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2018.10.22

【医師監修】学級閉鎖が続々…インフルエンザ予防接種を打って良い月齢や予防法<パパ小児科医の子ども健康事典 第6話>

ウーマンエキサイト

今年は秋なのにも関わらず、インフルエンザで学級閉鎖が各地で起こっていますね。そして、よりインフルエンザが流行する季節になってきました。

今回は、ワクチンや治療法、ホームケア、診断などについて2回にわたって特集します。インフルエンザにならないために、どんなことに気をつければよいのでしょうか?

インフルエンザはどんな病気?

まず突然の高熱に始まり、のどの痛み、頭痛、関節痛、倦怠感などの全身症状のほか鼻水や咳などの呼吸器症状、ときに嘔吐や下痢などの消化器症状もあります。

発熱は数日間続きますが、自然に解熱して1~2週間ほどで元気になります。注意すべき特徴として二峰性(にほうせい)の発熱があります。二峰性とは、熱が数日続き、一旦解熱したあと、再度発熱して合計1週間ほど熱が続くものです。インフルエンザは再発熱のパターンをとることもあり、一旦熱が下がっても安心とはいきません。

インフルエンザの合併症

インフルエンザの症状には幅があり、普通の風邪と全く区別がつかない程度のこともあれば、ぐったりして重症感が強い場合もあります。

ときに中耳炎や熱性けいれん、肺炎やインフルエンザ脳症など多彩な合併症があり、肺炎や脳症にはとくに注意が必要です。

【肺炎】
急速に呼吸困難が進行する場合があり、肩で息をしたり呼吸があらくなっている時は救急受診が必要です。

【インフルエンザ脳症】
毎年50~200人がインフルエンザ脳症になり、死に至ることもあります※1。異常言動、異常行動、ぼーっとしている、けいれんなどの症状がみられますが、同じような症状を認める熱せん妄(第3話参照)や熱性けいれんと区別が難しい場合があります。脳症の場合は意識障害が続いたり、短時間で悪化傾向になり、これらの特徴がみられた時は迷わず救急受診してください。

予防接種は打ったほうがいい? インフルエンザQ&A

このようにインフルエンザには重い合併症もあるため、ワクチンで予防することが重要です。それでは、ここでワクチンについての疑問について確認していきます。

Q赤ちゃんでは効果が低い? 何ヶ月からうてる?

現状のインフルエンザワクチンは生後6ヶ月から接種可能で、乳幼児に対する有効性については概ね20~60%の発病防止効果があったと報告されています。※2 生後6ヶ月以降は接種をお勧めします。※3

Qインフルエンザワクチンはいつうてばよい?

ワクチンの効果は時間が経過するほど効果が低下し5ヶ月間で減弱します。よって10月~11月のうちに接種を開始すれば流行期に入る12月までに効果が得られ、流行が終わる頃まで効果が続きます。

Q鶏卵アレルギーだとうてない?

インフルエンザワクチンに含まれる鶏卵成分は数ng/mlときわめて微量(1ng=10億分の1g)のため、ほとんどの場合安全に接種ができます。重症度にもよるため、卵アレルギーと診断されている場合は担当医と相談してください。※4

Q妊娠、授乳中でもうてる?

妊娠授乳中でもワクチン接種は可能です。とくに妊娠中は症状が重くなるおそれがあり、また妊娠中のワクチン接種は生まれてきた赤ちゃんのインフルエンザ予防にも役立つため積極的に接種してください。※5

子どものインフルエンザを予防するには、まず周囲の大人がしっかり打って感染源にならないことが大切です。もちろん、パパも一緒に接種してくださいね。

Qワクチンを打ってもかかることはある?

残念ながらワクチン接種をしていてもかかることがあります。ワクチン以外の予防方法を駆使して、できるだけかからないようにしましょう。

インフルエンザの予防方法

インフルエンザワクチンを打つ以外の予防方法もあります。日々の生活の中でできることを書いてみることにします。

(1) 咳エチケットに注意し、マスクをする(くしゃみや咳などから感染します)
(2) 手洗いやアルコール消毒をする(咳やくしゃみをうけた手にはウイルスが付着しています)
(3) 加湿器を使用して湿度50%~60%に保つ(乾燥すると感染しやすくなります)
(4) 栄養と睡眠を十分にとる(風邪を含め全ての基礎になります)
(5) できるだけ人混みを避ける(流行期はとくに感染の確率が高くなります)

なお、家族の誰かが感染した場合は避けることがなかなか難しいのが現実です。24~48時間ほどの潜伏期間ののち発症します。流行を広げないためには登校停止期間をしっかり守って外出をさけることが大切です(第4話参照)。

インフルエンザは稀に死亡する可能性がある病気のため、わが子がかかった時にはもしもの場合の不安を感じると思います。

「もしかしてインフルエンザ脳症かも?」と疑い、判断できない時は受診をためらう必要はありません。インフルエンザにかかると、時に重症の経過になる場合があります。その可能性を防ぐためには予防が一番ですので不安感を軽減する意味でもワクチン接種をお勧めします。

次回は実際にかかったあとの受診のタイミングや治療法、ホームケアについて説明します。

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