メニュー

2018.12.26

ストロング系酎ハイ好きは要注意⁉【他人事ではないアルコール依存症#1】

KenCoM公式ライター:黒田創

記事画像

早いもので12月も中盤を迎え、忘年会シーズン真っ只中。この先もクリスマスにお正月、新年会とお酒を飲む機会が大幅に増える時期です。中には連日連夜忘年会に参加し、胃腸や肝臓がすっかりグロッキー状態という方も多いと思いのではないでしょうか?
アルコールは薬ですので、良い面もあれば、悪い面もあります。お酒をほどほどに楽しむ分には、ストレス解消という点で決して悪いものではありません。しかし、飲む量が増えるとガンや高血圧、脳出血などのリスクが増大してしまいます。

そしてもうひとつ、過度の飲酒が招いてしまう症状がアルコール依存症。ほとんどの方は「アルコール依存症なんて自分にはあり得ない。関係のない話」と思われるかもしれませんが、近年依存症患者およびその「予備軍」の存在が問題になっているのをご存知でしょうか?

今回はアルコール依存症の実態と怖さ、治療法や予防法などについて東京アルコール医療総合センターの冨高緑先生に伺いました。

冨高 緑(とみたか・みどり)先生

記事画像

東京女子医大卒。精神科医。東京アルコール医療総合センター(東京都板橋区)の専従医師としてアルコール依存症治療に長く携わっている。

アルコール依存症とその予備軍の実態とは?

現在、日本の多量飲酒者は約980万人と言われています。
2018年に厚生労働省科学研究班が行った調査によると、アルコール依存症予備軍の数は推計294万人、アルコール依存症数は推計109万人と言われています。しかし治療を受けている人はうち4.3万人にすぎません。

前述の値から計算するとうち約4割の400万人強が依存症およびその予備軍なのです。しかも年々増加傾向となっており、私たち専門家が危惧する問題のひとつとなっています。

そもそもアルコール依存症とは?

アルコール依存症と聞くと何か特別な疾患という印象を持たれがちですが、定義としては長年の大量飲酒によって引き起こされる生活習慣病であり、自分で飲酒をコントロールできない精神疾患でもあります。依存症になると仕事や家族などよりも飲酒の方が優先されるようになり、症状が進行すると手が震えるといった禁断症状(離脱症状)や、一日中アルコールが入っている状態が何日も続く連続飲酒といった症状が現れます。

アルコール依存症の診断基準にはWHO(世界保健機関)が作成したICD-10や米国精神医学会によるガイドラインが用いられることが多く、WHOのガイドラインは以下の通りとなっています。

参照:国立病院機構久里浜医療センターHP「アルコール依存症の診断基準」

参照:国立病院機構久里浜医療センターHP「アルコール依存症の診断基準」

また、明らかに飲酒が原因で遅刻や欠勤、仕事上のミスをするようになったり、常にイライラして怒りっぽくなったり、酒を飲まないと眠れなかったり、睡眠中頻繁に目が覚めるといった症状が起こると依存症の予備軍である可能性が高くなります。実際、こうした方は皆さんの周りにもいらっしゃるかもしれません。それでも「自分だけは大丈夫」と過信してしまうのがこの疾患の恐ろしい点なのです。

記事画像

ストロング系酎ハイが依存症と予備軍の入口に?

近年のアルコール依存症および予備軍の増加を加速させている原因のひとつに、ストロング系酎ハイの増加と低価格化が挙げられます。通常の缶酎ハイのアルコール度数は6%未満、ビールは4.5~5%ですが、ストロング系の度数は実に7~9%。そんな強いお酒が350ml缶で140円程度、しかもコンビニで24時間いつでも購入できるわけですから、外で飲むより安上がり。しかも手っ取り早く酔えると毎晩のように買い込んでいる方も多いのではないでしょうか。
実際、ストロング系酎ハイの市場は伸びる一方。しかしこれが大きな罠なのです。

ストロング系酎ハイが分類されるRTD(Ready to Drink=そのまますぐ飲める)市場の推移※RTDに関する飲用実態調査サントリーRTDレポートより参照

ストロング系酎ハイが分類されるRTD(Ready to Drink=そのまますぐ飲める)市場の推移※RTDに関する飲用実態調査サントリーRTDレポートより参照

ストロング系酎ハイのロング缶(500ml)に含まれるアルコール量は36グラム。厚生労働省は成人男性の場合1日20グラム(女性は10グラム)を適量としていますので、ロング缶を1本飲むだけで適正量を大幅にオーバーしてしまう。全員が全員ではありませんが、当然、毎日飲み続ければ耐性もつきやすくなり、短期間のうちに依存度が強まる可能性は非常に高いと考えられます。
自分には関係ない、と思っている皆さんも、簡単にアルコール依存症やその予備軍になる危険性がある事を認識して頂ければ幸いです。

次回は、自分で依存度をチェックする方法などを紹介したいと思います。

著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。

この記事に関連するキーワード