおきているんですよ。

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表面が白く、周囲が赤い場合は『アフタ性口内炎』の疑い

もっともポピュラーで、原因が特定しづらい口内炎です。表面がえぐれて、周囲に炎症が起こっているようであれば、ほぼアフタ性と考えられます。
原因としては、粘膜に歯や異物が当たって傷がついたり、免疫機能が低下したり、口の中が乾燥している、ストレスなどが考えられます。

また、生活習慣による免疫機能の低下から、菌に対する抵抗力が下がっている場合もありそうです。

ウィルスの感染や真菌が原因?『ヘルペスウィルス』『カンジタ菌』

ウィルス感染や真菌の発生によって起こる口内炎です。口内炎には特効薬はないのですが、ヘルペスウィルスに感染した場合は抗ウイルス剤を使って治療するケースもあります。ヘルペスの場合は、発症する直前で感染するケースもありますが、実は幼少期からウィルスが体内にいて体調の変化によって水疱ができることもあります。

カンジタ菌は、口の中に常にいる菌です。そのため、なんらかの理由でバランスが崩れて異常発生することがあります。

喫煙するなら『ニコチン性口内炎』の可能性あり

喫煙が原因の口内炎です。タバコはフィルターを通すものの、燃焼で発生した熱い煙を吸い込む上に、煙に含まれるニコチンが口腔内の血管を収縮させて血液の流れを鈍らせてしまいます。さらに、息を吸って、吐いてを繰り返すので、口の中が乾いて傷つきやすい環境になるなど、口内炎の原因になりやすいと考えられます。

ニコチン性口内炎の場合、扁平上皮がんなどの発生リスクを高めるので注意してください。

口内炎っぽいけど痛くない?『口腔がん、舌がん』

以前、著名人の方が罹患して話題にもなりましたが口腔がんや舌がんの可能性があります。

単純な見分け方としては痛みの有無です。口の中をチェックしてみて「なんか口内炎っぽいものがあるけど痛くない」ということであれば、がんの可能性があります。もしも口内炎だと思って2週間ほど様子をみて、症状がよくならないということであれば一度医師に診てもらうようにしましょう。

気になる!口内炎の予防

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原因が特定しづらいため、万全な予防法はありません。
基本的には
・口の中を綺麗にする
・栄養をしっかり取る
・睡眠時間を確保する
・ストレスをなるべくためない
・喫煙をしない
という生活習慣の改善が有効だと考えられます。

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とはいえ、よくできやすい人なら傾向を掴んでおくといいかもしれません。
例えば「いつも奥歯のあたりにできる」、「ほっぺたの内側にできやすい」などがあるとしたら、食べもののカスがたまりやすかったり、寝ている間に噛んでいる可能性もあります。

それであれば、デンタルケアの方法を変えたり、寝方を工夫したりすれば改善する可能性もあります。

自分の中にある口内炎の癖みたいなものがわかると対策できるかもしれません。

医師が教える、口内炎で注意すべき5つのポイント

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その1:自己判断で強いうがい薬を使うことはあまりよくない

口の中を清潔にすることは、なにも滅菌することではありません。口の中には目には見えない常在菌がいて、すべてが人体の敵ではなく必要な菌もいます。カンジタ菌が原因の場合は、医師がうがい薬を処方してくれますので診察を受けてから使用する方がいいでしょう。

一般的なアフタ性口内炎の場合、刺激によって痛みが強く出たり、かえって悪化する場合もあります。

口の中がヒリヒリして気になる場合は、まずは水うがいを試してください。

その2:ビタミンが良い!は信憑性が薄い

ビタミンの補給で口内炎を治そうという話がありますが、科学的根拠のあるものではありません。
よく口内炎にかかる人たちを対象に、ビタミンB12を投与することで口内炎の再発が減少したという研究結果はありますが、それだけで全ての症例には当てはまらないと考えます。

食生活を見直した際に、足りないようであれば意識して野菜や果物を食べる程度でいいと思います。

その3:塗り薬で悪化することもある

何もしてなくても痛みが出るほどの炎症を起こしている場合は、ステロイド軟膏を使う場合があります。
しかし、これも使い方を間違えると逆に悪化する可能性があります。

例えば免疫力が下がって口内炎ができている場合に、ステロイド軟膏を塗ってしまうとさらに免疫力を下げてしまうため、結果的に症状が悪化する場合も考えられるので注意してください。

その4:性別は関係なし。年齢は関係あり

性別はあまり関係ないですが、年齢は意識した方がいいでしょう。
年を重ねるとどうしても唾液の分泌量が減るので、口の中が乾燥しやすくなります。

ほかにも病気の治療のために、慢性的に服薬をしている方は注意してください。
薬の副作用によって、唾液の分泌量が減ることで口内炎ができやすい環境になりがちです。

その5:口内炎を潰すのはNG。はちみつはいいかも

口内炎を潰したら、そこに雑菌やウィルスが入り込んでさらに悪化することも考えられるので絶対やめてください。

はちみつについては、純正のものであれば炎症を抑える成分があるため悪い選択ではありません。
海外では効果がありそうだという研究結果も報告されています。

もしご自宅に常備されているようであれば、塗るのではなく飲食時に適量使うのはいいかもしれませんね。

口内炎が治る目安は2週間。長引くようなら医師に相談を

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口内炎になったら「食事」「睡眠」を中心に、生活習慣を改善していくのが近道だと考えられています。早ければ3日程度で治るものもあるので、口の中を清潔に保って我慢するほかありません。

むしろ、なかなか治らない場合は、稀にぶどう膜炎やベーチェット病、口腔がんだったというケースもあるので注意してください。
2週間近く症状が続く場合は、内科や歯科口腔外科など一度病院で診察を受けてみてください。

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口内炎ができる時って、最近飲み会が続いている、忙しくて睡眠時間を削っているなど、日々の生活習慣が乱れがちな時期だったりしませんか?
痛い口内炎は身体や生活習慣と向き合うための、一種のサインなのかもしれませんね。

▼いかがでしたか?今回の感想や取り上げてほしいテーマがありましたら教えてえください!

参考文献

(文・KenCoM編集部)

監修医プロフィール

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

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